気候変動対応への取り組み

気候変動対応への取り組み ーTCFD提言への賛同、SBT認定の取得、RE100を宣言-

当社グループは、環境問題を最重要経営課題の一つとして位置付けています。中でも、気候変動問題に対して、バリューチェーンを含めた事業活動におけるCO2排出量の抑制や、環境/エネルギー分野におけるイノベーション創出に貢献する製品およびソリューションの提供に取り組んでいます。また、2019年5月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言に賛同し、関連情報の開示に努めています。

TCFD
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TCG-RE100

ガバナンス

環境問題に関わる最高審議機関として代表取締役社長を議長とし、経営層をメンバーとする「環境会議」を年2回開催し、社会の動向や当社の現状を認識するとともに、課題解決に向けた施策を議論しています。
中長期のCO2排出量削減目標やRE100への加盟など、当社グループの環境経営に関わる重要な事項については、執行役員会や取締役会で決定しています。

気候変動対応への戦略

2021年3月に、2050年までに使用電力を100%再生可能エネルギーとするRE100を宣言しました。当社グループは事業活動における中長期のCO2排出量削減目標として、2030年度に30%削減(2017年度比)することを定めており、国際的な環境団体SBTイニシアティブによる「SBT(Science Based Targets)認定」を取得しています。また、削減目標のさらなる引き上げを検討しています。

気候関連シナリオに基づくリスクと機会

社会が今世紀末までの気温上昇を1.5℃以内に抑えて脱炭素社会へ移行するシナリオ、および気温上昇が4℃に達するシナリオの2つを想定し、各分野における将来予測と当社の対応を記載しました。

自動車分野

市場環境の将来予測(1.5℃の場合)

脱炭素に向けた世界の動きに対し、急激な電動化への変化が起こります。欧州では2030年~2035年にガソリン車やディーゼルの新車販売を禁止する法律が成立し、中国では2035年までにすべての新車を電動化することを目指しています。日本でも、2035年にガソリン車などの新車販売を禁止する一方、ハイブリッド車は除外するなど、欧州にくらべると規制は緩やかですが、今後さらに前倒しされることも予想されます。

市場環境の将来予測(4℃の場合)

先進各国では電動化の流れがありますが、予定通りに進まずガソリン車やディーゼル車が主流の状態が続くとみられます。一方、電気自動車や水素燃料車の開発は徐々に進み、一般社会への普及は2030年以降となることが予想されます。

当社の対応と取り組み

電気自動車の普及に伴い、大容量で安全かつ効率的な蓄電池の需要が高まっていきます。特に安全面で優れる全固体電池の開発が急がれており、その研究開発や品質管理に非破壊X線装置、蛍光X線分析装置などのX線を用いた評価技術および発生ガス分析などで貢献していきます。
また素材の高強度化・軽量化が望まれていることから、材料試験機や表面解析技術で支援していきます。バイオ由来のプラスチック開発が進むことから、その開発や品質管理に貢献する材料試験機、熱分析装置、各種クロマトグラフや元素分析装置を提供していきます。

エネルギー分野

市場環境の将来予測(1.5℃の場合)

再生可能エネルギーを主力電源として捉える政策が中心になり、電力の安定・安全な供給を持続しながら再生可能エネルギーの増大を支える蓄電、水素、送電技術、電力取引などの技術の多面的な取り組みが必要になると考えられ、同分野における市場拡大も見込まれます。
再生可能エネルギーの積極的な導入・普及に伴い、電源構成や電力供給の形態が変わることで、蓄電池の需要が増えていくことが予想されます。
電動車の普及に必要となる電気インフラ等の整備に課題がある新興国では、ガソリン車などの需要が一定程度残ることから、燃料用バイオエタノールの需要増加や低コスト化が見込まれます。

市場環境の将来予測(4℃の場合)

電力需要の増加に対応するため、再生可能エネルギーと共に、クリーンな天然ガス火力発電事業の拡大が見込まれます。再生可能エネルギーの普及を上回る電力需要増を支える発電用燃料として、天然ガスの需要増加が見込まれます。
日本国内では電力買取制度が終了したため、太陽光発電パネル新設の動きは鈍くなります。一方多くのパネルの寿命は20年から30年で、また自然災害で被災する設備も増えることから、廃棄処分されるパネルが大幅に増えると予想されます。

