基本的な考え方
私たちは、ステークホルダーの信頼を獲得し、島津グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、経営の透明性・公正性を確保し、経営の活力を高める迅速・果敢な意思決定と施策を遂行するための企業経営の根幹となる仕組みとしてコーポレート・ガバナンスを位置付け、このシステムを整備・充実させています。
コーポレートガバナンス・コードへの対応
私たちは島津グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、コーポレートガバナンス・コードの精神を企業経営の中で生かしていきたいと考えています。
政策保有株式
1. 政策保有に関する方針
私たちは、持続的に成長していくためにさまざまな企業との協力関係が必要であると考えています。そのため、事業戦略、取引先との関係強化、地域社会との関係維持などを総合的に勘案して株式の保有を判断します。取締役会は、毎年、政策保有株式の保有規模が不適切でないかを確認した上で、個別の株式についても保有目的に照らして適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストなどに見合っているかを確認することで、保有の適否を検証しています。
見直しの結果、保有意義が必ずしも十分でないと判断した一部銘柄を2020年度に売却しました。
2. 議決権行使の基準
私たちは、政策保有株式の議決権行使にあたり、全ての議案に対し、株主価値の向上に資するものか否かを判断した上で議決権を行使しています。議決権行使の適切な対応を確保するために、剰余金処分、取締役・監査役選任や買収防衛策など議案ごとに設けた判断基準に基づいて議案内容を確認しており、社会的不祥事など重大な懸念事項が生じている場合には、慎重に賛否を検討しています。
指名・報酬委員会
当社は、取締役会の独立性・客観性と説明責任の強化を目的に、取締役会の任意の諮問機関として指名・報酬委員会を設置しています。当委員会では、下記の活動を通じて、役員の指名・報酬に係るプロセスの透明性・客観性を高めることでガバナンスの強化を図っています。
なお、2020年度には、委員会を6回開催しています。
■指名・報酬委員会の構成
名称 | 指名・報酬委員会 |
---|---|
社外取締役 | 3 |
社内取締役 | 2 |
全委員 | 5 |
委員長(議長) | 社外取締役 |
■直近1年間における指名・報酬委員会の主な活動状況
指名に関する事項 |
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報酬に関する事項 |
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役員報酬の体系
私たちは、役員報酬規程にて、取締役、監査役および役付執行役員の報酬の決定手続き、報酬の体系などを定めており、また「役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針」についても、指名・報酬委員会の審議・答申を踏まえ、取締役会で決議の上、定めています。2021年3月に同方針の見直しを行い、取締役および役付執行役員の報酬額については、取締役会の決議により授権された、委員の過半数を社外取締役とする指名・報酬委員会で決議し、取締役会に報告しています。なお、監査役の報酬額については監査役の協議で決定しています。
取締役(社外取締役を除く)および役付執行役員(以下、「取締役等」という)の報酬は、各事業年度における業績の拡大ならびに中長期的な企業価値の向上に向けて経営を行う取締役等の職責を考慮し、基本報酬としての固定報酬と、業績に応じて変動する短期業績連動報酬および中長期業績連動型株式報酬で構成されています。
■役員の報酬体系および決定方法
役員区分 | 体系および決定方法 |
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取締役 (社外取締役を除く) 役付執行役員 |
1. 固定報酬 優秀な人材の確保・採用が可能な水準であると同時に、客観的な情報に基づいて判断すべきとの観点から、外部専門機関の調査に基づく同輩企業(同業種、同規模等のベンチマーク対象企業群)の水準を参考指標とし、取締役などの地位や役割に応じて決定。 |
2. 短期業績連動報酬 連結売上高・営業利益の前年度に対する成長率や役付執行役員の担当部門別の業績評価、個人評価を総合的に勘案し、決定。 |
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3. 中長期業績連動型株式報酬 取締役などに対して、中期経営計画の最終年度に、業績目標の達成度に応じて付与される株式数を役位別に決定し、株式を交付。なお、業績達成度を評価する指標は連結売上高および連結営業利益を目標値とし、目標の達成度に応じて50~200%の範囲で変動。 なお、取締役等の職務や社内規定への重大な違反があった場合には、交付予定株式の受益権の喪失や交付した株式等相当の金銭返還請求制度を設定。 |
