グループガバナンスの強化、組織風土の改革(統合リスク管理の実践)
当社グループは、組織運営上の重要な仕組みとして、リスクマネジメント(事業に関わるリスク対策)と、コンプライアンス・内部統制(職務執行上のリスク対応)を有機的・一体的に機能させ、経営戦略や事業目的等を達成して、企業価値の最大化を図っていきます。
コンプライアンスの徹底
基本方針
当社グループは、グローバルに様々な事業を展開しているために、安全保障貿易管理、贈収賄防止、競争法など、世界各国・地域の法令や行政による許認可、規制の適用を受けており、その遵守に努めています。
また、法令遵守のみならず、国際規範に則り行動するとともに、社是・経営理念・島津グループサステナビリティ憲章のもと、役員および従業員が共有・遵守すべき倫理規範を「島津グループ企業倫理規定」として定め、当社社長方針の「コンプライアンスは全てに優先する」を実践しています。
- 安全保障貿易管理:国際的な平和および安全の維持に関する管理方針のもと、適正な輸出入管理の実施
- 贈収賄・反競争行為の防止:公務員への贈賄行為や、民間の取引先・関係先への不適切な接待・贈答の禁止
- 医療機関等との関係と透明性確保:医療機関等への資金提供情報の公開
- 臨床研究に関する情報公開:臨床研究に関するオプトアウト等
相談・通報窓口の整備
企業倫理に関する問題の予防・早期発見・対策のため、相談・通報窓口を社内外に設け、当社グループ全従業員(退職者を含む)、派遣社員および社内で業務に従事する請負会社従業員に周知しています。なお社外窓口「外部ホットライン」への相談・通報は外部弁護士が通報を受領し、監査役が調査を行う、経営幹部から独立した仕組みとなっています。2022年度は、グループ全体で119件の相談・通報がありました。情報提供者を保護するとともに、必要な調査を行い、是正・措置・再発防止策の策定を講じています。
推進活動
当社グループは、企業倫理規定のエッセンスをより分かりやすくまとめた「島津グループ企業倫理行動規範ハンドブック」を策定し、集合研修やe-Learning等の教育活動により、その内容を啓発・浸透させることでコンプライアンス上の問題発生の予防に取り組んでいます。
また、本社・国内外グループにおいて、毎年e-learning(2023年の受講率は100%)または学習冊子による企業倫理教育を実施しているほか、集合研修等によるコンプライアンス研修を実施しています。
倫理・コンプライアンス意識の把握
各組織・職場の倫理・コンプライアンス意識を把握するために、定期的(3年ごと)に外部専門家によるアンケート調査を行っています。その分析結果から、各組織・職場でのディスカッションを通じて、改善を図ります。当社グループに共通する改善項目については、各リスク責任部署・各種委員会の統制活動に落とし込み対策を実施しています。
- 本社・国内グループ会社(2021年実施、25社 回答率90%):職場のチームワークとコミュニケーション改善への取り組み
- 海外グループ会社(2022年実施、49社 回答率90%):インテグリティ(誠実性)向上への検討
職場ごとの取り組み
2011年より毎年7月の「島津グループコンプライアンスの日」に、過去発生した不祥事を振り返り、日常業務における気づきを話し合い、コンプライアンス違反の“芽”を早期に発見して、問題発生の未然防止につなげています。
また2022年度から、適切な業務遂行に必要な知識(業法、規定、業務手続等)と価値観の修得、業務品質の向上および人材の育成を目的に、本社および国内グループ会社において、職場単位での学習制度を導入しました。リスク責任部署が提供する教育資料も活用しながら各チームが学習を進めており、2022年度は当社グループで計14,000回を超える職場学習が行われました。これらの活動を息長く実施することで、当社グループの組織に良い風土を醸成していきます。
内部統制(職務執行上のリスク対応)
基本方針
当社グループは、役職員の職務執行が法令および定款に適合すること、およびその業務が適正かつ効率的に行われることを確保するための内部統制体制を整備しています。常に事業環境の変化を捉え、過去の考え方や方法にとらわれない体制へと改善し、強化を図っていきます。
内部統制体制
