
営業本部制2年度目を終えての振り返り
当社グループは、プラネタリーヘルスの実現に向け、ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーの4つの社会価値創生領域において、お客様中心の事業運営への転換を進めています。営業においても、その実現に向けた体制変革を進めてきました。
その一環として、2024年4月に営業本部を新設し、各事業部に分散していた営業機能を集約しました。これにより、製品別の販売体制から、お客様の課題を起点に、事業部横断で製品・サービスを組み合わせて提案する体制へと転換を進めています。営業が取り扱う商材の幅が広がったことで、特に医療現場への分析装置の提案などで具体的な前進が見られました。
一方で、課題も明確になっています。産業機械と分析計測機器のシナジー創出は、まだ十分な成果につながっていません。また、海外販売会社においても、事業部の垣根を越えた営業体制は一部にとどまっています。私たちは成果と課題の両方を正面から捉え、次の成長につなげる段階に入ったと認識しています。今後は、これまで進めてきた変革の成果を着実に定着させるとともに、成長性の高い半導体市場などで具体的な成果の拡大を目指します。
お客様の課題を解決し、付加価値を訴求
営業本部は、2035年に売上高1兆円を実現するために、重点市場でのブランド認知向上、グループ横断での提案力強化、グローバル営業の標準化を進め、お客様の課題を起点に価値を提供する営業への転換を加速していきます。
その背景にあるのは、売上高が拡大する一方で、利益成長が十分ではないという課題です。これまで売上高は過去最高を更新してきましたが、その一部は価格改定や為替の影響によるものであり、営業利益はそれに見合う伸びを実現できていません。加えて、中国市場の停滞などにより、市場全体の台数成長も鈍化しています。こうした環境で成長を続けるためには、単に台数を追うのではなく、競合からシェアを獲得できる提案力と、提供価値に見合った価格で販売できる営業力が必要です。
そこで、新中期経営計画では、営業本部として、AIを活用した提案力の強化により、新規顧客の開拓とトップライン成長を実現する営業組織への進化を掲げました。その基盤となるのが、営業情報のグローバルな統一と活用です。各地域で異なる基準で運用されてきたCRMデータについて、受注確度や市場区分などの定義を統一したうえで集約し、「市場」「機種」「地域」の3軸で案件動向を把握・分析できる体制を整えます。
この3軸で営業を捉える考え方を、私たちは「Solution Cube」と呼んでいます。データを基に営業機会を可視化し、AIも活用しながら、案件創出力強化、受注率向上、価格適正化を進めることで、お客様への提供価値と当社の収益性を同時に高めていきます。
- ※ 顧客関係管理(Customer Relationship Management)

新中期経営計画で実行する営業戦略
営業担当役員として、まず営業情報基盤を早期に整備し、AI活用と「市場×機種×地域」の3軸連携を進めます。そのうえで、提案力の強化と継続的な価値提供を通じて、売上成長と収益性向上の両立を目指します。そのために、以下の5つの施策を展開します。
- お客様を拡げる力の強化、ソリューション提供力の強化
営業情報基盤を活用した顧客研究、ターゲティング、トータルソリューション提供ができる体制を構築する。 - 重点市場でのブランドプレゼンス向上
ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーの4領域において国際学会などのイベントで重要顧客と連携した活動を展開し、ブランドプレゼンスを向上させる。 - 人財育成と組織体制の強化
顧客課題を分解、整理、分析して、社内外のリソースとの連携によるソリューション提供ができる人財を育成し、営業組織の体制を強化する。 - 次世代デジタルマーケティングの推進
生成AIの普及による顧客の情報探索行動の変化を見据え、AI検索対応のWeb基盤と顧客の研究・開発課題に寄り添う魅力あるコンテンツの整備を推進する。
顧客接点の入り口を強化することで、効率的な案件創出につなげる。 - 営業情報基盤整備・AI活用推進
