トップメッセージ

代表取締役 社長 上田輝久

世界の重要課題である気候変動や新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策、マイクロプラスチックなどの環境問題、安全な水と公衆衛生の確保、都市インフラの維持、高齢化社会の課題解決など、地球規模で社会の持続可能性を脅かす各種課題の解決に向けた動きが強く求められています。

私たちは、1875年の創業以来145年以上にわたる歴史を通じて、社是である「科学技術で社会に貢献する」、経営理念である「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、課題の本質を見極め、科学技術の視点で真摯にその事実と向き合い、より良い社会の創造に向けてこれからもたゆまぬ努力を継続します。

社是、経営理念、CSR憲章

アフターコロナ時代の新たな成長に向けて、多様化・複雑化する社会課題の解決に科学技術で貢献する

国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成、気候変動に関するパリ協定の遵守とそれに伴う情報開示など、私たちが果たすべき役割・責任が強く求められています。私たちは、グローバル社会の中での存在意義を常に考えながら、リスクとチャンスが混在する事業環境の中で、多様化・複雑化する社会課題に対して、世界のパートナーと共に科学技術を用いて解決に取り組みます。

事業領域

CSVとCSRの両輪で、安心・安全な社会に向けた長期目標を設定

CSR憲章では、「事業を通じた社会課題の解決(戦略的CSR=CSV)」と、「社会の一員としての責任ある活動(基盤的CSR)」の両輪で、顕在化している顧客課題の解決に加え、社会が抱える潜在的な課題の解決にも積極的に取り組むことを宣言しています。これにより、豊かで安心・安全な社会の礎を築くことに貢献していきます。

事業活動と国連の持続可能な開発目標(SDGs)を照らし合わせ、「社会の持続可能な発展」「中長期的な企業価値の向上」を実現

当社の事業を通じたSDGsへの貢献目標

前中期経営計画の振り返り

社会課題を解決し、ステークホルダーからさらに必要とされる企業へ

前中期経営計画は、2020年1月末から始まった新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7期連続の増収増益は未達となりましたが、ヘルスケア、環境/エネルギーを中心とした成長分野への積極的な投資や、アフターマーケット事業の強化を含めた収益力の強化とともに、さらなる成長に向けて、働き方改革やダイバーシティ経営なども含めた組織基盤の変革にも取り組みました。

また、SDGsの17の目標と169のターゲットのもと、戦略的CSRと基盤的CSRの両面からテーマを整理し、ステークホルダーと私たちにとって重要度が高い、企業価値を向上させると思われるテーマを選定しました。 今後も、中期経営計画と連動させた取り組みを継続しながら、ESG経営の充実を図ります。

新中期経営計画の概要

世界のパートナーと社会課題解決のための仕組み作りと社会実装に取り組む企業へ

新中期経営計画は、新型コロナウイルスの感染拡大という厳しい経営環境でのスタートとなりましたが、私たちは、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症対策の取り組みを緊急重要課題とし、「感染症対策プロジェクト」を立ち上げました。

また、新中期経営計画では4つの成長戦略を通じて、これまでの研究開発パートナーに加えて、社会実装のための戦略パートナー・事業パートナーと協働することにより、アフターコロナ時代での新たなグローバル社会の創造に貢献していくことを目指します。これにより、島津製品・サービスを活用した「社会課題解決のための仕組み作りと社会実装」を進め、持続的な成長と企業価値の向上を図っていきます。

新中期経営計画の全体像(2020-2022年度)

基本コンセプト

世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業へ
ー社会課題解決のための仕組み作りと社会実装ー

緊急重要課題への取り組み

感染症対策プロジェクトの推進

新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策を重大な社会課題として位置付け、これまで提供してきた装置・試薬のラインアップに加えて、新たな製品開発を進めることで、「ウイルス・細菌等病原体分析のソリューションの提供」に対する取り組みを強化します。

製品提供だけでなく、「感染症対策の仕組み作り」を目的として、大学・病院・医療機関などとの協働に積極的に取り組むことにより、現在、深刻な問題になっている「新型コロナウイルスの感染拡大防止」と、今後の新たなリスクとなっている「感染症全体への対策」という2つの視点で社会への貢献を目指します。

感染症対策プロジェクトの概要

当社グループが取り組む感染症対策は、現在、大きな社会課題となっている新型コロナウイルスの対策と、感染症全体の対策の2つに大別されます。以下の図はその概要ですが、検査、診断、データ管理とネットワーク、感染症のワクチン・治療薬の開発支援などで新たな科学技術を用いたソリューションの提供に取り組みます。

感染症対策プロジェクトの概要

新型コロナウイルスに関連した取り組み

2019年11月、中国湖北省武漢市で発症が確認された新型コロナウイルス感染症は、短期間のうちに世界中の国・地域に感染が拡大しました。全世界で感染を疑われる患者が急増する事態となり、感染拡大の防止や感染者への適切な処置などの観点から、「医療現場での迅速な検査・診断」が急務となりました。当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、さまざまな取り組みを展開しています。

