価値創造モデル

培ってきた強み

私たちは、1875年の創業以来147年の永きに渡り、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、真摯に事実と向き合い、本質を見極めながら、顧客・社会課題の解決に努めてきました。
この過程で、コア技術を進化させた製品や技術の応用で事業領域を拡大しながら、様々な分野の顧客の要請に応え、併せて、新たな技術開発力を確保するエコシステムを社内に構築してきました。このような顧客・社会課題の解決に向けて立ち向かう姿勢が、過去から現在に至るまでの揺るぎない理念として島津グループの企業風土の根底に根付いています。

培ってきた強み

1. 社是に忠実

創業者の島津源蔵は、最新技術を学びながら、時代が求める理化学機器を製造していました。創業当初からの「お客様が必要とするものを提供する」という志は、「社会やお客様が求めるものに科学技術で応え、豊かで安心・安全な社会づくりに貢献する」という私たちの姿勢に受け継がれています。多様化・複雑化する社会の課題を解決するうえで、科学技術の重要性はますます高まっています。私たちは、たゆまぬ努力で新たな知見・技術を積み重ね、「新しいモノを生み出す」、「誰も成し遂げられなかったコトを実現する」ための解決策を提供し、今後も社会に貢献し続けます。

 

創業1875年
理化学器械の普及・発展

初代島津源蔵は外国製品に代わる国産の教育用理化学器械をつくり、日本の科学教育を支えました。また、軽気球の飛揚、理化学器械のカタログや科学に関する雑誌の発刊などを通して、科学知識の普及にも力を尽くしました。

初代島津源蔵
初代島津源蔵

1945年~
戦後の再建から発展へ

終戦後の困難な中で、重点産業の石炭の増産に必要な炭鉱機械、全国の医療施設のためのX線装置、重要な輸出産業である繊維産業向けの紡糸用ポンプとノズルなどを生産し、戦後復興を支えました。

遠隔操作式X線TV遠隔操作式X線TV

1996年~
技術の高みへ

バイオなど成長分野へ経営資源を集中する戦略を打ち出し、2001年にライフサイエンス研究所を開設しました。翌年、その研究所の田中耕一が、生体高分子の質量分析法のためのソフトレーザー脱離イオン化法の開発によって、ノーベル化学賞を受賞しました。

ソフトレーザー脱離イオン化法ソフトレーザー脱離イオン化法

2011年~
世界のNo.1パートナーへ

世界の4拠点にイノベーションセンターを新設。また、食品放射能検査装置や女性に優しい乳房専用PET装置をはじめとして、社会課題の解決に役立つ製品の開発にも力を注いでいます。

Shimadzu Tokyo Innovation PlazaShimadzu Tokyo Innovation Plaza

2. すべてのお客様の思いに応える

私たちはお客様や社会のニーズに真摯に対応する企業風土のもと、多様な技術・製品・サービスを創造してきました。グローバルで複雑化する社会課題の解決に取り組むため、これまで培ってきた技術力とオープンイノベーションにより得られる新たな知見を常に融合させることで、社会と自社の共有価値の創造を実現し、人の健康、安心・安全な社会、産業の発展に貢献していきます。

 

感染症対策

新型コロナウイルス感染症対策を重大な社会課題として位置づけ、これまで提供してきた装置・試薬のラインナップに加えて、新たな製品開発を進めています。加えて「感染症対策の仕組み作り」を目的として、大学・病院・医療機関などとの協業に積極的に取り組んでいます。

新型コロナウイルス検出試薬キット新型コロナウイルス検出試薬キット

ヘルスケアイノベーション

がん・生活習慣病などの疾患を克服し、健康的なライフサイクルを実現するために、日常の健康管理・超早期診断・診断・治療・予後管理の各段階に、当社の分析や医用技術を活用する「アドバンスト・ヘルスケア」を推進しています。

アルツハイマー病の原因候補物質を測定する「アミロイドMS CL」アルツハイマー病の原因候補物質を
測定する「アミロイドMS CL」

ライフイノベーション

診断バイオマーカー探索、細胞治療・再生医療ソリューション、細胞培養ソリューションによる創薬支援や再生医療、食品の構造性解析に関わる技術開発を通じて、ライフイノベーションの創出に取り組んでいます。

質量分析システムを用いたバイオマーカー探索質量分析システムを用いた
バイオマーカー探索

グリーンイノベーション

世界的な脱炭素化の取り組みにおいて、マテリアルズ・インフォマティクス、スマートセルインダストリ技術、二酸化炭素固定化技術、インフラの劣化計測技術などに関わる技術開発を通じて、グリーンイノベーションの創出に取り組んでいます。

ロボットとデジタル技術、A(I 人工知能)などを活用したスマートセルインダストリ向け自律型実験システム(Autonomous Lab)プロトタイプの有用性検証を開始ロボットとデジタル技術、
AI(人工知能)などを活用した
スマートセルインダストリ向け自律型実験システム(Autonomous Lab)
プロトタイプの有用性検証を開始

