第160期株主総会質疑応答要旨

当日に株主様から頂いたご質問

Q1-1.
中期経営計画において、R&Dセンターを開設するなど北米を強化することを打ち出しており、アメリカの巨大な製薬市場に切り込んでいくというイメージを持ったが、北米においてシェアを高めていけるという感触はあるのか。
Q1-2.
また、足元の引き合いの状況について、特にメガファーマとどのような話が出ているのか教えて欲しい。

A1-1.
当社は中期経営計画のなかで、ヘルスケア領域での事業拡大を大きな柱の1つとしており、その中でも製薬市場・臨床市場は非常に重要な市場であると考えております。製薬市場においては北米が特に重要な地域であり、メガファーマやスタートアップに対する投資が大きく動いています。
当社はこの北米市場に向けて大きな一歩を踏み出すべく、中期経営計画においてR&Dセンターの開設など北米における積極的な投資を行うこととしております。
当社は、北米の製薬メーカーが形成するコンソーシアムに参加し、当社の装置を北米や欧州のお客様にお使いいただく機会が増加しています。こうした経験を踏まえて、北米における製薬のお客様と一緒に、お客様が必要とする装置を開発していくことで、メガファーマを中心とした市場に参入できるのではないかと考えており、このような取り組みを強化していくことで、中期経営計画における開発力強化に繋げたいと思っております。

A1-2.
北米ではFRBの利上げの影響もあり、大手製薬市場において投資を控える動きが出ており、足元の引き合いの数もやや低調となっております。ただし、大きな流れとしましては、製薬市場は従来の低分子薬品だけでなく新しい薬品の開発が活発に行われ、市場規模が伸びていくものと考えております。

Q2.
海外売上高比率が56%と高い中、中国の売上高が大きいように見える。中国は最近、政治・経済・地政学・セキュリティなど様々なリスクが指摘されているが、中期経営計画の中国市場における施策はどのようなものか説明して欲しい。

A2.
中国は当社グループの売上高の約20%を占める重要な市場です。米中対立問題や台湾問題など、中国市場が難しい状況であることは事実ですが、次の2つの側面を強化しながら中国における事業を展開しております。
1つ目は、日本から中国に製品を輸出する際の安全保障の側面です。中国のお客様から引き合いを受けた際には、米国の取引制限顧客リストに掲載されている取引先か否かをシステムによって突き合わせており、該当する場合には、お客様との間で当社製品の使用目的を確認し、必要に応じて経済産業省に取引可否を相談した上で取引を進めております。
2点目は、中国の自国生産品優遇政策への対応です。当社の中国事業を維持・継続していくため、中国内での開発・製造を強化しており、昨年には当社の質量分析計等、高度な製品群の中国内での生産を開始いたしました。
以上のような取り組みにより、中国での事業拡大を進めていく予定です。

Q3.
ロシアのウクライナ侵攻により、日本企業のロシア事業は大きな影響を受けた。中国もいつ戦争を始めるか分からない状況であり、有事の際には中国内にある日本企業の資産が凍結されてしまうリスクもある。このような有事の際のリスクに対してどのように対応しているのか教えて欲しい。

A3.
中国の有事への備えとしましては、まず中国および有事の相手方となる国において働く当社グループの従業員が、速やかに避難できるように様々な対策を行っております。
また、中国内の事業という観点では、当社の事業は人の健康や食品・建物の安全性に関して貢献する製品群を提供しておりますので、有事の際においても中国内の事業を継続できるものと考えております。その際、日本から切り離した状態で中国における事業を継続できるよう、現在様々な対策を講じております。

 

事前に株主様から頂いたご質問

Q1.
中国事業について、当社では連結売上高の20%を中国が占め、同国では製品の販売だけではなく開発と生産を行っているが、米中対立が激化し米国をはじめ日本の経済安全保障による管理が厳しくなる中でどのようなリスク管理をしているのか具体的に説明して欲しい。

A1.
①日本からの製品輸出に関する管理と②自国主義の強化に対する対応についてご説明します。
①米国の取引制限顧客リストに掲載されている中国の対象会社からの引合案件について自動でアラートを出すシステムを作り、当社輸出入管理室が中国営業と協力して事前審査を行い、必要に応じて経済産業省に取引可否を確認した上で、問題無いと判断された場合のみ契約させて頂いております。
②また、米国製品等の中国への輸出制限の拡大、中国の自国品優遇に伴い、中国での生産拡大・増強を推進しており、2022年から質量分析計の生産を開始したほか、今後汎用分析装置の増産を進める予定です。

 

Q2.
当社では機微技術製品の開発・生産・販売を行っているが、どのようなセキュリティークリアランス体制を整備・運用しているのか具体的に説明して欲しい。

A2.
当社は、情報セキュリティポリシーを規定、運用することで情報の管理および保護の徹底を図っています。体制、管理方法を含めて、機微情報の取り扱いにつきましては回答はご容赦いただきたく、何卒ご理解の程宜しくお願い申し上げます。