新型コロナウイルス検出試薬キットによるPCR検査の迅速化を図る

新型コロナウイルスの感染の有無を迅速に確認するために、PCR検査の時間短縮が求められています。

PCR検査における課題を解決するため、当社グループはRNA精製を必要としない、「新型コロナウイルス検出試薬キット」を開発・発売しました。本試薬キットの普及を推進していくことで、検査を行う方の負担を軽減し、検査数の増加につなげ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に貢献します。

新型コロナウイルス検出試薬キット

移動式の回診用X線撮影装置による肺炎検査の実施

新型コロナウイルス感染症による肺炎の診断用途に、病棟やICU(集中治療室)に移動して使用できる移動式の「回診用X線撮影装置」の需要が急増しています。本装置により、患者のベッドサイドでX線撮影することができるため、効率的な肺炎の検査が可能になります。また、撮影後約2秒で画像が表示されるため、医師の診断をスピーディーに支援します。

移動式の回診用X線撮影装置

代表取締役 社長 上田輝久

4つの成長戦略

新中期経営計画では4つの成長戦略を通じて、戦略的な投資を継続するとともに、重点事業を核にした各種ソリューションを強化し、事業拡大を図ります。

成長戦略1 重点事業の強化、拡大

計測機器事業の液体クロマトグラフと質量分析システムを中心に、全社のリソースを活用し、製品ラインアップの拡充と欧米でのシェアアップを目指します。労働人口の減少や感染症対策のための省力化や非接触ニーズへの対応を目指し、AIやロボティクスを活用した自動化やデータベース拡充への取り組みを推進します。

 

超高速液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」(左)と 質量分析計「LCMS-9030」(右)

超高速液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」(左)と
質量分析計「LCMS-9030」(右)

成長戦略2 海外事業の強化、拡大

海外での事業成長を実現するために、地域の特性に応じて拠点機能を強化し、パートナーと協力して各地域の課題を解決することによる事業成長を推進します。特に、北米・中国を中心に適切なタイミングでメリハリのある投資を行うことにより、海外事業の成長を目指します。

 

当社グループの
イノベーションセンター(IC)の拠点

当社グループのイノベーションセンター(IC)の拠点

成長戦略3 リカーリング事業の強化

前中期経営計画においてグループの一員となった海外各社と連携し、試薬・消耗品を中心としたアフターマーケット事業の着実な成長を目指します。また、『社会課題解決のための仕組み作り』は私たちの製品・サービスが繰り返し利用される状況を生み出すビジネスモデルの実現を狙ったものです。データやアプリケーションを活用し、サブスクリプションや従量課金型などの新たな販売形態も取り入れ、収益基盤の強化を図ります。

 

グループ会社 仏Alsachim SASのレムデシビル対応の安定同位体試薬

グループ会社 仏Alsachim SASのレムデシビル対応の安定同位体試薬

成長戦略4 成長4分野での事業拡大

事業パートナー・戦略パートナーと協力して社会課題を解決することで新市場を創出し、私たちの製品・サービスを拡大することを目指します。北米イノベーションセンターや国内研究機関と進める機能性食品分析といった市場の創出を先行事例として、ヘルスケア、環境・エネルギー、マテリアル、インフラの成長4分野で新市場創出を加速します。前中期経営計画で投資し、開所したヘルスケアR&Dセンターの活用に加え、新事業を育成する目的で新たに設立するスタートアップ・インキュベーションセンターを通じて、成長分野での事業化を促進します。

島津の資本政策

最適な資本構造を追求し、未来の成長のための投資を強化

資本政策については、財務の健全性や資本効率など私たちにとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来を見据えた成長投資、株主還元、従業員への還元を最適なバランスで実施していくことを基本としています。新中期経営計画の定量的な経営目標の一つとして、ROE10%以上を維持することを掲げています。

成長投資としては、成長分野におけるシェア拡大、新規開拓市場への参入、新技術の育成・獲得、競争力の源泉となる技術力のさらなる強化に向けた設備投資や、事業ポートフォリオの充実に向けたM&Aなどが挙げられます。なお、新中期経営計画での成長投資は、次期中期経営計画以降も見据えたものとなっており、成果の創出には少し時間がかかることを想定していますが、必ず企業価値を向上できると考えています。

株主還元は、総還元性向30%を目標にしています。私たちの配当における基本的な考え方は、利益の配分について、将来への成長投資、社会貢献、ステークホルダーへの還元を念頭にした「安定的な配当の継続」です。安定的な配当の継続とは、業績に左右されることなく、安定的かつ継続的に配当を増加させることが株主の皆様への利益還元として最良の方法であると考えています。

島津の価値創造モデル

社会課題の解決による共有価値の創造で持続可能な社会と成長の実現へ

私たちは、世界のステークホルダーとのパートナーシップにより、「科学技術」と「社内外のネットワークの拡大」を活用し、顕在化している顧客課題の解決に加え、複雑化・多様化する社会が抱える課題(顧客の潜在的な課題)の解決にも積極的に取り組んでいます。その結果として、持続的な価値創造を実現するとともに、顧客・社会からさらに必要とされる存在になることを目指しています。

これからも社是、経営理念、CSR憲章を経営の根幹に据え、長期的な視野を持って経営の健全性・透明性を確保します。また科学技術を活用しながら社会課題と真摯に向き合うことで、「社会の持続可能な発展」と「中長期的な企業価値の向上」の実現に努めていきます。

価値創造モデル

価値創造モデル

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