中期経営計画

2023年度-2025年度 中計経営計画説明会資料はこちら

トップメッセージ

Excellence in Science!
お客様の夢に、私たちの夢を重ね、努力を加え、
“共感あふれる社会“を創ります

  1. ガバナンスの強化、組織風土の変革を進めます

  2. 事業成長と社員の成長を果たしつつ、”Best For Our Customers”の精神で、課題解決型企業への変革を進めます

  3. 世界のお客様の目指すところに耳を傾け、課題を先取りし、解決するための体制を築きます

  4. スピード感をもってアジャイルに開発を行い、柔軟な製造体制を構築し、ソリューションをトータルに確実にお届けすることで、持続的な成長を目指します

  5. 人財育成と攻めの財務戦略に取り組みます

 

当社の目指す姿

世界では新型コロナウイルスの戦いを経て、人の命と健康への意識が高まっています。加えて私たちの身近なところでも気候変動の影響が多々感じられるようになってきたことから、あらためて地球の健康が非常に重要な社会課題であると認識されています。このような経営環境の中、私たちは、社是、経営理念、島津グループサステナビリティ憲章に基づき、3つの方向(「人の命と健康への貢献」「地球の健康への貢献」「産業の発展、安心・安全な社会の実現への貢献」)と4つの社会価値創生領域(「ヘルスケア」「グリーン」「マテリアル」「インダストリー」)で事業展開を進めることでプラネタリーヘルスを追求し、企業価値を向上させたいと考えています。

中期経営計画の位置づけ

私たちは新しい技術を使って製品を開発し、それを価値としてお客様にお届けしてきました。しかし、お客様と価値を共有するには、お客様が必要な製品から生み出されるデータを、製品だけでなく前処理、カラムなどの消耗品、データ解析ソフトなどを含めたトータルソリューションで提供できる企業に変革することが必要となります。今回の中期経営計画はその準備期間として位置づけています。
事業セグメントの垣根を越えてトータルソリューションを提供する企業に変革していくことで、企業価値向上を目指します。

 

事業拡大と、事業部の垣根を越えてトータルソリューションを提供する企業へ変革

中期経営計画の基本方針

世界のパートナーと共に社会課題を解決するイノベーティブカンパニーへ
~技術開発力と社会実装力の両輪強化により持続的成長を果たす~

コンセプトは、技術開発力と社会実装力の両輪を強化して、お客様へトータルソリューションを提供し、世界のパートナーとともに社会課題解決のイノベーティブカンパニーとして持続的な成長を果たすことです。
数値目標は、中期経営計画最終年度2025年度で売上高5,500億円、営業利益800億円、営業利益率14.5%、ROIC 11.0%以上、ROE 12.5%以上になります。この目標を達成するために5つの事業戦略と7つの経営基盤強化を掲げています。
5つの事業戦略は、「重点事業の強化」「メドテック事業の強化」「海外事業の拡大」「リカーリングビジネスの強化、拡大」「新事業・将来事業の創出」で、これを支える7つの経営基盤強化は、「ガバナンスの強化」「開発スピード強化」「国際標準化・規制対応力の強化」「グローバル製造の拡大」「DX推進」と、この全体を支える「人財戦略」「財務戦略」になります。

 

5つの事業戦略
1. 重点事業強化

主力の液体クロマトグラフ、質量分析計は、オンリーワンのトータルソリューション提供を目指します。
技術開発力は、基幹製品の競合力を液体クロマトグラフ、質量分析計共に強化します。加えて、前処理を含むプロセス全体の自動化、AIを活用した効率化、用途別ソフトウェアの開発を進め、製薬、フードテック向けのトータルソリューションを提供します。
社会実装力は、前処理の装置、カラム、ソフトウェアの多くの企業と提携しながらトータルソリューションの提供を目指します。
2025年度売上高は、液体クロマトグラフ1,000億円以上、質量分析計600億円以上を目指します。
重要と位置付けている北米製薬市場に対して液体クロマトグラフ、質量分析計の先進的技術を有している研究者、あるいは重要なお客様と共同で研究、共同開発を推進します。併せて、核酸や遺伝子治療薬などこれからのモダリティに向けて、製品やアプリケーション開発の強化に向けて北米R&Dセンターを開設します。加えて、製薬、バイオのお客様と共同してメソッドの開発を行うために、東海岸、西海岸に製薬開発センターを開設します。これらのことで、北米のお客様の近くで、お客様が必要とする製品、アプリケーションを開発していきます。

