化学物質管理/公害対策

化学物質管理

当社では製造、研究開発、アプリケーション開発などの場面で多種多様な化学物質を使用しています。これらの物質は使い方を誤ることで事件や事故につながる恐れがあり、様々な法令で規制されているものもあります。
そのため、主管部門と化学物質を使用する部門との連携により、適用される法令に応じた管理状況を確認すると共に、各部門において、輸出入時の許認可の確認、個別の緊急時対応の教育訓練や、有害物質の代替化を進めるなど、BCP(事業継続計画)の観点からも適正な管理を推進しています。
フロン排出抑制法での対応は、法律に基づいた簡易点検や定期点検を実施し、充填および回収量・漏えい量を把握しています。PRTR法では、第一種指定化学物質の取扱量や移動量・排出量を把握し行政への報告を適切に行っています。当社では、島津トラステック(株)製の薬品管理システムCRISを用いて、個々の薬品の入出庫管理を行っています。このシステムにより、購入・使用・廃棄時の数量を管理しており、在庫量・使用量の集計だけでなく、PRTR法に基づく行政報告にも活用しています。

PRTRデータの詳細

ここ数年の取り組みとして、化学物質を扱う部門における震災発生時などの緊急事態への備えを強化することを目的に、転倒防止措置の実施、従業員への教育訓練、緊急時対応備品の設置などを重点的に実施しました。特に教育訓練については、化学物質を業務で取り扱う部門を中心に全社的な教育を実施し、社内外でのリスク事例などを共有化し、管理レベルの向上を図っています。同時に、お客様への販売に関わる営業部門に対しても許認可管理の重要性などを教育しており、日常的な業務手順の周知などを徹底しています。

薬品管理システムCRISの開発

薬品管理システムCRIS(Chemical Registration Information System)は、2001年に京都大学工学部のご協力のもとで島津トラステック(株)(当時、島津エス・ディー(株))が開発したシステムです。現在まで京都大学、早稲田大学をはじめ、160箇所以上の大学・研究所や企業に採用していただいており、お客様のご要望によりカスタマイズを重ねてバージョンアップをするとともに、さまざまなオプションソフト(画面例右は、リスクアセスメント オプション)も提供しています。
画面例左は、CRISの入庫登録画面です。化学物質の危険性(GHSマーク)や安全データシート(SDS)を薬品登録の際に簡単に表示させることができます。

薬品管理システムCRIS 画面例

薬品管理システムCRIS 画面例

島津トラステック株式会社 薬品管理システム

オゾン層破壊物質について

島津製作所では、製造プロセス中の洗浄作業に使用するHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン:オゾン層破壊物質)を2016年度に全廃しました。

公害対策

大気測定(三条工場)

工場で使用するボイラーから排出される排ガスは、大気汚染防止法及び京都府環境を守り育てる条例の規制基準よりも厳しい自主管理基準を設定し、排気中のNOx濃度を定期的に測定しています。
三条工場では老朽化したボイラーを順次更新し、大気汚染の防止を図るとともに、CO2の発生の削減にも努めています。重油式ボイラーは2014年度に廃止を完了しました。

水質測定(三条工場)

工場からの排水は、法や条例よりも厳しい自主管理基準を設定し、定期的に水質を測定しています。三条工場では、各水質項目の定期測定以外にも、専用モニターと社内LANによるネットワークを利用したpHの常時監視を行っています。排水のpHが自主管理基準を超過した場合には、担当者にメールで異常を通知し、迅速に対応できるシステムを構築しています。

さらに、主な生産拠点である三条工場、瀬田事業所、秦野工場や開発拠点であるけいはんな研究所では、排水に含まれる有機物の総量(TOC)の常時モニタリングを実施しています。全有機体炭素(TOC:Total Organic Carbon)は水中に存在する有機物を構成する炭素の総量であり、「水の汚れ」を示す代表的な水質指標のひとつです。今秋には、新たに開所するShimadzu Tokyo Innovation Plazaでもモニタリングを開始予定です。TOC計は、有機性の汚濁物質の検出が可能であり、迅速に測定可能であることから、排水の上流監視用途として最適です。当社での活用事例を、社会に多く広めることによって本用途での普及を図り、お客様の環境への取り組み支援につなげていきます。

