
プラネタリーヘルスの追求
当社は、150年にわたり「科学技術で社会に貢献する」ことを社是として事業を続けてまいりました。
そして現在は、「人と地球の健康」、すなわちプラネタリーヘルスの追求を中長期のミッションとして掲げ、ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーの4領域で社会価値を提供する企業を目指しています。
2026年度からスタートした新中期経営計画では、これまでお客様とともに追求し、蓄積し続けてきた技術力をベースに、お客様一人ひとりのニーズに基づいた最適な製品とサービスをお届けし、「技術に立脚したカスタマーイン志向のトータルソリューションパートナー」になることを2035年のありたい姿として定めました。当社グループが関わる4領域では、お客様のことをお客様ご自身より深く理解することに努め、お客様ご自身が気づいておられない潜在的な困りごとを解決する企業として、科学技術とサービスであらゆる場面においてお客様のパートナーになりたいと考えています。当社グループが「カスタマーイン志向のトータルソリューションパートナー」に近づくことで「プラネタリーヘルスの追求」にもつながると信じています。
失敗を恐れずに挑み続ける
当社グループの強みは、①「科学技術で社会に貢献する」という社是に忠実な志を持つ社員、②「お客様が必要とするものを提供する」という創業当初からの志を引き継ぎ、すべてのお客様のご要望にお応えしようという姿勢、③お客様のご要望にお応えするために150年以上追求し蓄積し続けてきた技術力と開発力、④その結果として幅広い分野のお客様からいただく信頼、だと考えています。
この強みを生かすには、常に失敗を恐れずに挑戦し続けることが重要です。私たちが様々なことに挑戦し、ナンバーワン・オンリーワンを追求する姿勢を“Excellence in Science”というブランドステートメントで表現しています。そして、これから必要な挑戦は、カスタマーイン志向でのビジネス変革です。

長い歴史の中で、当社は「装置開発」を中心に据え、技術力・開発力を追い求めてきました。そのため、消耗品やソフトウェアを含めたお客様のワークフロー全体を考える意識が少し希薄だったかもしれません。お客様が必要としているものは装置ではなく、装置から得られるデータです。データを得るためには、ワークフロー全体を考えることが必要で、この点からビジネスを創ることが重要です。ワークフロー全体を見て考え、お客様のために必要なものをご提案するという意識に変革し、ビジネスを変えていきます。営業本部や製造本部、分析計測事業部のリカーリング事業統括部を設置したのはそのためです。
また、様々な地政学リスクやAIの急速な進化と浸透といった事業環境の変化が起こる中、より迅速かつ大胆な意思決定が求められる場面が多々出てくると予想されますが、これらの変化への対応力も強化したいと考えています。また、一度決定した方針であっても、状況が変われば躊躇なく修正する「機敏な行動」と「柔軟な考え」を両立させていきます。
AIをどのように事業・製品・ソリューションに取り入れていくか、自分たちの仕事のやり方を変革するか、ということも重要な挑戦として取り組んでいきます。
新たな分野へ、新たなパートナーとともに
当社は、昨年12月にTescan社の買収を決定しました。これを契機に、半導体市場で計測機器を伸ばしていくという新たな挑戦を始めます。
Tescan社は、チェコ・ブルノ市の老舗企業で、技術力の非常に高いメーカーです。私自身も本社を訪れ、技術力に対する信頼をさらに強固にしました。
買収完了後の戦略ですが、当社は半導体製造装置用の真空ポンプ事業で、半導体大手のファウンドリー近くにサービス拠点を有し、お客様と強固な信頼関係を築いています。この関係を有効活用します。
Tescan社と当社グループは、地域的・顧客的な補完性を持っているので、まずは双方の製品のアプリケーションをまとめ、Tescan社の電子顕微鏡(SEM、TEM)を当社のお客様に、当社の表面分析製品などの半導体関連製品をTescan社のお客様に販売し、双方の製品の販売を拡大します。生産面でも協力し、Tescan社製品の当社工場でのノックダウン生産など、供給体制と価格競争力の強化も検討します。
また、少し長期になりますが、Tescan社と当社グループの技術を掛け合わせ、独創的な製品開発を進めて新たな価値創造をしていきます。Tescan社の電子顕微鏡も活用し、半導体市場における表面観察・分析、製造装置、プロセス開発・不良解析、インライン検査のワークフロー全体でお客様へのトータルソリューション提供に取り組みます。
