社外取締役メッセージ

分析がイノベーションの源泉

サイエンスでの発見やそれに続くイノベーションを支える重要な基盤技術は分析である。分析がイノベーションの源泉と言っても過言ではない。その意味でも分析機器を主力事業とする島津製作所の社会課題を解決していく役割は重要である。生物学領域での発見やイノベーションは、ヘルスケアインダストリーや医療分野での応用へと展開し、病気の診断や医薬品の分析などに島津製作所の製品が高い競争力のもと使用されているのは素晴らしいことである。一方、イノベーションの場で起きている分析技術の進歩は目を見張るものがある。最近、Nature誌(2024年5月)に蛋白シークエンスの新技術としてナノポアシークエンスデバイスが紹介されていた。これはまさに島津製作所に先鞭をつけて欲しかった技術である。分析計測事業部の主力製品である液体クロマトグラフィー、マススペクトロメトリーの技術開発に手が抜けないのはよく理解できるが、他社との競合を考えれば、営業戦略上顧客ニーズに合った製品を開発し続けなければならないし、AIを組み込んだ機器の開発も急務であろう。一方、島津製作所が現在は手がけていないNMR、電子顕微鏡、次々世代DNAシークエンサーなどの分析機器の技術革新が目覚ましく、液体クロマトグラフィーやマススペクトロメトリーだけでは分析機器メーカーとしての成長が先細りしないかという心配がある。自社での研究開発ではカバーできない技術については、事業提携やM&A(CVC投資を含む)で分析の裾野を広げることが重要と考える。
グローバル経済の影響、地政学的リスクなど楽観できない要素はあるが、2023年度の業績は社員の頑張りで好調を維持できた。M&A投資にも十分な資金を蓄えつつある。足元を固める投資も重要であるが、将来の成長のために新しい技術への投資を積極的に行うステージに来ていると考えている。島津製作所がイノベーションを支えるグローバルプレイヤーとして成長することを願っている。

社外取締役 花井 陳雄

社外取締役 花井 陳雄

よりスピーディーに、よりダイナミックに

2021年に社外取締役に就任し、丸3年が経過しました。その間、円安という追い風もありますが、業績は順調に推移しています。またガバナンス体制も健全な水準になりつつあると実感しています。一方、コア事業である分析計測機器のさらなる強化と次世代事業の育成という大命題に関しては、戦略的な資本投下が不十分であり、未だ道半ばと言わざるを得ません。当社グループが革新をもって今後も永続的に成長していくには、月並みですが「事業ポートフォリオマネジメント」と「グループガバナンス強化」が求められます。「事業ポートフォリオマネジメント」については、ROICを経営指標に導入するなど一定の進捗は見られますが、資本効率の最大化を目指し具体的な事業戦略として落とし込むレベルには至っていません。「事業の選択と集中」、使い古された言葉ですが、戦略的なM&Aを含め、大胆かつ迅速な戦略遂行が望まれます。
「グループガバナンス強化」については、グローバルで地域統括制を導入するなど着々と体制作りが進んでいます。しかしグループを形成する法人数の多さ、管理精度を上げていくための人財確保など直面する問題も多く、既に取締役会で議論されたグループ会社の再編成はスピード感をもって取り組むべき課題です。また、当社グループを網羅する新しい基幹システムの構築は既にスケジュール化されていますが、業務の効率化のみならずグループガバナンスの向上に資する有力なツールです。金銭的、人財的にも多大な負荷が掛かりますが、早期構築に向けギアアップを期待するところです。
最後に、昨年も同じことを記しましたが、業務遂行上のリスクテイクとモニタリングはもちろん重要ですが、よりダイナミックな事業展開を後押しできるよう前向きな提言を心掛けていく所存です。

社外取締役 中西 義之

社外取締役 中西 義之

持続的未来への戦略的アプローチ

この1年、当社グループはガバナンスや人的資本の強化に注力し、ROICの導入も行いました。しかし、地政学リスクが拡大し、AIの台頭により顧客ニーズが変化する中、持続的な成長を達成するためにはより戦略的な思考を駆使することが必要だと感じています。ガバナンスについては、子会社を含めた一貫性のある内部統制の強化を行ってきましたが、より効率的でスピード感のある経営を実現するためには、今後攻めのガバナンスにも注力していきたいと思います。海外売上比率が60%近くある中、海外子会社への権限移譲をする必要がありますが、体制作りとしてリーダーシップ人財の強化をモニターしていきます。また、新型コロナウイルス感染症が収束に向かう中、グローバルマネージャートレーニングを5年ぶりにインパーソンで再開し、世界中から集まった次世代リーダーと話をする機会がありましたが、ローカルエンパワーメントを進めればもっと事業は伸ばせると確信しました。まだまだ地域を跨いだ事業部内のコミュニケーション、事業部を超えた連携は始まったばかりで、社内リソースの積極的な活用を促す仕組み作りも取締役会でモニターしていきます。
ROICの導入については、事業部門だけでなくビジネスユニットごとの収益性が明確になりました。今後は、データを活かしてもっと細分化した事業戦略を練る必要性があります。売上拡大のみならず、もっとコスト削減にも注力する必要があります。また、一定期間をもって改善できない事業は事業ポートフォリオから外すことも考えないと会社全体の資本効率は上がりません。
5月に初めて自己株式の取得を発表しましたが、中長期的な成長と株価の向上を実現するためには、より戦略的な思考のもと経営判断を行っていくよう取締役会で働きかけていきたいと思います。

社外取締役 濱田 奈巳

社外取締役 濱田 奈巳

取締役に就任するにあたって
多様性とイノベーションで価値創造に貢献

このたび島津製作所の独立社外取締役に選任いただきました北野美英です。私はグローバルに事業を展開する外資系企業で、購買を中心としたサプライチェーンマネジメント、およびコーポレートコミュニケーションの分野を経験してきました。
購買では課題解決を目指してオープンイノベーションのプラットフォームを構築し、社外パートナーとの共創を進めて革新的製品の開発を推進しました。このような社外のステークホルダーとの戦略的パートナーシップは、課題の解決やイノベーションの創造に極めて効果的であると確信しています。
またコミュニケーションの分野においては、企業広報、サステナビリティ、ダイバーシティの推進を担当し、企業の信念を正しく伝える広報活動や多様性を活かせる組織づくりを目指しました。
島津製作所の2023年度からの中期経営計画では、「世界のパートナーと共に社会課題を解決するイノベーティブカンパニーへ」を基本方針として掲げています。急速に変化する外部環境に適応して多様化するニーズを捉え、イノベーションを生み出し続けるためには、戦略的パートナーシップと多様性を活かせるグローバルリーダーの育成が不可欠です。
社外役員として新たな視点をもたらし、これまでの経験を活かしつつ経営について客観的なアドバイスを提供し、島津製作所の価値創造に貢献したいと考えています。

社外取締役 北野 美英

社外取締役 北野 美英

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