イノベーションを生み出す「人」を大切にしています。
社是である「科学技術で社会に貢献する」のもと、社会課題の解決は、明治初期から受け継がれている当社グループ事業のコアなテーマです。VUCAといわれる変化の激しい現在において、私たちが社会課題を解決し続けるためには、新たな価値、イノベーションを常に生み出し続けることが不可欠です。イノベーションを生み出せるのは「人」であり、「人」が未来を創る原動力となります。それぞれの強みを発揮し、その強みを掛け合わせ具現化できる環境をつくることが私たちの重要な役割と考えます。
当社は、働きやすい環境づくりとして、育児・介護休職をはじめとするワークライフバランスを意識した優れた制度を世間に先駆けて導入し、定着させてきました。その結果、育児休職者の取得率は男性16.7% 、女性100%となっています。これらのほか、入社時の長期間にわたる研修(技術系では4カ月)やメンター制度など人財育成の充実を図るとともに、25年を節目として長期勤続者をグローバルに表彰する制度、定年の節目では会社全体で式典を行うといった取り組みを通じて、人を大切にする企業文化を実現しています。今後さらに多様な働き方を支援する制度や教育体制の充実を図り、人と事業の成長を目指します。
社員一人ひとりの自律的成長を支援します。
個人のスキルや専門性向上については、社員が新卒入社から定年退職までの長いキャリアを歩んでいく中で、それぞれのステージに見合ったキャリア研修と個々の社員が専門性を磨いたり、自主的に学んだりできる自己啓発支援を通じて成長を実現できるように工夫しています。
さらには、コロナ禍でオンライン開催となっていますが、グローバルに社員の貢献を認め社長が一件ごとに表彰する「Shimadzu Performance Award」を通じてモチベーションを高めています。
またMBOを活用し、組織における役割の明確化やエンパワーメントに取り組んでいます。会社方針に基づき社員が立てた目標、その達成プロセス、進捗、成果などについて面談を通じて社員と上司がコミュニケーションを図り、求められる役割や目標達成のためのアドバイス、成果に対する評価などを確認します。まだ課題は多いですが、それぞれの立場で求められる役割行動を評価基準とし、自らの成長目標を立て実現していく仕組みを通じて、社員の成長と貢献を導き出していきます。こうした取り組みを通して企業が発展することが人財育成の大切なテーマであると考えています。
グローバル人財の育成を強化しています。
グローバルな事業運営を進めるためには、海外拠点人財のスキルアップと本社人財のグローバル化が欠かせません。当社グループでは、グローバルに社員の個の力を高め引き出すこと、組織能力を高めることを目指しています。その実現のために、海外の現場に若手社員を派遣しさまざまな国・地域文化に触れ、仕事の実践を通じて成長を促す「海外現場研修制度」や海外拠点人財を日本に招聘し、マネジメント教育や日本文化・企業文化を理解する「グローバル・マネジャートレーニング」を実施しています。グローバル人財の育成は、まだまだこれからですが、島津グループをグローバルに俯瞰し、考え、実行できる人財育成を目指します。
イノベーションの基盤となるダイバーシティをさらに進めていきます。
変化の激しい時代において社会課題を解決し、持続的な成長、企業価値創出を実現していくためには変化への柔軟な対応力、創造力、革新力が必要です。それらの力を発揮するには、今までとは異なる考えや多様化する価値観を受け入れ、これまで重視されてきた組織の同質化を見直す必要があり、さらに多様な人財をまとめていくマネジメントが重要と考えます。これらは、当社グループのダイバーシティ推進における重要課題です。そのため当社グループでは、属性にかかわらず、共に力を合わせて働くうえでのさまざまなバリア(障壁)をなくす組織変革の実現を目指しています。その1つとして、昨年より「SHIMADZU DIVERSITY DAY」を設け、アンコンシャスバイアスへの取り組みを実施しています。まずは各自がバイアスに気付くことが第一歩であり、地道な活動が必要であると考えます。女性の活躍については当社グループの女性比率が低いこともあり、女性管理職の比率はグローバルで9.6% 、単体では4.2%とこの点も課題です。目下の目標では、女性経営基幹職の人数(6%以上)や外国人社員の採用数(年3名以上)を掲げています。コーポレートガバナンス・コードの改訂により管理職への外国人登用や中途採用比率の開示が求められていますが、外国人や中途採用者を積極的に採用するとともに、海外で働く現地スタッフのグローバルな働き方も視野に入れ、ダイバーシティ深化への一層の取り組みを進めていきます。

事業とも融合した島津らしい健康経営を目指します。
経営理念である「『人と地球の健康』への願いを実現する」という言葉通りに健康経営は当社グループのコアとなる信念です。事業と融和しながら島津らしい取り組みを行っています。これまで当社では自社技術を社員に還元するため、乳がん予防のためのマンモPET検査を無償提供しています。現在は、社内診療所内にPCR検査室を設置し、業務上で検査が必要な場合は社内検査をしています。
他にもWEBから申告して、感染予防のほかメンタルも含めた体調をセルフチェックできる、また体調が気になる場合は産業保健師からコールが入る「健康チェック」の仕組み、健康アプリ「kencom」の展開による歩活や健診チャレンジといったオンライン・イベントを展開しています。
健康というテーマは、一人ひとりの個人が主体となるものです。社員の健康状態を可視化した上で取り組むべきテーマを見出し、まずは社員が健康維持管理の重要性を感じ、主体的に取り組もうと思える仕掛けづくりが重要です。取り組みにおいては当社技術を有効に活用し、さらに最新の健康関連情報や多彩なメニューの提供など社員が義務的でなく楽しんで取り組める内容にできればと思っています。社員の働き方や社内のコミュニケーション改善など働く環境づくりとも連携し、社員一人ひとりがそして組織全体がWellbeingとなる健康経営を目指したいと考えています。
持続的成長をリードする人財を育成していきます。
当社グループが新たな価値を提供し持続的に成長していくためには、社員が個の力を発揮し、健康に生き生きと働ける組織が基盤になると考えています。そうした基盤づくりを推進するとともに、グローバルなシナジーを構築し、経営戦略の実行のために持続的成長をリードする人財を育成してまいります。
常務執行役員 梶谷 良野 略歴
1984年4月 | 当社入社 | |
2007年10月 | (株)島津インターナショナル 国際業務部 部長 | |
2013年10月 | (株)島津インターナショナル 国際業務部 部長 兼任 業務システム統括部 業務プロセス革新室 担当部長 |
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2014年1月 | (株)島津インターナショナル 代表取締役社長 | |
2017年6月 | 執行役員 広報室長 | |
2019年4月 | 執行役員 コーポレート・コミュニケーション部 部長 | |
2021年4月 |
常務執行役員 人事・ダイバーシティ経営・健康経営担当(現在に至る) |