3. 技術開発力の追求

革新的な次世代の製品を生み出すコア技術の研究開発、現在の製品・技術をより向上させた新製品の開発、AI・IoT・ロボティクスを含めた汎用性の高い共通技術の開発を行っています。また、技術やノウハウの融合・発展によって社会の変化や新たな課題に迅速に対応し、未来社会で必要とされる新しい事業や技術の開発に取り組んでいます。

コア要素技術

新たな価値を創出するための核となる先進的で独自性の高い技術

先端技術
イオン(MS)・X線・光・量子などの分野で世界初となる技術を開発して顧客課題や社会課題の解決に貢献することを目指します。

革新バイオ
革新バイオ技術によって予防医療や早期診断、再生医療、バイオプロダクトなどの領域で新しい顧客価値を生み出すことを目指します。

脳五感
人のパフォーマンスを向上させる技術や心理面の増進をサポートする技術などの脳と五感の複合計測の技術開発を行います。

AI
AIを活用した信号処理・画像処理の研究開発を行うことで高度な製品・サービス・新事業を創出し、顧客課題や社会課題に対するソリューションを提供します。

製品基盤技術

多種多様な製品を支える基盤となっている技術

機器制御設計
大重量機体や高速回転体などの制御の質を高めるとともに、振動・騒音低減や衝撃緩和などをもたらす設計により製品の安全性・堅牢性を高めています。

システム統合
試料前処理の省力化や操作の自動化など装置の操作性・利便性の向上を図るとともに、熱・流体の制御や光など核となる要素技術を活かしたソリューションの研究開発に取り組んでいます。

価値創造モデル

私たちを取り巻く社会は、新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策、気候変動やマイクロプラスチックなどの環境問題、安全な水と公衆衛生の確保、社会インフラの維持、高齢化社会への対応などの解決すべき課題が山積みになっています。一方で、社会の一員である私たちは、地球規模で社会の持続可能性を脅かす各種課題の解決に向けた動きや、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成、気候変動に関するパリ協定の遵守とそれに伴う情報開示など、果たすべき役割・責任を強く求められています。
このような現状は、リスクとチャンスが混在する事業環境であるといえます。

私たちは、常に島津のDNAから存在意義を考えながら、世界のパートナーと共に科学技術を用いて、多様化・複雑化する社会課題を解決し、顧客・社会との共有価値をさらに高めていくことにより、より良い社会の創造に向けて、努力を重ね、豊かで安心・安全な社会の礎を築き、さらに必要とされる存在となることを目指しています。

新たな科学技術の源泉は、多種多様な知識や価値観の組み合わせです。そのため、従業員が強みを生かして活躍できる職場であることが、優秀な人財を引き付け、社会に認められる企業であり続けられる条件であると考えています。つまり、社是や経営理念を踏まえた企業価値の向上には、人財の力が欠かせません。そこで、当社は「新たなアイデアを創出するための働き方改革」や「健康経営」に取り組み、組織と個人の両面からさらに生産性を高め、当社を持続的に成長させていくという目的意識を高めています。
こうした優れた人財によって、革新的な製品やサービスを提供していくためには、先進的技術の獲得を目的とした挑戦的な研究開発を行っていくことが必要です。さらに、研究開発戦略、事業戦略、知財戦略を三位一体で展開し、長期にわたって持続的に成長する基盤形成に努めています。

価値創造モデル

科学技術の進歩への取り組み

研究開発とイノベーション

私たちは、未来社会で必要とされる新しい事業や技術の開発に取り組んでいます。例えば、製品・技術をより向上させた新製品の開発、AI・IoT・ロボティクスを含めた汎用性の高い共通技術の開発、革新的な次世代の製品を生み出すコア技術の研究開発、技術やノウハウの融合・発展などです。

 

イノベーションを推進する研究開発体制と共創プロセス

私たちは社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「“人と地球の健康”への願いを実現する」に基づいて社会課題と向き合い、基礎研究や製品・アプリケーションの開発を行っています。また社外パートナーとの共創を積極的に進めて革新的な技術・製品の開発や新たなサービスの社会実装に取り組み、迅速な事業化のためにインキュベーションを強化していきます。

イノベーションセンター

先進的な技術を有する大学や研究機関、民間企業などと共同研究・共同開発を推進する拠点「イノベーションセンター」を、米国、欧州、中国、シンガポール、日本の5拠点に開設しています。

 

製品・サービス開発

日本、中国、欧州に拠点があり社会課題を解決するソリューションを開発・提供しています。「ヘルスケアR&Dセンター」では、当社のヘルスケア関連部門を集約し、分析計測技術と医用画像技術の融合や製品開発を加速させています。また、当社の保有技術や共同研究を広く紹介して議論する共創空間「KYOLABS(キョウラボ)」を設け、社外パートナーと共に革新的な製品やソリューション、新事業の創出を目指します。

 

基盤技術研究・インキュベーション

日本、中国、欧州の3拠点で、要素技術の研究開発を行っています。特に日本では、「Shimadzuみらい共創ラボ」(京都府)を開設し、先端分析、脳五感・革新バイオ、AI(人工知能)などの研究開発を推進しています。オープンイノベーションによる新しい価値の創造と社会課題の解決を目指します。

(2023年3月)