基本的な考え方
当社グループは、経営の透明性・公正性を確保し、経営の活力を高める迅速・果敢な意思決定と施策を遂行するための企業経営の根幹となる仕組みとしてコーポレート・ガバナンスを位置づけ、このシステムを整備・充実させています。
また、コーポレートガバナンス・コード(以下CGコード)を具体的に実践していく上でのスタンスを示すものとして、「コーポレートガバナンス・ポリシー」( 以下CGポリシー)を2015年12月に定めました。
当社はコーポレート・ガバナンスの取り組みを充実させるとともに、取り組みの状況や外部環境の変化に応じてCGポリシーを定期的に見直し、ガバナンスの実効性の向上に努めています。
コーポレートガバナンス・ポリシー
- ステークホルダーとの適切な協働
- 株主の権利・平等性の確保
- 適切な情報開示と透明性の確保
- 株主との対話
- 取締役会などの責務
コーポレート・ガバナンスの取り組み
CGコードに関しては、プライム市場のみに適用される項目を含め、全ての基本原則、原則および補充原則についてフルコンプライを継続しています。
2023年度における当社のコーポレートガバナンスに関する主な取り組みは、以下のとおりです。
CGポリシー
https://www.shimadzu.co.jp/ir/governance/policy.html
CG報告書
https://www.shimadzu.co.jp/ir/governance/report.html
サステナビリティ経営の取り組みを推進
「島津グループサステナビリティ憲章」および「島津グループサステナビリティ経営実施方針」のもと、各部門のKPIを設定し、当社グループのサステナビリティ経営に関する取り組みを本格的に開始しています。
その一環として、当社グループ全体で法令遵守の徹底および企業倫理の向上により一層取り組むため、2022年5月に従来の企業倫理規定を改訂し、「島津グループ企業倫理規定」として、当社グループ共通規定としました。また、当社グループの従業員が日常の業務の中で遵守すべき行動規範を「島津グループ企業倫理行動規範ハンドブック」としてまとめ、グループ全体への企業倫理・コンプライアンス意識の浸透を図っています。
さらに、2022年6月に「島津グループサステナビリティ経営基本規定」を制定し、サステナビリティ経営に関する取り組み推進の枠組み、組織体制を明確化しました。
これにより、「島津グループサステナビリティ会議」をサステナビリティ経営の最高審議機関として位置付け、従来のリスク倫理会議、環境会議を含めた当社グループ全体のサステナビリティ経営に関する取り組みを推進しています。
グループガバナンスの強化
2023年2月に「島津グループマネジメント基本規定」を制定し、グループマネジメントに関する基本的な考え方および遵守すべき事項を定めました。これにより、当社グループが一体となって持続的成長に向けて適正かつ効率的なグループ経営を実現するための体制を整備しています。また、昨年度設置した海外地域コーポレート本部では、中国とアジアの現地体制が主体となって、本社が策定した監査ツールを活用し、往査計画を立てて取組んでいます。島津グループマネジメント基本規定に則り、各グループ会社でのルール運用を確認し、不適切な手続き等の防止に繋げています。
社外役員の独立性基準
次に掲げる属性のいずれにも該当しない場合、当該社外取締役および社外監査役(候補者を含む)は、当社からの独立性を有し、一般株主と利益相反が生じる恐れがないものと判断しています。
(1) | 当社を主要な取引先とする者(直近事業年度においてその者の年間連結総売上高2%以上の額の支払いを、当社から受けた者とする。)またはその業務執行者 |
(2) | 当社の主要な取引先(直近事業年度において当社の年間連結総売上高2%以上の額の支払いを当社に行った者とする。)またはその業務執行者 |
(3) | 当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ている( 直近事業年度において役員報酬以外に1,000万円の額以上の金銭または財産を当社から得ていることを言う。)コンサルタント、会計専門家または法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者を言う。) |
(4) | 最近1年間において、(1)から(3)までのいずれかに該当していた者 |
(5) | 次の1.から3.までのいずれかに掲げる者( 重要でない者を除く。)の二親等内の親族
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指名・報酬委員会
当社は、取締役会の独立性・客観性と説明責任の強化を目的に、取締役会の任意の諮問機関として指名・報酬委員会を設置しています。
当委員会は、指名・報酬委員会規則の定めるところにより、指名・報酬に関わる事項について決議、審議を行っています。
当事業年度において、当委員会における具体的な検討内容は以下のとおりです。
なお、2023年度には、委員会を6回開催しています。
■直近事業年度における指名・報酬委員会の主な活動状況
指名に関する事項 |
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報酬に関する事項 |
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指名・報酬委員会の実効性評価