オンライン全有機体炭素・全窒素計(TOC計)

オンライン全有機体炭素・全窒素計
(TOC計)

水の管理

水資源への対応については、緑地の散水への雨水利用や、節水型の器具の採用などにより、水使用量の低減に努めています。
2022年度の水使用量は国内生産拠点・研究所では、生産増などの影響により、244千m3と前年比18.7%増加、売上高原単位でも、0.051千m3/億円と5.4%悪化しました。
工場からの排水については、法や条例よりも厳しい自主基準のもとで管理していますが、前年度は当社の工場で1件、ノルマルヘキサン抽出物の排水基準の超過が発生しました。
今後も、持続可能な資源の利用に資する取り組みを実施します。

国内生産拠点・研究所、主要生産関係会社の水使用量の推移

排水違反報告

島津製作所瀬田事業所( 滋賀県大津市)で、2022年7月25日の排水中に下水道法で定められた基準を超過するノルマルヘキサン抽出物が検出(基準値30mg / L以下、検出値42mg / L)されたことから、大津市より指摘を受けました。
調査の結果、厨房から出される排水が原因と特定し、①厨房業者へ油など混入防止徹底要請、②厨房系統の配管洗浄の対策を実施し、大津市に報告しました。その後の経過観察により、厨房系統の清掃は毎月実施するルールを定め運用し、是正しています。

環境データの第三者保証について

【保証範囲】
対象期間:2021年4月1日~2022年3月31日
対象範囲:株式会社島津製作所 本社、工場・事業所、研究所
保証対象:上水使用量(m3

主要拠点の上水使用量 算定報告書

主要拠点の上水使用量 算定報告書

監視制御システムによる環境への貢献

島津システムソリューションズ(株)は、古くから工業用計測機器の開発・設計・製造・保守を行なっています。設備が適切に動作するように自動制御したり、運転状況を監視したりする監視制御システムを電力、上下水道、ごみ焼却場といった公共性の高い設備に納入しています。これらの設備には、省エネのために適切な回転数でポンプを回したり、有害な物質が排出されていないか監視したりする機能を付加して、環境対策を施しています。
例えば、ごみ焼却場では、ガスに含まれる有害な物質を除去するための環境処理装置が、ごみを燃やしている間は連続稼動しています。当社の監視制御システムは、ごみ焼却炉の制御だけでなく環境処理装置の動作も監視し、これらの装置が適切に動作して有害な物質が出ていないことを監視しています。このような24時間365日の稼動にも耐えられるように、高い信頼性を備えた制御装置を自社で開発・製造しています。
今後も新たな技術開発とシステム提案で、微力ながら環境負荷削減の一助となれるよう努めてゆく所存です。

監視制御システムによる環境への貢献

島津システムソリューションズ(株)会社概要

電気・ガス・水道などの社会インフラや製造プラントに於ける計測制御事業のほか、JCSS認証を受けた実流校正事業へと『科学と技術を融合させて、社会に貢献する』会社を目指し邁進しています。

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ヘリウムガスセーブユニットの開発

ヘリウム(He)ガスは天然ガスを採掘する際に副生成物として採取されるもので、世界6ヵ国でしか取ることができず、その大半がアメリカで生産されています。その主要ソースであるアメリカでの生産設備のトラブルや中東でのプラント定修があり大規模な減産となっています。日本でも一気に供給不足になりました。そこで、島津アクセスは、貴重なHeガスの消費量を抑制し、ガスクロマトグラフのHeキャリアガスを長期間ご使用いただくため「Heガスセーブユニット」を開発しました。
「Heガスセーブユニット」は、分析モード、待機モードをタイマーで自動的に切換え、ガスクロマトグラフの分析待機時間に、必要最少量のHeガスのみを供給します。
「Heガスセーブユニット」をご使用いただくことで、Heガスの消費量を最大で約75%削減することができます(47Lのガスボンベ使用時)。

ヘリウムガスセーブユニットの開発

(株)島津アクセス 会社概要

(株)島津アクセスは、島津製作所が開発・販売した装置のアフターサービスを担うグループの5社および2社の事業部門が統合し、2011年4月に誕生した会社で、分析・試験検査など各種機器の設置から保守点検、修理、分析指導まで、販売後のサービスを行っています。

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生物多様性の保全