第163期株主総会質疑応答要旨

当日に株主様から頂いたご質問

Q1.
今期の連結損益計算書において、約15億円の特別損失を計上しているが、それ以外に今後特別損失が発生する可能性を認識しているのか教えて欲しい。

A1.
今期の連結損益計算書におきましては、投資有価証券の評価損や関係会社の整理損として約15億円の特別損失を計上しております。現時点では、これらの他に減損損失や有価証券評価損など、計上すべき特別損失は認識しておりません。

Q2.
先日公表された中期経営計画においては、将来的に生じる特別損失を織り込んだ数値となっているのか、会社としての認識を教えて欲しい。

A2.
中期経営計画におきましては、今後実施する投資の回収可能性を含め、特別損失が発生しないように対応していく方針です。また、中期経営計画の最終年度である2028年度には国際財務報告基準(IFRS)に準拠した決算方式に変更することも検討しており、監査方式の変更など新たな視点を含めて慎重に判断しながら進めてまいります。

Q3.
新中期経営計画の概要は招集通知には掲載されていないが、Webサイト等で確認できるのか。

A3.
2026年6月4日に新中期経営計画の説明会を開催いたしました。当日の説明会資料や質疑応答の概要を当社のWebサイトに掲載しておりますので是非ご覧ください。
https://www.shimadzu.co.jp/ir/library/presentation.html

Q4.
トータルソリューションを提供する企業を目指すという話があったが、技術者がこれに対応していくために会社としてどのような体制を整備しているのか教えて欲しい。

A4.

当社は「トータルソリューション」という概念を、お客様が必要とされるデータを取得するために必要な装置、消耗品、ソフトウェアなどをトータルでご提供するという視点と、お客様が必要とされるいくつかのデータをトータルでご提供するために、複数の装置群、消耗品、ソフトウェアなどをご提供するという二つの視点から整理しています。

これらを実現するために、2024年度に営業体制を営業本部制に変更し、営業が、分析計測、医用、産業機械などのセグメントの枠を超えて、当社の全てのセグメントの製品へのご要請をワンストップで承れる体制としました。そして、お客様からいただいたご要望を、各セグメントの技術者やアプリケーションエンジニアに繋ぎ、お応えする体制で臨んでおります。

技術者は、技術を磨き深めるという役割を追求し、お客様のご要望を実現させていただくことに集中するという体制です。

Q5.
AI活用が進む中、AIを専業とする企業に対してどのようにして競争優位性を確保していくのかについて教えて欲しい。

A5.
AI活用に関しましては、グローバルに非常に厳しい競争環境にあると捉えております。当社は、先端的な研究パートナーとの連携により、当社単独では難しい研究開発や活用を積極的に進めていく方針としております。最近は、フィジカルAIという、簡単に申し上げればAIとロボットを組み合わせた概念が注目されております。このフィジカルAIをより高度に活用するためには、現実社会での分析や計測したデータが重要になります。大量の高度で正確なデータが必要となります。この点において当社の分析計測技術、あるいはイメージング技術が強みになっていくものと認識しており、これを起点として事業の拡大や当社におけるAIの開発を進めてまいります。

Q6.
新事業創出の高速化に関して、M&Aによるインオーガニック投資は回収の不確実性が高いと思われるが、どのように回収可能性を高めているのか。また、実際に行われているM&Aについては連携先にとってオーガニックな事業であるため回収可能性が高まると理解して良いか。

A6.
当社におけるM&Aにつきましては、様々なリスクを踏まえてベスト・ワーストなど複数のシナリオを想定した上で、連携先とどのようなシナジーが生み出せるのかなどを含めて検討しております。また、当社は①既存事業の強化、②当社技術のミッシングピースの獲得、③新たな事業の獲得という観点でM&Aを実施しており、当社事業と親和性が高く、回収可能性の高いと見込まれるものを取締役会における慎重な議論の上で選択しております。

