廃棄物管理

資源循環

適切な廃棄物処理とリサイクルを推進

2022年度は計測分野や産業分野の業績が増加したこともあり、国内主要拠点および研究所から排出される不要物排出量(金属屑など有価で引き取られる物と廃棄物の合計値) は、5,895トンで前年比4.4%増加、廃棄物は2,319トンで前年比9.1%増加となりました。うちプラスチック使用製品産業廃棄物は483.3トン(前年度412.9トン、前年度比117%)でした。生産増による梱包関係の廃棄が増加したため、排出量を前年度以下にするという目標は達成できませんでしたが、プラスチック梱包材のマテリアルリサイクルなどの取り組みを進めています。
当社の廃棄物管理の目標は「リサイクル率(=( 不要物排出量-最終埋立処分量)/不要物排出量)99%以上」を設定しています。2022年度のリサイクル率は 99.67%となり、13年間連続で達成しました。
当社グループでは限りある地球資源を有効に利用し循環型社会を確立していくため、法令遵守と各職場での3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進を徹底しています。職場単位でエコ・産廃リーダーを任命し廃棄物の分別やリサイクルの推進、マニフェストの管理や、廃棄物処理委託契約業者への現地訪問を含む調査など、法令遵守を目的とした社内規定や手順も整備し実施しています。

梱包材をアップサイクルで廃液回収用のポリ容器に

自社から排出する廃プラスチック梱包材を、「 地域連携での廃プラスチック梱包材を利用した廃液用ポリ容器への再生と利用による資源循環の推進」として「令和4年度京都府3R技術開発等支援事業( 研究・技術開発等分野)」の採択を受け、実施しました。
使用済みのプラスチック梱包材を集めて、協力会社に委託し、再生ペレットを30%配合したポリ容器を2022年度に1,000個作成し、社内で活用しています。
資源循環の質向上のためにマテリアルリサイクルへの転換となったこの取り組みは、今後、多くの廃液が発生する学術・研究機関などと連携を進め、龍谷大学と循環型社会づくりへの貢献に向けた「包括連携協定」を締結し、この取り組みに同大学も参加することになりました。

写真手前が、再生ペレット30%を配合したポリ容器
写真手前が、再生ペレット30%を配合したポリ容器

IoTを活用した廃プラスチック自動回収システムを導入

工場で発生する廃プラスチックを自動的に回収するシステムを2020年1月から導入し、リサイクル率の向上とCO2排出量の削減を進めています。現在、発生量の多い三条工場、瀬田事業所のほか、サプライヤーとも協働し、社内外5カ所にシステムを導入しています。
IoTを活用することで、回収業者が現場に行くことなく廃棄物の保管量をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで複数の事業所を回って回収できることから、積載効率のアップと走行距離の削減、サプライヤーでのリサイクル率の向上につながっています。今後、島津グループ内での導入拡大を進めるとともに、広く社会への普及を図り、環境保全に貢献していきます。
なお本取り組みは、当社も参画した京都府が総務省の「ICT地域活性化大賞2019」奨励賞を受賞した実証事業です。

(左)廃棄物集積所にセンサー(天井)を設置
(右)廃プラスチックの回収

廃棄量をリアルタイムで把握
複数事業所の巡回により回収効率アップ

瀬田事業所における木製パレット・木くずのリサイクル

事業活動において、物流用の木製のパレットや梱包材などの木くずの排出は避けられません。瀬田事業所では、これらを解体してコンテナで同県内にあるリサイクル事業者に委託、炭化させたものを活用しています。
このリサイクルによって作られた木炭は、土壌改良剤として社内の緑地や、豊島(香川県)のNPO法人瀬戸内オリーブ基金に寄贈し、同基金が運営する島内5か所のオリーブ園で活用いただいています。その他、脱臭炭や切花延命剤などにも生まれ変わり、イベント等でも活用しています。

瀬戸内オリーブ園での炭散布の様子

瀬戸内オリーブ園での炭散布の様子

切花延命剤を植物園に寄贈

切花延命剤を植物園に寄贈

脱臭炭のノベルティ製作

脱臭炭のノベルティ製作

紙の再生利用

全員参加の環境活動の1つとして、オフィス・工場からの紙ごみの分別を進めています。分別・回収された紙ごみはオリジナルのノートに再生され、従業員の手元に戻ってきます。環境活動の成果を目に見える形で還元することにより、従業員の意識向上を図っています。

紙の再生利用

PCBへの対応

難分解性・高蓄積性によって生体に対する毒性の高いPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含むトランスやコンデンサなどの装置については、PCB特措法に基づいて処理が進められています。当社が所有するPCB廃棄物のうち、高濃度のPCBを含有するトランスおよびコンデンサについては、2013年度に処理を開始し、特措法に定められた期限内に全てのPCB含有物の処分を完了できるように対応してまいります。
一方、当社のグループ会社である島津テクノリサーチは2種類の絶縁油中の微量PCB簡易定量法を提供しています。迅速かつ安価に信頼性の高い測定値を提供可能な測定技術であり、2011年5月に環境省から公表された「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第3版)」にも掲載されています。

株式会社島津テクノリサーチ PCBの分析について

PCB廃棄物の処理

環境配慮型梱包材の推進

島津ロジスティクスサービス(株)では、物流業務の中で、さまざまな環境保全活動に取り組んでいます。その中で重点的に取り組んでいるのが、環境配慮型梱包です。従来、重量物の梱包は、合板や木材を用いた木箱梱包が主流ですが、これを強化ダンボールに変更する取組みを行なっています。強化ダンボールに変更した場合の環境へのメリットは、木材資源の保全と輸送時や梱包材廃棄焼却時のCO2排出量の削減にあります。木材を使用する場合には、生物多様性の取組として森林認証木材を推奨しています。また、荷物運搬時の荷崩れ防止に使用するストレッチフィルム(プラスチック)のごみ減量のため、リユース可能で作業性の良いエコバンドを採用しています。エコバンドを使用することにより、2020年度は460kgのプラスチック廃棄物削減につながりました。
今後も物流分野において環境保全に繋がる活動を行なっていきたいと考えています。

強化段ボール梱包
ストレッチフィルム使用時

島津ロジスティクスサービス(株)会社概要

島津製品の入庫から保管・出庫・包装・梱包・輸送に至るまでの国内・外の商品物流に関する業務の他、梱包設計・輸出梱包などの包装事業、資材調達部品の入出庫、部品センター品の集積配送、工場内および協力会社への生産物流など、国内・外のロジスティクスに関する総ての業務を担当しています。

島津ロジスティクスサービスWebサイトへ

英国のグループ会社でも、積極的に環境に配慮したリユース活動を進めています。その一つが、サプライヤーからの部品調達やメンテナンス部品の配送に、リユースが可能な梱包箱を使用する“通い箱プロジェクト“です。通い箱の設計においては、サプライヤーと共に生産時のオペレーションを考慮して開発。通い箱の利用は、パーツにあわせた梱包となり、輸送途中での損傷削減にもつながりました。使い捨て段ボール減による廃棄物削減から経費削減など、幅広い効果を発揮しています。

独自設計の通い箱
独自設計の通い箱

化学物質管理/公害対策