液体クロマトグラフ・質量分析計 ~ヘルスケア ライフサイエンス分野~

  • 製品:基本性能強化、自動化、AI活用によるOnly Oneソリューションの提供
  • アプリケーション:製薬・フードテック向けトータルソリューション提案の強化
  • 中長期戦略:北米R&Dセンターを開設し、先端顧客とハード、ソフト、アプリを開発

 

トータルソリューションの事例:
製薬向け取り組み

  • 実験計画から解析まで、業務の自動化・省力化を分析トータルソリューションとして提案
  • AI技術の活用で属人性を解消し、専門家育成に悩むラボの運営を支援

トータルソリューションの事例:
GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた取り組み

  • GX4分野で計測トータルソリューションを提供し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献
  • 製品とアプリケーション開発と 社会実装の両軸で事業拡大
  • 標準化・規制対応は国内はNEDO、海外はEPA、ISOとの関係を強化

5つの事業戦略
2. メドテック事業の強化

メドテック事業とは、健康長寿に向け、健康管理、検査、診断、治療、予後管理において、成分分析や画像解析技術等を用いたトータルソリューションを提供する事業と定義しています。
技術開発力は、カメラとX線画像、さらにAI画像解析も連動させた画像診断技術、検査試薬の開発などを進め液体検体用臨床質量分析計の開発、加えて、培地関連事業、微生物検査事業など、製品強化とサービス強化を行うことで、お客様への価値提供を目指します。
社会実装力は、製品力を強化した上に、外部企業と共同し、前処理、試薬、解析ソフトなどのトータルソリューションを提供していきます。今後は、臨床プラットフォームを構築し、分析技術を使って超早期検査を行い、もし病気の可能性がある場合には、X線技術を使って診断、その後の治療、予後管理を行うことを目指します。加えて、医療と分析の技術を融合させて、アドバンスト・ヘルスケアという形で新しい価値を提供していきます。

ヘルスケア メドテック分野

  • 医用機器:AIやIoT技術によるイメージングトランスフォーメーション(IMX)の展開
  • ダイアグノスティクス:液体検体用臨床検査システムの実装と検査試薬の拡充
  • 臨床検査プラットフォームによる新ソリューションの提供:骨粗しょう症、認知症、がん領域

5つの事業戦略
3. 海外事業の拡大

北米が、ヘルスケア領域の拡大の最注力地域として中心になります。
その他の地域も市場特性に応じて顧客サポート体制を強化することで、販売からサービスに至る最適なトータルサポートを提供します。

  • 市場特性に応じた顧客サポート体制の強化により、販売からサービスに至る最適なトータルサポートを提供
  • ヘルスケア、グリーン領域での事業拡大に適した開発基盤の強化
  • 地政学リスクに対応するための生産BCMの強化

5つの事業戦略
4. リカーリングビジネスの強化、拡大

DX、IoTを活用したリモートモニタリング、リモートメンテナンスの機能による保守・メンテナンス・サービス契約の拡大に加えて、AIを活用したソフトウェアのライセンスビジネス、商材拡大を進めます。
消耗品は、試薬、培地、カラムなどのリカーリングビジネスを拡大します。島津ダイアグノスティクス(旧 日水製薬)も併せて、島津グループの連携による試薬、培地、クロマトグラフ用カラムの開発力を強化します。

  • グローバルなサービス体制の強化と保守部品販売拡大・メンテナンス契約拡大を進める
  • 試薬等消耗品の商材開発・拡充によるビジネス拡大とリカーリングビジネスへの取組強化

