循環型社会

資源循環

適切な廃棄物処理とリサイクルを推進

2024年度の不要物排出量は、国内主要拠点および研究所からの合計で5,741トンとなり、前年比3.9%増加しました。このうち、廃棄物は2,313トンで、前年比5.0%増加しています。これは、一部の工程変更により廃液が増加したためです。プラスチック資源循環促進法で定められているプラスチック使用製品産業廃棄物 は445.0トンで、前年度458.7トンから減少しました。前年度比97%となり、前年度以下の排出量目標を達成しました。プラスチック梱包材のマテリアルリサイクルなどの取り組みを進めています。また、「リサイクル率(=(不要物排出量-最終埋立処分量)/不要物排出量)99%以上」の目標を設定しています。2024年度のリサイクル率は99.62%となり、15年間連続で達成しました。さらに、2024年度の不要物排出量に対する連結売上高原単位 は1.1t/億円で、目標の1.2t/億円を達成しました。当社グループは、限りある地球資源を有効に利用し、循環型社会を確立に努めています。各職場でエコ・産廃リーダーを任命して、法令順守や、3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進しています。 法令遵守を目的とした社内規程や手順も整備し、廃棄物の分別やリサイクルの促進、マニフェスト管理、廃棄物処理委託契約業者への現地訪問調査などを実施しています。

サーキュラーエコノミーへの取り組み

大量生産・大量消費・大量廃棄」のリニアの経済(線型経済)から、製品と資源の価値を長くし、廃棄物の発生を最小にした 循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向け、様々なビジネスモデルが生まれています。 

サステナブル素材の採用による環境負荷低減

サーキュラーエコノミーへの転換に向けて、サステナブル素材の新製品への採用および既存製品・部品の置き換えを促進し、環境課題解決型企業としての価値を向上させるための部門横断の「サステナブル素材普及委員会」は、バイオマス素材やリサイクル素材の採用等を進め、循環型経済への移行に向けて取り組みを進めています。
2024年度は、ターボ分子ポンプの吸気口保護キャップにバイオマス素材を配合したプラスチックを採用、最新型紫外可視分光光度計UV1900i Plusの外装材にリサイクルPC/ABSなどを採用しました。今後も中期経営計画で掲げる「サーキュラーエコノミーへの移行」を実現すべく、石油由来プラスチックの使用量やCO₂排出量を削減していきます。

ターボ分子ポンプ 吸排気口保護キャップ

ターボ分子ポンプ 吸排気口保護キャップ

紫外可視分光光度計UV-1900i Plus

紫外可視分光光度計UV-1900i Plus

梱包材をアップサイクルで廃液回収用のポリ容器に

2022年度からは、プラスチックの一種であるポリエチレンの使用量削減のため、使用済みの梱包材をペレット化し、新品のペレットに混ぜて再生材配合率30%のポリ容器を作成し、本社工場で廃液回収用の容器として使用しています。この資源循環の取組には、2023年度より龍谷大学も参加しています。同大学とは循環型社会「包括連携協定」を締結し、セミナーへの登壇などサーキュラーエコノミーへの移行に向けた協働を進めています。引き続き、中期経営計画の「サーキュラーエコノミーへの移行」に向けた「サステナビリティ素材の活用と製品の長寿命化、リサイクルの推進」を進めてまいります。

写真手前が、再生ペレット30%を配合したポリ容器

IoTを活用した廃プラスチック自動回収システムを導入

工場で発生する廃プラスチックを自動的に回収するシステムを2020年1月から導入し、リサイクル率の向上とCO2排出量の削減を進めています。現在、発生量の多い三条工場、瀬田事業所のほか、サプライヤーとも協働し、社内外5カ所にシステムを導入しています。
IoTを活用することで、回収業者が現場に行くことなく廃棄物の保管量をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで複数の事業所を回って回収できることから、積載効率のアップと走行距離の削減、サプライヤーでのリサイクル率の向上につながっています。今後、島津グループ内での導入拡大を進めるとともに、広く社会への普及を図り、環境保全に貢献していきます。
なお本取り組みは、当社も参画した京都府が総務省の「ICT地域活性化大賞2019」奨励賞を受賞した実証事業です。

(左)廃棄物集積所にセンサー(天井)を設置
(右)廃プラスチックの回収

廃棄量をリアルタイムで把握
複数事業所の巡回により回収効率アップ

PCBへの対応

難分解性・高蓄積性によって生体に対する毒性の高いPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含むトランスやコンデンサなどの装置については、PCB特措法に基づいて処理が進められています。当社が所有するPCB廃棄物のうち、高濃度のPCBを含有するトランスおよびコンデンサについては、2013年度に処理を開始し、特措法に定められた期限内に全てのPCB含有物の処分を完了できるように対応してまいります。
一方、当社のグループ会社である島津テクノリサーチは2種類の絶縁油中の微量PCB簡易定量法を提供しています。迅速かつ安価に信頼性の高い測定値を提供可能な測定技術であり、2011年5月に環境省から公表された「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」にも掲載されています。

株式会社島津テクノリサーチ PCBの分析について

PCB廃棄物の処理

環境配慮型梱包材の推進

島津ロジスティクスサービス(株)では、物流業務の中で、さまざまな環境保全活動に取り組んでいます。その中で重点的に取り組んでいるのが、環境配慮型梱包です。従来、重量物の梱包は、合板や木材を用いた木箱梱包が主流ですが、これを強化ダンボールに変更する取組みを行なっています。強化ダンボールに変更した場合の環境へのメリットは、木材資源の保全と輸送時や梱包材廃棄焼却時のCO2排出量の削減にあります。木材を使用する場合には、生物多様性の取組として森林認証木材を推奨しています。また、荷物運搬時の荷崩れ防止に使用するストレッチフィルム(プラスチック)のごみ減量のため、リユース可能で作業性の良いエコバンドを採用しています。エコバンドを使用することにより、2020年度は460kgのプラスチック廃棄物削減につながりました。
今後も物流分野において環境保全に繋がる活動を行なっていきたいと考えています。

強化段ボール梱包
ストレッチフィルム使用時

島津ロジスティクスサービス(株)会社概要

島津製品の入庫から保管・出庫・包装・梱包・輸送に至るまでの国内・外の商品物流に関する業務の他、梱包設計・輸出梱包などの包装事業、資材調達部品の入出庫、部品センター品の集積配送、工場内および協力会社への生産物流など、国内・外のロジスティクスに関する総ての業務を担当しています。

島津ロジスティクスサービスWebサイトへ

英国のグループ会社でも、積極的に環境に配慮したリユース活動を進めています。その一つが、サプライヤーからの部品調達やメンテナンス部品の配送に、リユースが可能な梱包箱を使用する“通い箱プロジェクト“です。通い箱の設計においては、サプライヤーと共に生産時のオペレーションを考慮して開発。通い箱の利用は、パーツにあわせた梱包となり、輸送途中での損傷削減にもつながりました。使い捨て段ボール減による廃棄物削減から経費削減など、幅広い効果を発揮しています。

独自設計の通い箱
独自設計の通い箱