世界中の島津営業が同じ情報をもとに、同じ水準で行動できる状態を作り、「魅力ある提案」を生み出せる組織へと進化させる。
これらの取り組みにより、DX・AI活用による営業プロセスの革新と、グローバルな知見の融合によるトータルソリューション提供力の強化を進め、利益を創出する強固な収益体質へと転換していきます。
具体的な施策の方向性
戦略の実行にあたっては、顧客課題起点の提案力強化(Best for Our Customers)、営業マネジメントの統一とAI活用による高度化(ONE SHIMADZU)、重点領域への資源集中、リカーリング事業強化に取り組みます。
「魅力ある提案(Best for Our Customers)」
営業本部が全事業部の製品・サービスを組み合わせ、顧客課題に応じたトータルソリューションを提案します。海外販売会社においても、事業部横断の営業体制を強化し、グローバルで一貫した営業戦略を展開します。顧客理解に基づいて仮説課題を設定し、それに対する具体的な提案を行うことで、新規顧客の獲得と既存顧客の深耕を進めます。さらに、島津グループ各社との連携を強化し、提案の幅を広げていきます。
「営業マネジメントの統一とAI活用による上質化(ONE SHIMADZU)」
「ONE SHIMADZU」では、変化する顧客の購買行動に対応するため、Web基盤やSNSアカウントをグローバルで統一し、アカウントベースドマーケティングを強化します。AI活用によって営業生産性を高めると同時に、ナレッジ共有によって提案の質を高めます。あわせて、製品知識とソリューション提案力を高める人財育成を進めます。営業情報はグローバルで共通化、集約し、「市場×機種×地域」の3軸で分析、運用することで、営業マネジメントの標準化と意思決定の高度化を進めます。
「重点領域への資源集中」
基盤整備と並行して、成長性と競争優位の観点から重点領域を明確に定め、経営資源を集中していきます。市場では半導体と分子診断、製品ではLC、MSとリカーリング、地域では北米とインドに注力します。
「リカーリング事業の強化」
リカーリングについては、顧客への提供価値の最大化を重視し、営業マネジメントのグローバル標準化、北米でのブランド強化、アジアでの販売チャネル再構築を進めます。これにより、消耗品販売と保守契約の拡大を通じて、リカーリング比率の向上を図っていきます。
Going for the ONE
営業担当方針は、引き続き「Going for the ONE」です。この言葉には、Best for Our Customersという一つの目的のもと、ONE SHIMADZUとして力を結集し、No.1を目指すという思いを込めています。
地政学リスクや通商政策の変化などにより、事業環境の不確実性は高まっています。一方で、プラネタリーヘルスへの関心は世界的に高まっており、当社グループに求められる役割はむしろ大きくなっています。こうした環境だからこそ、営業の力でお客様との接点を広げ、課題解決に貢献し、成長を実現していくことが重要です。
これも繰り返し言っていますが、私が信条としているのは「仕事は楽しもう」です。難易度の高い仕事、新しいことにチャレンジする仕事こそ、楽しいはずです。楽しんでこそ前向きに取り組めます。
営業本部として進めてきた変革を着実に成果へつなげ、この難しい時代を乗り越えていきたいと考えています。これからの島津グループの挑戦にご期待ください。
常務執行役員
営業担当
営業本部長 兼 東京支社長 的場 俊英
略歴
| 1986年4月 | 当社入社 | |
| 2005年4月 | 島津サイエンス西日本(株)取締役営業本部長 | |
| 2008年4月 | 分析計測事業部 営業統括部長 | |
| 2015年4月 | Shimadzu do Brasil Comércio Ltda.副社長 | |
| 2015年10月 | Shimadzu do Brasil Comércio Ltda.社長 | |
| 2019年4月 | 営業戦略室長 | |
| 2020年4月 | 執行役員 分析計測事業部 副事業部長 | |
| 2023年4月 | 常務執行役員 営業担当 東京支社長 | |
| 2024年4月 | 常務執行役員 営業担当 営業本部長 兼 東京支社長(現在に至る) |