5つの事業戦略
5. 新事業・将来事業の創出

量子技術、光技術、あるいは新しいソフトとの融合で材料開発支援を行うなど、将来事業の創出に向けて展開します。

7つの経営基盤強化

7つの経営基盤強化について簡単にご説明いたします。

1) ガバナンスの強化:「コンプライアンスは全てに優先する」を基本に、グループガバナンスを強化します。中期経営計画ではモニタリング機能の強化、リスクマネジメントの推進、実効的な内部統制の実現を行います。特にグループ会社では、財務監査のみならず、内部統制の監査も外部機関を活用しモニタリング強化を進めます。また、業務監査方針を策定し、グローバルに業務監査を実施していきます。

2) 開発スピード強化:グローバルで開発力を向上させ、各地で製品開発体制を強化します。開発プロセスの革新では、アジャイル手法を加え、開発スピードを向上させます。

3) 国際標準化、規制対応力の強化:各国の機関と協力しながら標準化を進めます。

4) グローバル製造の拡大:調達機能の強化や内製拡大による製造BCMの強靭化、日・米・中・マレーシアの製造能力増強を推進します。

5) DX推進:社内のDXとお客様とのDXの両面で進め、データドリブン経営を実現します。

6) 人財戦略:多様なパートナーとともに社会課題解決に向けてイノベーションをリードする人財を創出します。高い倫理感と道徳観を持って相手の期待に応えるというインテグリティとコンプライアンスをしっかり身に付けた上で、専門性と多様性、諦めずに最後までやり抜く完遂力、新しい課題に挑戦する挑戦力、失敗に学び、自ら成長してくる成長力を持った人財(=島津人)を創出します。

“Leadership & Diversity”:多様なパートナーとともに、社会課題解決に向けてイノベーションをリードする人財の創出

 

7) 財務戦略:攻めの財務に向けて、4つの社会価値創生領域で成長投資および開発、製造、DX関連の基盤強化に向けて積極的に投資を行います。配当性向は、30%以上の維持と継続的な株主還元を考えています。また、積極的な投資には投資対効果が重要となるためROICを導入して資本効率の向上を目指します。

持続的な成長に向け、財務健全性を確保しながら、事業成長に必要な戦略的投資を実施

キャピタル・アロケーション方針

  1. 社会価値創生領域での成長投資および人財/開発/製造/DX関連の基盤強化に重点的に投資
  2. 配当性向30%以上の維持と継続的な株主還元
  3. ROICの導入による資本効率の向上

 

環境経営・健康経営

1) 環境経営:環境問題の解決を通じた事業活動と企業価値の拡大を目指し、従来から5つの項目を挙げて取り組んでいます。今中期経営計画では、脱炭素社会の構築に向けて、自社グループ内の事業所はもちろんのこと、サプライヤー側のCO2排出量も一緒になって削減することに取り組みます。また、自社技術によるグリーンイノベーションへの貢献を推進し、製品そのものも省電力、省スペース、あるいはサステナブルな素材を活用するといったことで、サーキュラーエコノミーへの移行も果たしていきます。

島津グループの環境経営 5つの取り組み

  1. 気候変動対応への取り組み
  2. 循環型社会の形成に向けた取り組み
  3. 地球環境の保全に配慮した製品・サービスの開発・提供
  4. 生物多様性の保全に向けた活動
  5. 社員ひとり一人による積極的な環境保全活動

2) 健康経営:2017年に健康宣言を制定し、5つのテーマ(運動・食事・睡眠・こころ・禁煙)を設定しています。社員と家族が日々の生活をいきいきと過ごせるように、健康維持増進を目的に活動しております。特に当社の場合は、自社の技術を活用して、がんや感染症、認知症といった病気の超早期診断にも取り組んでおります。新たに私たちが開発した技術が生まれましたら、随時還元していきたいと考えています。

(2023年4月)

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