Q7.
医用機器事業の利益率達成度が安定していない中、独立した事業部としての体制が最適なのか。位置付けの変更も含め、医用機器事業を活用する方法の検討が必要なのではないか。

A7.
医用機器事業につきましては、新中期経営計画において10%の営業利益率を目標としております。不採算製品および不採算事業の整理を進めるとともに、アジア地域で成果が出てきているリカーリング事業をさらに拡大し、他の地域でも展開することでリカーリング比率を高め、収益性を改善する計画としております。ご指摘いただいた体制や位置づけにつきましては、メドテック分野への事業展開という観点で、当社の分析計測と医用を融合させながら対応することを含めて検討してまいります。

Q8.
過去に実施された日水製薬(現:島津ダイアグノスティクス)の買収について、目論見通りに進捗しているのか教えて欲しい。
 

A8.
島津ダイアグノスティクス単体の業績につきましては売上、営業利益ともに成長しておりますが、買収時に目指していたシナジーの創出という面では、当初想定を下回っている状況です。一方で、島津ダイアグノスティクスが保有する商流を活用した当社の装置販売や、試薬ビジネスにおける共同開発、中国におけるバイオ医薬品市場に向けた培地の展開など、成果の出ている点もありますので、今後も当初の目標に向けて取り組んでまいります。

Q9.
サイバー攻撃や会計不正など、他社において生じた事案を踏まえ、どのようにガバナンス強化やリスク管理を行っているかについて教えて欲しい。

A9.

当社におけるリスク管理の考え方は、①事業存続に支障を及ぼし、企業価値を棄損するリスクを最小化すること、②事業成長や企業価値向上のための取り組みに伴うリスクを管理すること、という2つの方針がございます。当社では、年度末に取締役会において過去の取り組みや他社事例などの振り返りを行い、次年度以降に向けた討議を行った後、リスク・倫理会議において優先的に取り組むべきリスクを決定し、各部門における取り組みを進め、内部監査部門によるモニタリングを行う、という体制を整備しております。このリスク・倫理会議は年2回開催し、取り組みの進捗やモニタリングの状況を議論した上で取締役会に報告を行っております。

サイバー攻撃への対処としましては、情報セキュリティの強化や、マニュアル作業による事業継続訓練などの取り組みを進めております。

Q10.
直近3年間における中国・北米事業の進展状況および売上高比率の変化について教えて欲しい。

A10.

中国市場は、ここ数年不動産不況や内需の落ち込み、米中貿易摩擦の影響によって減速・停滞している状況にあり、地政学的リスクも継続していると認識しております。当社の中国事業の売上高は昨年度比で横ばいとなっておりますが、当社全体の売上高に対する比率は現在約16%となり、3年前に比べて減少しております。

北米市場は、トランプ政権における関税政策の影響などもあり厳しい事業環境となっておりますが、臨床分野における検査需要の高まりを受けた事業拡大など北米事業の売上高は伸びており、当社全体の売上高に対する比率は現在14.6%となり、3年前に比べて増加しております。

Q11.
今後の中国・北米での事業展開について教えて欲しい。

A11.

中国市場につきましては、引き続き中国内で事業を完結できる体制構築を進めます。また、ヘルスケア領域のバイオ医薬・臨床市場、インダストリー領域の半導体市場など成長市場における取り組みを強化するとともに、製品面では中国内での開発・製造品の拡大を推進し、国産優遇策への対応を進めてまいります。

北米市場につきましては、分析計測事業は3か所に設置したR&Dセンターを中心として、お客様が必要とされる最先端装置の共同開発を進めるとともに、サービス事業を含めたトータルソリューションの提供を進めます。また、成長市場と見込む半導体市場に向けて、ターボ分子ポンプや分析装置に加え、買収を発表したTescan社と共に事業を展開してまいります。

