自然との共生

生物多様性の保全に対する当社の取り組み

当社は環境方針に基づき、国際的な課題である生物多様性の保全に対して、事業活動を通じた取り組みを進めています。

海外貨物に混入する可能性がある外来生物の国内侵入対策として、「外来生物法」の概要と着荷場で発見された際の対応手順をまとめ、作業に関わる従業員などに周知しています。
また、生物多様性の保全に関わる取り組みを実施していないサプライヤーに対する講習会を開催し、参加されたお取引先での取り組みに展開していただいています。サプライヤーの生物多様性への取り組み拡大として、稀少植物の株分けや、当社の森づくり活動に参加いただくことを実施しました。
2013年度からは、輸送用の梱包材に使用する木材を森林認証木材に切り替えると共に、購入先からの証明書と現物の照合確認を継続的に実施しています。2016年度からは、全社的に印刷用紙を森林認証紙の導入も始めています。
地域産の木材利用も積極的に実施しており、本社棟の応接室の机や棚などに、京都府内産の「北山杉」を積極的に利用したことが評価され、府内産木材活用優良施設コンクールでも京都府知事賞を受賞しました。

取引先に対する講習会の様子

取引先に対する講習会の様子

また、社外に対しては、当社社員で構成された環境活動チームの「え~こクラブ」が作成した絶滅危惧種を学ぶことのできるカードゲーム“bidi”を用いた出前授業などを継続的に実施しています。

え~こクラブ

え~こクラブが生物多様性アクション大賞のつたえよう部門で優秀賞を受賞

第1回「生物多様性アクション大賞」で、当社の環境活動チーム「え~こクラブ」が「つたえよう部門」優秀賞を受賞しました。同賞は、第65次国連総会(2010年、ニューヨーク国連本部)で採択された「国連生物多様性の10年」の日本委員会が推進する、「MY行動宣言5つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)」に即した活動を表彰することで、生物多様性の主流化を目指すものです。
え~こクラブは、1999年に発足し女性社員を中心に、女性独自の視点や感性を生かし、職場だけでなく子どもたちへ向けた環境学習支援ツールの制作や環境出前講座を行っています。2007年には、生物多様性を題材にしたカードゲーム「bidi」を制作し、ゲームを楽しみながら絶滅危惧種の生き物について学んでもらう活動を行ってきました。今回の受賞は、これらの活動を長年行い、継続的に環境教育に貢献したことが評価されたものです。

生物多様性アクション大賞2013 結果発表」のページ

え~こクラブが生物多様性アクション大賞のつたえよう部門で優秀賞を受賞

本社・三条工場構内の「島津の森」

2014年の本社社屋建て替えにともない、本社・三条工場(京都府京都市)内に整備した敷地面積約8,000m2の「島津の森」は、お客様や従業員の憩いの場として活用しています。
2015年、生物多様性の保全・回復への取り組みを客観的に評価して認証する制度である、公益財団法人日本生態系協会によるハビタット評価認証において、西日本の製造企業で初めてとなる最高ランクAAA評価を取得、2020年の更新が認められ、AAAランクを維持しています。在来種を中心とした草木を植栽し、地域における生態系ネットワークの構築に役立っています。
京都の伝統文化を支える植物である、フタバアオイやヒオウギの保全に加え、フジバカマやキクタニギクなど京都にゆかりある希少植物の保全・育成を行っています。これらの取組は、京都市の生物多様性地域戦略に基づく「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」に認定されています。また、2015年の認証以降、鳥や蝶の誘致目標種を設定して維持管理を行っており、絶滅危惧種に指定される生物も見られるなど、生態系のネットワークとしての機能を、外部の調査会社からも評価をいただいています。

また、立命館大学 生命科学部生物工学科 久保 幹(くぼ もとき)教授が開発された、『土壌肥沃度診断:SOFIX(Soil Fertile Index)』の手法を導入し、科学技術を活用した土づくりを2019年から実施しています。
SOFIXについて詳しくはこちらをご確認ください。

本社工場内「島津の森」

JHEP認証書

フタバアオイ

フタバアオイ

ヒオウギ

フジバカマ

「島津の森」で育生しているキクタニギク

キクタニギク

京都府南丹市の「島津製作所の森」

環境保全活動・社会貢献活動の一環として、府民みんなで京都の森を守り育む「京都モデルフォレスト運動」に2008年より参画しています。
京都府南丹市八木町にある52ヘクタールの森を「島津製作所の森」と名付け、従業員とその家族によるボランティアが主体となって、地域の方々との連携による森の保全活動に積極的に関わっています。2020年からは、京都府立大学と共同でこの島津の森の植生調査を実施し、調査の結果を森づくり活動の森林整備計画に反映し、生物多様性の観点も取り入れています。
森は、木材の生産だけでなく、地球温暖化の防止や生物多様性の保全など様々機能を担っています。かつて、私たちがこの森の恵みから育んできた文化や産業を後世に繋げていくために島津製作所の森づくり活動を継続しています。

「島津製作所の森」の間伐材の活用実績

木製SDGsバッジ
SDGsテストに合格した社員が着用するバッジ。

木製コースター
間伐材を活用したコースター。
お客様などへお渡しするノベルティとして活用。

TNFD自然資本・生物多様性に対する取り組み

統合報告書2023では、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が発表した枠組みを元に2023年7月に初めて開示しました。今年度は、TNFDの最終版発行前の開示となったため、ベータ版v0.3までで示されたガイダンスに基づく取り組みを、LEAPアプローチを参考に進めています。
TNFD自然資本・生物多様性に対する取り組み

2030年までに陸・海の30%以上の保全・保護を目指す「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加

2023年3月、当社は環境省を含む17の自治体・団体・企業が発足させた「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しました。「30by30」(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復させる「ネイチャーポジティブ」に向けて「2030年までに国内の陸と海の30%以上を健全な生態系として保全・保護しよう」とする目標です。

今後も希少種の保護や回復を着実に実施するとともに、サプライヤー等への地域性種苗の提供など、生物多様性の保護に資する活動を社外にも波及させるべく活動を継続します。