取締役会の実効性評価と同時に、指名・報酬委員会に関する実効性評価のアンケートを委員会を設置した2019年から継続的に実施しています。アンケート調査項目として、主に、①CEO後継者の育成計画、②経営者へのインセンティブ付与等としており、 全体的に肯定的な評価結果を得ています。
指名・報酬委員会の構成
指名・報酬委員会は、代表取締役および社外取締役で構成し、委員の過半数を社外取締役とし、原則として議長を独立社外取締役とすることで、指名・報酬に関する独立性を高めています。
名称 | 指名・報酬委員会 |
---|---|
社外取締役 | 4 |
社内取締役 | 2 |
全委員 | 6 |
指名・報酬委員会のメンバー
委員長 | : | 花井 陳雄( 社外取締役) |
委員 | : | 中西 義之( 社外取締役) 濱田 奈巳( 社外取締役) 北野 美英( 社外取締役) 上田 輝久( 代表取締役会長) 山本 靖則( 代表取締役社長) |
役員報酬の決定方法に関する方針
当社は、役員報酬規定にて、取締役、監査役および役付執行役員の報酬の決定手続き、報酬の体系などを定めています。また、「役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針」についても、指名・報酬委員会の審議・答申を踏まえ、取締役会で決議のうえ、定めています。取締役および役付執行役員の報酬額については、株主総会の決議により決定された報酬の総額の範囲内で、取締役会の決議により授権された指名・報酬委員会で決議し、その結果を取締役会に報告します。なお、監査役の報酬額については監査役の協議で決定します。
役員の報酬体系
取締役(社外取締役を除く)および役付執行役員( 以下、「取締役等」という)の報酬は、各事業年度における業績の拡大ならびに中長期的な企業価値の向上に向けて経営を行う取締役等の職責を考慮し、金銭報酬としての基本報酬と、業績に応じて変動する短期業績連動報酬および非金銭報酬としての株式報酬で構成します。
社外取締役の報酬は、基本報酬のみとし、社外取締役に期待する役割ならびにその職責に見合う報酬水準を勘案の上、決定します。
監査役の報酬は、基本報酬のみとし、その職責に見合う報酬水準を勘案の上、決定します。
報酬区分 | 社内 取締役 |
社外 取締役 |
監査役 | 備考 |
---|---|---|---|---|
基本報酬 | ○ | ○ | ○ | 優秀な人材の確保・採用が可能な水準であると同時に、客観的な情報に基づいて判断すべきとの観点から、外部専門機関の調査に基づく同輩企業(同業種、同規模等のベンチマーク対象企業群)の水準を参考指標とし、取締役などの地位や役割に応じて決定。 |
短期業績連動報酬 | ○ | ー | ー | 連結売上高・営業利益の前年度に対する成長率や役付執行役員の担当部門別の業績評価、個人評価を総合的に勘案し、決定。 |
株式報酬 | ○ | ー | ー | 株主との価値の共有を図り、業績の拡大ならびに企業価値の向上へのインセンティブを高めることを目的とした報酬制度であり、「短期業績連動部分」と「中長期業績連動部分」で構成。 「短期業績連動部分」 短期業績連動報酬の一部を株式として割り当てるものであり、取締役などに対して、毎年一定の時期に譲渡制限付き株式を交付し、取締役等の退任時に当該株式の譲渡制限を解除。株式の支給割合は、指名・報酬委員会で都度決定。 「中長期業績連動部分」 取締役などに対して、中期経営計画の最終年度の業績目標の達成度に応じて付与される株式数を役位別に決定し、株式を交付。なお、業績達成度を評価する指標は連結売上高および連結営業利益を目標値とし、目標の達成度に応じて50~200%の範囲で変動。なお、取締役等の職務や社内規定への重大な違反があった場合には、交付予定株式の受益権の喪失や交付した株式等相当の金銭返還請求制度を設定。 |
■役員報酬の状況(2023年度)
役員区分 | 対象となる 役員の員数(名) |
固定報酬(百万円) | 業績連動型報酬(百万円) | 合計(百万円) | |
---|---|---|---|---|---|
短期業績連動報酬 | 中長期業績連動型 株式報酬2 費用計上額 |
||||
取締役(社内) | 5 | 196 | 179 | 17 | 393 |
監査役(社内) | 2 | 54 | - | - | 54 |
社外取締役 | 4 | 56 | - | - | 56 |
社外監査役 | 3 | 23 | - | - | 23 |
合計 | 14 | 330 | 179 | 17 | 527 |
取締役会
取締役会の活動状況
取締役会は、法令・定款および取締役会規則の定めるところにより、重要な事項について決議、討議、報告を行っています。当事業年度において、会社法等やコーポレートガバナンス・コードに関する事項以外の取締役会における具体的な検討内容は次のとおりです。
直近事業年度における取締役会の主な検討内容
- 中期経営計画(2023年度~2025年度)の事業戦略、経営基盤強化の進捗状況
- 北米戦略
- 領域制への段階的な移行に伴う重要な組織変更
- Zef Scientific社の買収
- 島津ダイアグノスティクスの現状と今後
- 島津グループサステナビリティ憲章の改定
- 島津グループマネジメント基本規定の改定
- 島津グループ経営の強化に向けたグローバルな成長基盤の構築
- 人的資本の情報開示
取締役会の実効性評価について