適正かつ効率的な業務執行のために、業務運営に関する諸規定の体系的整備と職務権限を明確化して、経営の透明性を高めるために当社グループの情報が正確かつ迅速に伝達されるための体制を整備しています。なお、違反行為等が発生した場合は、当社グループでその内容と処分等を速やかに共有し、類似行為の発生抑止に努めています。加えて、個人情報の保護や秘密情報の厳正な管理のもと、広報・IR活動やWebサイトにより、適宜適切な対外情報発信・開示を行っています。
また、当社グループのガバナンスに関する基本的な考え方や経営上遵守すべき事項を纏めた「島津グループマネジメント基本規定」を定めて、グループ全体の経営状況の把握および管理体制の継続的な整備・強化していくことで、適正かつ効率的なグループ運営を実現していきます。
財務報告に係る内部統制の構築
当社グループは、金融庁の実施基準に基づき、「財務報告に係る内部統制体制の構築に関する基本規定」にて、内部統制の基本的な枠組みを定め、業務の有効性および効率性の向上、財務報告の信頼性の確保、事業活動に係る法令等の遵守の促進および資産の保全により、事業活動の目的達成を図っています。
その構築にあたっては、適正な財務報告を作成し開示することの重要性を十分に認識し、内部統制を全社的な経営課題として整備、運用するとともに、その内部統制の水準を維持および向上させるために継続して評価し、不備があれば改善(是正)する活動を実施しています。実施範囲については、重要性の高い会社や業務プロセスを対象に重点的に取り組むことで、その実効性を向上させています。
実施範囲外(非対象グループ会社)への補完活動
本社内部監査室が作成した重要項目に絞った点検表をもとに、各社が自己点検でリスクを把握したのち、本社管理部門が連繋して、ヒアリング確認を行っています。その結果を分析して、リスク発生を低減するための統制を整備して、問題発生の抑制に努めています。
リスクマネジメント(事業に関わるリスク対策)
基本方針
企業の社会的責任を果たしつつ事業の継続と発展を達成していくために、リスク管理は不可欠の存在です。当社グループは、事業に関わるリスクを適正に管理するための活動として、リスク発現の未然防止に取り組むこと、また危機事象が発生した場合に早期解決に向けて、その損失影響を最小化する措置および真因究明・再発防止の水平展開を行うことを「島津グループリスクマネジメント基本規定」として定め、実践しています。
リスク・倫理体制
当社グループ全体のリスク管理を推進するために、当社社長を議長として半期ごとに「リスク・倫理会議」を開催しています。その決議事項を各組織・職場で自律的に取り組めるように、リスクマネジメント担当役員の統括のもと、各リスク責任部署や各種委員会が指導・支援します。
※ RM:リスクマネジメント
推進活動
未然防止の活動
定期的なリスクの把握・評価に基づき、リスクへの対応やモニタリングを行い、RM※活動のサイクルを回しています。当社グループの事業活動において、社会からの期待に反する重大な事象の発生、および事業への障害による企業価値の毀損を防止するため、経営層およびリスク責任部署が中心にリスクの識別と評価・優先順位付けを行い、各リスクが適切にコントロールされるよう、優先順位の高いリスクについて全社的な取り組みを行う仕組みの構築に取り組んでいます。
Ⅰ | 当社グループが晒されるリスクを識別(把握)する |
---|---|
Ⅱ | ステップⅠで識別したリスクを評価(発生可能性×影響度)で評価する 対応すべき優先取組リスクを決定する |
Ⅲ | ステップⅡで決定した優先取組リスクの所管責任部署による、リスクを低減させるための対応策の設計、実行により、残存リスクを下げる |
Ⅳ | 残存リスクの評価により、リスクへの対応状況を確認する リスクマネジメントプロセス全体をモニタリングする |
危機事象発生時の対応
危機事象が発生した場合に適切な対応を行うため、リスクマネジメント緊急連絡体制を整備しています。「第一報を早く」を原則に、必要に応じて社長を議長とした対策本部を設けて対策を行います。
モニタリング
基本的な考え方
当社グループは、リスクマネジメント・内部統制・コンプライアンスのすべてが有効に機能していることを、事業・管理・監査の3ラインの各段階で、組織的かつ継続的に検討・評価します。
モニタリング強化の体系
2023年度より海外地域コーポレート本部(欧州、米州、中国、アジア)ごとに監査組織を設置し、本社の業務監査方針のもとで監査を行います。監査頻度を増やして、当社グループ各社の事業部門(第1ライン)と管理部門(第2ライン)へ日常的に適切なモニタリングを促します。