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社外取締役 監査役 |
固定報酬のみ 当社グループ全体の職務執行に対する監督・監査を担うという役割を考慮 |
■役員報酬の状況(2020年度)
役員区分 | 対象となる 役員の員数(名) |
固定報酬(百万円) | 業績連動型報酬(百万円) | 合計(百万円) | |
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短期業績連動報酬 | 中長期業績連動型 株式報酬※ 費用計上額 |
||||
取締役(社内) | 6 | 222 | 137 | 46 | 407 |
監査役(社内) | 2 | 53 | - | - | 53 |
社外取締役 | 4 | 36 | - | - | 36 |
社外監査役 | 3 | 20 | - | - | 20 |
合計 | 15 | 333 | 137 | 46 | 517 |
- ※ 中長期業績連動型株式報酬制度は、中期経営計画の最終年度の業績目標の達成度に応じて、3年ごとに株式を交付する業績連動報酬かつ非金銭報酬制度ですが、制度運用上、1年ごとに費用計上する必要があります。上記の当該報酬は、当事業年度において取締役(社外取締役を除く)に対して付与が見込まれるポイント数に信託が当社株式を取得した際の時価を乗じた費用計上額を記載していますが、実際の株式の交付は中期経営計画終了後となります。
※ 上記には、2020年6月25日付で退任した取締役(社外取締役を除く)1名、社外取締役1名および社外監査役1名の分が含まれています。
取締役会の実効性評価について
私たちは、取締役会の実効性の分析・評価を行うことで、体制や運営の継続的な改善を図り、有効に機能することを目指しています。
2021年度はその第6回目として取締役会の実効性評価に関するアンケート調査を実施し、調査結果の分析と評価について取締役会で審議しました。その概要を「コーポレート・ガバナンス報告書」にて開示しています。
■取締役会の実効性評価結果
実効性評価項目 | 2020年度(対象年度:2019年度) | 2021年度(対象年度:2020年度) |
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取締役会の構成 | 現状の規模・構成について、昨年同様高いレベルで肯定 的な評価結果となった。 | 現状の規模・構成について、昨年同様高いレベルで肯定的な評価結果となった。今後は適正な規模を確保しつつ、社外取締役の増員と多様性を高めていくことを検討していく。 |
取締役会の運営 | 開催頻度や一回あたりの所要時間、メンバー全員が自由 に発言できる雰囲気・環境の確保は昨年同様、肯定的な 評価結果となり、また討議時間の確保についても改善が みられたとの評価を得た。他方、議論をより深めるため に報告の在り方および提出資料の内容については、さら なる改善を図っていく。 | 開催頻度や所要時間は適切で、メンバー全員が自由に発言できる雰囲気・環境の確保など、肯定的な評価結果となった。またコロナ禍におけるリモート会議の積極的な活用についても高い評価を得られた。 |
取締役会の役割と責務 | 中期経営計画の策定に向けて、取締役会で相当な回数、 多くの時間をかけて活発な議論ができたことについて は肯定的な評価を得た。他方、中長期の事業戦略や事業 ポートフォリオに関する重要な経営課題について、より 充実した議論を行う取り組みを進めていく。 | 中期経営計画の課題や施策の進捗状況等は、十分な時間を確保し充実した議論が行われたとの肯定的な評価となった。他方、執行側が適切なリスクをとって機動的な事業展開に繋げられるよう討議テーマの設定や討議の機会を増やすことを検討していく。 |
昨年の実効性評価結果で課題とされた項目についての取り組み状況 |
取締役会で議論された内容の業務執行側へのフィード バックの改善が図られたことや重要な経営課題として 競合戦略を議論したことなどについて肯定的な評価を 得ることができた。 |
従来から課題であった、議論を深めるための提出資料の内容や報告方法は改善が見られるという評価結果になった。他方、事業ポートフォリオや重要な事業戦略等については十分な討議時間を確保できるよう取り組みを進めていく。 |
取締役の自己評価 | 全取締役が会社の基本理念を十分に理解し、その実現 に努め、取締役としての役割・責務を果たすため、十分 な時間・労力を費やしていると、昨年以上の評価結果と なった。 | 全取締役が会社の基本理念を十分に理解し、その実現に努め、取締役としての役割・責務を果たす為、十分な時間・労力を費やしていると、昨年以上の評価結果となった。 |
取締役・監査役への支援・連携 | 社外役員への議案内容の事前説明の実施方法の改善を 図ったことについては、概ね肯定的な評価結果となった。 なお、社外取締役と社外監査役間の情報交換の機会を さらに充実させる取り組み、また社外役員に必要な情報をより適切に提供できる取り組みを進めていく。 | 社外役員への議案内容の事前説明の早期化や社外取締役および監査役間での適切な情報交換や認識共有の機会の確保など、昨年から改善が見られるとの評価結果となった。 |