当社は、取締役会を構成する取締役および監査役に対して、取締役会の実効性に関する分析・評価を毎年実施しています。今年も実効性評価に関する独自アンケートを実施し、昨年と同様、1.経年変化の確認、2.昨年からの課題事項の確認、 3.今後の見直しの3つの構成とし、設問内容について一部見直しを行いました。調査結果を基に、取締役会において改善が必要な事項を中心に意見交換を行いました。以下は、取締役会での議論を踏まえた実効性評価結果の概要となります。
総括
前年より改善され良好な実効性を維持していますが、更なる改善に取り組んでいくべきとの評価結果となりました。取締役会は、事業戦略や中期経営計画の進捗モニタリングの審議において、適切に関与しております。また、当社の取締役会の構成は、メンバー全体で多岐にわたる視点から活発に発言できる環境を維持して、十分に役割を果たしていると評価しています。
昨年と比べて、議案選定、効率的審議のための資料の工夫、リスクマネジメントやグループガバナンスの議論機会の拡大、社外取締役と監査役の必要な情報交換と認識共有が進みました。一方で、事業戦略やM&A案件のモニタリングなど、特に重要テーマについては、より充実した議論が出来るように、本年度は更なる改善に取り組んで参ります。
実効性評価項目 | 2024年3月期(対象年度:2023年3月期) |
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取締役会の構成 | 12名の規模と社外役員が半数を占める構成は肯定的な評価でした。引き続き戦略モニタリングとガバナンス強化に資するメンバー構成の議論を行います。 |
取締役会の運営 | 昨年も課題であった審議の時間配分や会議資料は、一定の改善がなされましたが、ページ数の絞り込みやサマリーの質向上など、なお、改善の余地があるという評価でした。議論に重きを置いた取締役会運営を行えるよう、簡潔かつ議論のポイントを明確にした資料の改善をはじめ、執行メンバーと取締役メンバーで集中的に議論できる機会やオフサイト・ミーティングの設定などにより、企業価値向上に資する重要な議案に一層の時間を確保できるようにします。 |
取締役会の役割と責務 | 取締役会の役割と責務は適切に果たされているという評価でした。引き続き力を入れるべきテーマとして、事業ポートフォリオ、海外戦略、研究開発投資等が挙げられました。 今後も、これらを重要テーマとして取り組みます。 |
取締役の自己評価 | 全ての取締役は当社の基本理念と期待される役割を理解し、多様なバックグラウンドを生かした活発な議論を行っており、実効性があるという評価になりました。 |
取締役・監査役への支援・連携 | 社外取締役と監査役間の情報提供、認識の共有は適切に行われております。また、社外役員と会計監査人・内部監査部門との意見交換の機会は確保されていますが、情報共有が不足しているため、継続的に改善を図ります。さらに施設見学や従業員等との意見交換会等の実施により、社外役員の会社の知識・理解向上に向けた取り組みを計画的に進めます。 |
株主・投資家との対話について | 昨年に引き続き、会社と株主や機関投資家の対話に関する情報提供に課題があるとの評価になりました。 執行側のIR活動の情報共有を増やすとともに、株主や機関投資家との対話機会の確保にも取り組みます。 |
政策保有株式
1.政策保有に関する方針
当社は、当社は、経営戦略の観点から、中長期的に当社の企業価値の向上につながると判断する株式を保有します。取締役会は、毎年、政策保有株式の保有規模が不適切でないかを確認した上で、個別の株式についても保有目的に照らして適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コスト等に見合っているかを確認することで、保有の適否を検証します。保有方針に適合しない株式は縮減を図ります。
上記の保有方針に基づき、2018年度から2022年度の5年間で31銘柄、50億円の縮減を行いました。なお、2023年度については、検証の結果すべての銘柄について保有意義を確認したため、保有を継続しております。
2.純投資目的以外で当社が保有する株式
2024年3月31日現在において、純投資目的以外で当社が保有する株式の保有規模は、連結総資産の2.1%、連結純資産の2.9%であり、銘柄数および貸借対照表計上額の合計額は次のとおりです。
銘柄数(銘柄)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
非上場株式 | 30 | 30 | 30 | 30 | 28 |
非上場株式以外の株式 | 36 | 30 | 24 | 22 | 22 |
貸借対照表計上額(百万円)
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|---|
非上場株式 | 525 | 519 | 612 | 1,530 | 1,381 |
非上場株式以外の株式 | 10,418 | 11,907 | 11,405 | 10,426 | 13,054 |
3.議決権行使の基準
当社は、政策保有株式の議決権行使にあたり、すべての議案に対し、株主価値の向上に資するものか否かを判断したうえで議決権を行使しています。議決権行使の適切な対応を確保するために、剰余金処分、取締役・監査役選任や買収防衛策など議案ごとに設けた判断基準に基づいて議案内容を確認しており、社会的不祥事など重大な懸念事項が生じている場合には、慎重に賛否を検討しています。