営業本部を発足
2023年度を初年度とする中期経営計画では、世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業に変革するため、事業拡大とお客様中心指向への体制変革を進めています。これは、お客様の要求が、今までの「モノ=製品」から、「コト=データ/ソリューション」に移ってきており、当社が従来行っていた、製品を軸とする事業展開では、お客様の要望に応えられないためです。そのため、データこそが価値の源泉と位置づけ、お客様の必要とするデータをお届けする(データが取れる状態をお届けする)ことを目指し、様々な変革を行っています。当社は、お客様のニーズに合った価値を提供することを“トータルソリューション”と呼んでおり、今後の成長は、お客様にいかにトータルソリューションを提供できるかにかかっています。
そのような中、お客様と一番近い立場である営業部門が大きく変わります。今まで当社の営業組織は、各事業部に属していました。分かりやすく言えば、自分が所属する部門の製品しか販売しないスタイルでした。ただ、お客様は、計測、医用、産業関係なく、“島津”として、必要なデータをもとめており、このままでは、お客様の要望に応えるトータルソリューションが提供できません。そこで、各事業部から営業部門を切り出し、2024年4月1日付けで営業本部を設置することとしました。営業本部では、今までの部門の壁を取り払い、営業が航空を除くすべての島津製品を扱う事にします。なお、航空が今回含まれていないのは、防衛省向け製品の秘匿性が高いためです。
トータルソリューション提案を目指して
今回の営業本部の発足に伴い、お客様にとって当社のすべての製品・サービスの窓口が一本化されます。製品の改善要望やアフターサービスについても営業が窓口となり対応することで、ワンストップでのソリューションが可能となります。当社にとっては、お客様が実現したいことの全体像を把握し、最適な製品・サービス、加えて当社の保有するすべての技術を応用したトータルソリューションの提案を行う事ができます。例えば、病院・クリニックに販路を持つ医用営業が、お客様の課題に寄り添って、分析計測関連の製品・ソリューションを提案することなどを想定しています。
ただ、組織を一つにしたからといって、急に変われるわけではありません。そもそも、計測と医用は完成品を販売していますが、産業機械とフルイド(油圧)は、完成品メーカー様に部品を供給する販売が基本であり、営業スタイルも違います。そこで、まずは製品の勉強会を開催し、お互いの知識を高めていきます。また、それぞれの営業に同行することで、営業スタイルの違いなどをお互いに学びあうことで、切磋琢磨することも期待しています。
Going for the ONE
2023年4月に、私が営業担当役員に就任した際、新しい方針「Going for the ONE」を定めました。この“ONE”は 3 つの意味を持っています。1つ目 は「No. 1」 です。シェア、お客様からの評価など、様々な分野でNo.1を目指します。2つ目は「ONE PURPOSE」。これは、長年私たちが掲げている”Best for Our Customers“を指します。“Best for Our Customers”は2007年から社内スローガンで掲げているものです。お客様にとってのBestは何かを考え、お客様にBestなソリューションを提供していきます。3つ目は「ONE SHIMADZU」です。これは、文字通り、事業部や地域、会社の垣根を超えて団結することを指します。
今回の営業本部の発足により、国内では「ONE SHIMADZU」に近づくことができました。海外も、近いうちに同様な施策を実施し、グローバルで営業部門の「ONE SHIMADZU」を目指します。今後は、マーケティングや開発、製造などのバリューチェーンの様々な分野で、部門の垣根を取り払い、お客様中心の体制を志向していきます。
Best for Our Customersに向けて
私は 1986 年に入社し、広島支店に配属されました。入社して 2ヶ月が経った時、当時の支店長から「広島県の中小企業一覧」という本を渡され、「一日 30 軒回ってこい」と、飛び込み営業を 3ヶ月間やらされました。必死で勉強し、提案しましたが、その3ヶ月間で売れたのは、たった1台でした。また、当時の広島支店は、今のように営業が事業部にわかれておらず、お客様が求めるものであれば、何でも売っていいというものでした。実際、計測機器の製品と産業機器の製品を同時に売ったこともあります。これらの経験が、自分の「営業とは」の根底に流れていると思います。
営業部門の中には、今まで売ったことがない製品をどうやって売ったらいいんだ、今のままでいいと思う人もいるでしょう。ただ、今の事業部別の営業体制では、お客様の抱える様々な課題に応えることが難しくなってきていることは、営業自身が一番、実感しているはずです。最初の一歩を踏み出すのは勇気がいるかもしれませんが、必ず、周りの人がサポートしてくれますし、そのような仕掛けもつくります。新入社員だった私ですらできたのですから。これからは、「他事業部の製品を売ることは難しくない、色々な製品を売ることは楽しい」ということを、様々なところで伝えていきたいですね。すでに、コロナ禍の際には、分析が開発した全自動PCR検査装置 AutoAmpを病院・クリニックに販売チャネルをもつ医用の営業が販売するといった、分医連携の事例もでてきています。AutoAmpは約2000台販売しましたが、そのうち約80%を医用営業が販売しました。病院へのチャネルが弱い分析営業だけでしたら、ここまで販売することはできなかったでしょう。
今後は、このような成功体験をどんどん増やしていきたいと考えています。特に臨床分野は、医療現場での分析装置の使用が増えてきていますので、分医連携をさらに推進します。もちろん、計測の競合他社は医用機器のラインアップを持っていませんので、これは当社の大きな強みです。
島津には、日本だけでも約2,000名、グローバルでは約6,000名の営業員がいます。営業がお客様中心に変革し、トータルソリューションを提供することで、「Best for Our Customers」を目指してまいります。これからの島津営業に是非ご期待ください。
常務執行役員
営業担当
営業本部長 兼 東京支社長 的場 俊英
略歴
1986年4月 | 当社入社 | |
2005年4月 | 島津サイエンス西日本(株)取締役営業本部長 | |
2008年4月 | 分析計測事業部 営業統括部長 | |
2015年4月 | Shimadzu do Brasil Comércio Ltda.副社長 | |
2015年10月 | Shimadzu do Brasil Comércio Ltda.社長 | |
2019年4月 | 営業戦略室長 | |
2020年4月 | 執行役員 分析計測事業部 副事業部長 | |
2023年4月 | 常務執行役員 営業担当 東京支社長 | |
2024年4月 | 常務執行役員 営業担当 営業本部長 兼 東京支社長(現在に至る) |