当社の対応と取り組み

重要なエネルギーとして水素の活用が促進されていくことから、水素の製造過程における品質管理分析で各種クロマトグラフを提供していきます。地上・洋上風力発電については、設備の維持管理に貢献する試験検査機器や安全管理モニタリング機器を開発し提供していきます。
エネルギーの地産地消が推進されていくことから、木質バイオマス発電も増加していくことが予想されます。効率的な運用を支援する水分計や焼却灰中の有害物質の有無を調べる蛍光X線分析装置などで貢献していきます。その他、新興国でのバイオエタノール需要の拡大に対して、その品質管理のためにガスクロマトグラフや元素分析装置を提供していきます。
製鉄所や火力発電所などから排出されるCO2の削減には、CO2の回収・貯留(CCS)や固定化(CCUS)技術が不可欠になると予想されます。CCSではCO2吸着剤の研究開発に表面解析技術や粉体評価技術を、CCUSではCO2から生成されるメタノールなどの評価にクロマトグラフを提供していきます。また大気中から直接CO2を回収する技術や、バイオマス発電設備からCO2を回収する技術の開発にも貢献していきます。
リスクとしては石油の需要減少に伴い、精製・品質管理を担うガスクロマトグラフの需要減少が懸念されます。しかし石油の代替として期待されている微細藻類によるオイル生成では、石油と同様の品質管理が行われることから需要継続が見込まれます。また石油・石炭火力発電が減少していくことから、排ガス測定装置の需要減が懸念されますが、一部ではバイオマス発電への切り換えが期待できることから、改修時の装置の更新や燃料の品質管理需要を取り込んでいきます。

半導体・産業機器分野

市場環境の将来予測(1.5℃の場合)

半導体・電子部品の市場は、リモートコミュニケーションの大幅な普及拡大やデジタル社会の発展で拡大することが予想されます。
自動車部品の市場は、自動車の電動化率が急速に上昇し、モータや電池の需要急拡大が予想されます。
石油化学の市場では、生分解性樹脂の比率の増加や、エネルギー・インフラの市場では、風力発電などの再生可能エネルギーの比率が急速に増加することが見込めます。

市場環境の将来予測(4℃の場合)

半導体・電子部品の市場はデジタル社会の発展で拡大することが予測できるものの、自動車の電動化、生分解性樹脂の普及、再生可能エネルギーの比率は緩やかな上昇にとどまることが予想されます。

当社の対応と取り組み

半導体やフラットパネルディスプレー・スマートデバイスのスクリーンフィルムの市場拡大に対応し、それらの製造に不可欠なターボ分子ポンプの開発や生産体制を整え、世界ナンバーワンのシェア確立を目指します。
石油化学の市場で用いられる液送ポンプは、生分解性樹脂に対応した高効率製品の投入を進めていきます。
ガソリン車の市場は縮小していくため、ガソリンタンクの漏れ試験を行うリークディテクタやエンジン回りのバランス検査を行うバランサの需要も減少していきますが、EVが増加していくことからモータ用バランサなどの新製品投入を進めていきます。
工作機械の切削刃や高機能ファインセラミクスを焼き固める工程で必要な工業炉は、処理時間を短くすることで消費電力を抑えた新製品の開発や風力発電ブレード用のガラス繊維巻取機の開発を進めていきます。

油圧機器分野

市場環境の将来予測(1.5℃の場合)

産業車両・建設機械などの分野でも、自動車と同様に電動化が進むと見込まれます。
フォークリフトなどの産業車両は電動化が進み、その比率は現状の60%から90%以上に達することが想定されます。パワーショベルなどの建設機械は、都市部工事では騒音対策もあり、電動建機が多く使用されることが想定されます。小型農機やパワーリフトやクレーンなどを備えた特装車両も電動化が進むことが予想されます。

市場環境の将来予測(4℃の場合)

産業車両・建設機械などにおける排ガス規制は、自動車と比較すると10年以上遅れていることから、エンジン駆動が主流のままとなることが想定されます。
フォークリフトなどの産業車両の電動比率は現状の60%と変わらず、建設機械や農業機械、特装車両の電動化が進まないことから、中国などでの生産増が進み、搭載される油圧機器などのコンポーネントに対してさらに低コスト化の要求が高まることが予測されます。