収益力・効率性を向上させるために
足元では、収益力の改善が大きな課題と認識しており、新中期経営計画では、収益力をいかに向上させるかを重要な経営テーマとしています。 まず、北米R&Dセンターのような顧客密着型拠点を使って、市場・顧客の真のニーズを把握し、ソリューションをアジャイルに製品やサービスに反映させ、提供価値を高く認めていただくことで収益につなげます。そして、このサイクルを素早く回していきます。2025年度は、計測機器ではLC、MS、GC、試験機など、医用機器では回診装置など、計10機種以上の新製品を発売しました。多くの新製品を発売できたことには満足していますが、中長期的なKPIとして掲げる「発売後3年間の新製品の売上高が製品総売上高の30%を占める」状態には達していません。引き続き目標の30%に向けて、新製品を生み出し続ける努力と、適正なプライシングで販売する努力を続けます。

前中期経営計画では、世界のお客様の多様な要求に迅速に応えるために、開発のグローバル化を進め、アジャイルな開発プロセスの活用や、開発の一部のプロセスに他社との提携や協業を活用するなど、自前主義にこだわらない開発も進めてきました。これらの取り組みは今後も継続します。
収益力の向上には、不採算製品や事業の見直しといった「選択と集中」も行う必要があると考えています。当社グループは、計測・医用・産業・航空の4つのセグメントで事業を展開していますが、現時点での市場の成長性と当社の収益性の観点から、各事業を投資方針に応じて新たに位置付けました。
計測の重点機種(LC、MS、GC)とリカーリング事業を「コア事業」と位置付け、成長に向けて積極投資を行います。それ以外の機種は「基盤事業」として、必要投資で最大効率を求める事業と位置付けます。また、計測の半導体関連は、成長に向けた「先行投資事業」と位置づけ、産業も必要投資を行う「基盤事業」とします。
航空は「構造強化事業」と位置づけ、事業特性に応じ、事業価値の維持向上に必要な投資と収益性向上に必要な投資を行います。
一方、医用は「収益改善事業」と位置付け、不採算製品の撤退、不採算地域の縮小など、営業利益率10%以上を安定的に創出する体質を目指して改善施策を実施します。
さらに、長期的なミッションである「プラネタリーヘルスの実現」には、資本効率を上げることが重要であるとの認識が、社内・社外含めた取締役会メンバーで共有されています。
ROE、ROICを、売上高や営業利益、営業利益率といったKPIと並んで重要な指標ととらえ、前中期経営計画でも目標を定めて取り組んできました。残念ながら売上成長を十分に利益成長や資産効率向上につなげることができず、期間目標には届きませんでした。
ROICについては、全社での指標改善はもちろんですが、事業別での収益性と投下資本の関係を独自の指標として表し、評価する枠組みを整備しています。事業別・機種別にSROIC(島津ROIC)を軸とした管理へ転換を図り、事業の収益性や投資効率を踏まえた意思決定を進めていきます。
2026年度の位置づけ
2026年度は新中期経営計画のスタートとなる大切な年です。前中期経営計画で実施してきた研究開発・人的投資・M&Aを中心とした将来に向けた成長投資を、成果として結実させる最初の年です。また、並行して、これまでと同じように将来に向けた成長投資を行う年でもあります。夢と熱意をもって挑戦し、結果につなげていきたいと考えています。
当社は2035年に売上高1兆円以上という目標を掲げ、さらにその先の新たな成長に向けて、プラネタリーヘルスを追求していきます。
ステークホルダーの皆様には、引き続きご支援とご理解をお願い申し上げます。
代表取締役社長 山本 靖則 略歴
| 1983年4月 | 当社入社 | |
| 2003年10月 | 分析計測事業部 試験機ビジネスユニット統括マネージャー | |
| 2013年6月 | シマヅ オイローパゲーエムベーハー(ドイツ) 社長 | |
| 2014年6月 | 執行役員 | |
| 2017年6月 | 常務執行役員 | |
| 2017年6月 | 製造・情報システム・CS担当 | |
| 2017年6月 | 技術研究副担当 | |
| 2020年4月 | 経営戦略・コーポレート・コミュニケーション担当 | |
| 2020年6月 | 取締役 | |
| 2021年4月 |
専務執行役員 |
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| 2021年4月 | CFO | |
| 2022年4月 | 代表取締役社長(現在に至る) | |
| 2022年4月 | CEO(現在に至る) |