Q3.
当社では子会社におけるX線装置の保守点検業務に関する不適切な行為が発生したが、どのような再発防止策を実施したか実施予定か具体的に説明して欲しい。

A3.
本件につきまして、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。 
外部調査員会との議論を踏まえ、従業員の組織へのエンゲージメント向上、倫理観の高い人材育成、ガバナンス強化を3つの柱とし、グループの信頼回復に向けて全力で取り組んでおります。
具体的な再発防止策は、
①従業員の組織へのエンゲージメント向上策として「働きがいを高める評価制度への改革」、
②倫理観の高い人材育成のため「教育・人材育成制度の改革」、
③ガバナンス強化として保守業務作業のモニタリング機能拡充
を実施しております。
半年ごとに改革状況を確認し、確実な再発防止体制構築・運用を推進いたします。
今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

Q4.
当社では最近もフランスの会社を買収して子会社が増えたが、グループ会社をどのように管理しているのか具体的に説明して欲しい。

A4.
グループ管理体制を確保し、目的とする成長領域での事業拡大とリスクの低減を図るため、「島津グループマネジメント基本規定」、「島津グループ企業倫理規定」、「島津グループリスクマネジメント基本規定」を制定して、企業活動を進めています。
事業責任を持つ事業ラインとコーポレート運営に責任を持つ機能ラインのマトリクス組織を構築し、本社各部門が担当専門分野においてグループ全体を支援、指導、監視、評価する体制です。
さらに、社長直轄の内部監査室が、グループ会社を含めた内部監査を実施し、内部統制の有効性を確保しています。

 

Q5.
当社では過去に航空事業の再編を方針として公表したが、随分と時間が経っており、今進捗状況を具体的に説明して欲しい。

A5.
航空機器事業を再編事業と位置づける方針に変更はございません。
2022年度の航空機器事業部の業績は、国内では防衛分野減少の影響を受けたものの、海外では航空旅客需要が増えた事を背景に、民間航空機器分野が増加しました。
今後も、他の事業部と比較して厳しい状況が予測されますが、選択と集中を進めるとともに、航空事業で培った技術を他の分野に活用した新事業展開を模索してまいります。

 

Q6.
子会社である島津メディカルシステムズが不正タイマーを設置し、詐欺行為をしていたことに対して、親会社である島津製作所の認識の甘さが気になります。国民の健康を担う医療機関に不正を施し、長い間隠蔽していた事実に対して、行政罰、刑事罰はないのでしょうか。不適切行為では済まされないと思います。本当に迷惑な話です。防衛庁に不正を2回していたと書かれているにも関わらず3回目の不正。どうして不正体質がやめれないのですか。簡潔におこたえください。他の京都の有名企業ではほとんどきかれないです。

A6.
本件につきまして、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。 
現時点で当社および当社子会社に行政罰、刑事罰が科されるといった事実はございません。
経営陣の責任の下、役員・従業員が一丸となって再発防止に向けた取り組みを徹底的に遂行し、信頼を回復できるよう努めてまいります。
今後ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

Q7.
認知症判断機械は普及していますか?

A7.

血中のアミロイドペプチド(アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑の主要成分)を測定し、アミロイドβ(同疾患の原因と見られるタンパク質)に関連するバイオマーカー値を提示する「アミロイドMS CL」については、多数の問い合わせを頂いていますが、現時点では受託分析での売上増を目指しています。
また、従来よりも高画質で脳のアミロイドタンパク質の沈着が確認でき、より正確な認知症診断に貢献する「BresTome」は、2024年の診療報酬改定や、3年後からのElmammoの置き換え需要等により、売上増が期待されています。
引き続き、両装置の普及に取り組んでまいります。

引き続き、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

 

Q8.
島津タイマーと呼称され会社の体制を疑われた件について、病院関係やその他事業での不正調査は進んでいるのか? 九州の一部だけだったのか、何も他には無かったのか、そろそろ明確にして欲しい

A8.

本件につきまして、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。

調査の結果に関しましては、本年2023年2月10日に「外部調査委員会からの調査報告書受領及び当社の対応について」、当社Webサイト上でご報告申し上げております。

外部調査委員会による調査では、熊本県内における5件の不適切行為、および九州の一部の地域おける38件の不正の可能性を疑うべき事情があり、かつ、正常取引であることを示す証拠や不正の実行可能性を否定する証拠が確認されない事案が認められました。
その他の地域では、不正の確定的な証拠があるとされた事案、および、不正の可能性を払拭できない事案は、認められておりません。
詳細は、2023年2月10日に当社Webサイト上でリリースしました「外部調査委員会からの調査報告書受領及び当社の対応について」をご参照ください。

引き続き、ご支援賜りますようお願い申し上げます。

 

Q9.
昨年、子会社不祥事のニュースが流れる前に株価が不自然に下がるという事象がありました。 これは、当事案を知っていた者によるインサイダー取引ではないか?
本件に関して、直前に売った者の素性を確認し事案を知っていたかどうか、しっかりと調査の上、開示してください。

A9.

本件につきまして、多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
2022年8月5日に発表した当社第1四半期決算の結果が、市場予想より悪く、その結果株価が下がったものと推察されます。
また、株価推移を確認いたしましたところ、ニュースが流れる8月25日まで株価はそのままの推移を保っており、不自然な値下がりは確認できておりません。

引き続き、ご支援賜りますようお願い申し上げます。