当社の対応と取り組み

車両の電動化が進むことで、搭載されるコンポーネントについても従来よりも静粛性や自動運転化への対応が求められることが想定されます。当社は低騒音油圧ギヤポンプや電磁比例コントロールバルブなど開発を進め、車両の電動化への対応を進めていきます。また低コスト化の要求には集中生産や最適なサプライチェーンの構築などを進めて対応していきます。

医用分野

市場環境の将来予測(1.5℃の場合)

医療の世界では人の健康を守ることが最優先ですが、そのような中においてもエネルギー使用低減への要求が高まっていくことが予想されます。医用画像診断機器の使用電力のさらなる低減や回診用X線装置のバッテリーによる稼働時間の延長などが求められることが想定されます。

市場環境の将来予測(4℃の場合)

熱帯・亜熱帯地域に多い感染症が温帯地域においても増加し、感染症対策の重要性が高まってくることが想定されます。また洪水発生の頻度が高まり、災害発生地域での画像診断への要求が増加することが予想されます。

当社の対応と取り組み

装置のさらなる省エネルギー化や動作環境条件の緩和ができるよう開発を進めていきます。感染症や災害の発生頻度が高まることから、画像診断装置のニーズも増えていくことが予想されます。増加する感染症への対応としては、回診用X線診断装置や外科用Cアームのような可搬型診断装置のバリエーションを増やすことや、より長時間稼働が可能な装置開発を検討していきます。また災害発生時には可搬型の画像診断機器を貸し出すサービスなども検討していきます。

航空分野

市場環境の将来予測(1.5℃の場合)

化石燃料を使用する航空機市場は縮小が予想される中、コロナウイルスの影響もあり、どの程度のスピードで進行していくかは予測することが困難ですが、ジェット燃料にバイオ燃料を5~10%程度混合して利用することや、将来は水素エンジン航空機の実用化も想定されます。

市場環境の将来予測(4℃の場合)

地球温暖化により気温が上昇すると、航空機を浮揚させる力が弱まります。地域によっては短い滑走路ではスピードが足りないため浮揚できず、飛行できなくなります。海に近い空港は海面上昇の影響を受けるなど、飛行制限の発生が予想されます。
また、航空機に搭載される電子機器への耐熱要求が厳しくなることも想定されます。現在でも、地域によっては過度な気温上昇により航空機が飛行できないことが発生しており、今後その範囲が広がり、高温地域では飛行が制限されることが予想されます。

当社の対応と取り組み

搭載機器への耐熱要求仕様の変更により、当社製品の再設計が必要になることを想定し、次世代製品の開発を検討していきます。
またコロナウイルスの影響もあり、航空機を取り巻く環境がさらに厳しくなることが想定されることから、保有技術の転用活用の検討を進めていきます。大型空調システムの民生向け活用や加減速機の風力発電向け活用などの可能性を模索していきます。また将来の水素エンジン化に伴う搭載機器の仕様変更なども検討していきます。

事業活動における脱炭素の取り組み

省エネの徹底や再生可能エネルギーによる電力の利用を推進しています。消費電力が多い建物・施設に対して「省エネ診断」を実施し、無駄なエネルギー使用状況を発見し省くことで着実な成果を上げています。事業活動における使用電力を2030年度に85%、2040年度に90%、2050年までに100%再生可能エネルギーとする目標を掲げて取り組んでいます。

異常気象への対応

世界各地で多発している大型台風や豪雨などの異常気象への対応に取り組んでいます。災害の発生や被害が予測される時には直ちに対策本部を設置し、人命の安全確保と被害状況の確認・抑制および早期復旧に努めるための事業継続計画(BCP)を策定しており、着実に実行しています。当社グループでは、従業員の安否確認をはじめ、建屋・設備・情報インフラなどの被災状況を把握し対応する体制を構築するとともに、保険加入などによるリスク分散も行っています。

また、当社製品をご使用のお客様が被災された場合には、事業活動を迅速かつスムーズに再開いただけるよう、サポート体制を整えています。

気候変動シナリオに基づく機会

気候変動シナリオに基づく機会

気候変動シナリオに基づくリスク

気候変動シナリオに基づくリスク

指標と目標

国際環境イニシアティブ「RE100」に加盟