Q12.
知的財産についての考え方や具体的な取り組みを教えて欲しい。

A12.
知的財産につきましては、事業遂行や新製品の開発にあたって、他社の知的財産を侵害していないかという守りの側面と、当社の知的財産を確保し、事業に活用するという攻めの側面があると認識しております。これらを着実に実施するためには膨大な資料の読み込みなど多くの工数をかける必要があり、AIを活用してこれらの工数を削減することに取り組んでおります。この成果として、AIを活用した知財業務自動化SaaS(Software as a Service)であるGenzo AIを開発し、2026年4月からは外部への販売も開始しました。

Q13.
AI活用に関して、AIは標準的な回答に留まりやすい傾向にあるため、革新的な製品やアイデアを創出するためには人間の尖った発想とAIを組み合わせる必要があると考えられる。このようなAIの使い方に関する考え方を教えて欲しい。

A13.
これまでは、人間がアイデアの壁打ちやブラッシュアップにAIを利用して研究開発を行うことが主流でしたが、最近ではAI自身に研究をさせるという使い方も現れており、当社としましても、人間とAIとの役割分担について様々な可能性を模索しております。人間が考えるアイデアとAIとをどのような形で併存させるのかにつきましては、AI活用投資も含めながら検討を進めてまいります。

Q14.
2025年4月に敷地内全面禁煙を実施されて以降、近隣の川沿いやコンビニエンスストアにおいて勤務時間中に喫煙している従業員を見かける。禁煙に関するルールの徹底だけでなく、敷地内に喫煙所を設置することは検討しないのか。

A14.
この度は近隣の皆様にご迷惑をお掛けしておりますこと、大変重く受け止めております。誠に申し訳ございません。当社では、従業員の受動喫煙防止と健康増進を目的として、2012年より禁煙の取り組みを段階的に進め、現在では約9割以上の従業員が非喫煙者となっております。このような状況ではございますが、会社として近隣の皆様にご迷惑をお掛けすることを容認するものでは決してありませんので、喫煙所の設置を含めて対策の検討を進めてまいります。

事前に株主様から頂いたご質問

Q1.
当社では、中国天津で新たに中国の半導体業界向けターボ分子ポンプの生産を開始するが、技術流出の懸念はないか。
また、技術流出防止策としてどのような対策を実施するのか具体的に説明をしてください。

A1.
当社は、中国天津でのTMP生産開始にあたり、技術流出リスクを重要な経営課題と位置付けております。
従来より、国内外拠点で実績のある技術保護・情報管理の枠組みを本拠点にも適用し、コア技術のブラックボックス化や重要部品の日本国内での生産・供給により、ノウハウの流出防止を図っております。
さらに、図面管理システムを通じたアクセス管理の徹底、作業エリアへのアクセス制限、入退場管理、監視カメラ等による監視体制、印刷管理および携帯端末の持込制限など、多層的かつ高度な対策を講じております。
これらの取り組みにより、技術の適切な保護を確保したうえで、事業運営を行っております。
引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

Q2.
当社では、医用機器事業を不採算製品の見直し事業として製品や地域を含めた撤退・縮小を進めて、新中期経営計画で売上高を2025年738億円(実績)、2028年660億円(計画)と大幅に減らしている。
過去にMRI、CT及び超音波診断装置から撤退してX線診断装置に集中したが、今回の選択と集中を通して医用機器事業として何が残るのか具体的に説明をしてください。

A2.
医用機器事業では、医療現場における患者負担の軽減や医療スタッフの業務効率向上に貢献するため、AI画像解析にIoT技術を融合した新製品を投入するなどX線画像診断機器を拡販し、市況が厳しい中でも業績を向上させてきました。
今中期経営計画でも血管撮影システム、X線TVシステム、一般撮影システム、回診用システム、外科用X線TVシステム、PETシステム、医療情報システムの製品販売やサービスなどのリカーリング事業は継続し、当社価値を訴求し収益性を高めてまいります。
一方で、当社の価値を付加しにくく収益への寄与が多くない仕入品などは取扱について見直しを行っていく予定です。
引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。