DX担当役員メッセージ

海藤 克明

島津のDX推進について

当社グループは、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、お客様と共に社会課題の解決に取り組んでいます。その活動の質をデータとデジタル技術を活用して高めていく、それを通して従業員と会社が成長していく、これが当社グループのDXの目指す姿です。これを表したのが2023年に定めたDX推進ビジョンです。当社グループのDXは、顧客を起点として最適なソリューションを考え、提供するビジネスモデル変革(BX:Business Transformation)と、それを可能にする組織風土・マインド・文化を作るコーポレート変革(CX:Corporate Transformation)の2つからなり、4つの変革テーマ(BX:顧客起点浸透、CX:標準化・プロセス効率化、DX人財の育成、コラボレーションの場づくり)を定めて取り組んでいます。

中計初年度について

4つの変革テーマのうち、肝となるのは標準化・プロセス効率化です。サプライチェーンマネジメントと製品ライフサイクルマネジメントの業務フローの標準化・効率化と、それを支える情報基盤の整備の3つを並行して進めています。仕事のやり方を世の中のスタンダードに合わせることにより、常に最先端のツールを使えるようにする。情報基盤を整備して、データドリブンな経営ができるようにする。こういった改善により、商品企画の質とスピードを上げ、商品とサービスの品質を高め、顧客により良いソリューションをより早く提供できるようにすることが狙いです。これについてはほぼ計画通りの進捗です。
DX人財の育成に関しては、2025年までの目標としてDX人財初級者3,000人を掲げていますが、2023年度で既に目標の倍となる6,000人以上が認定を取得しました。また、初年度で目標を超過したため、新たに2025年度までに7,000人の目標を設定しました。
一方、初学者( 中級者)・実務者( 上級者)は、合わせて2025年度625人を目標としていますが、2023年度は目標を下回りました。ただし、これらのコースを受講中の人は目標の倍近くの約1,100人いますので、2025年目標は達成できると考えています。現在、本社や国内グループ会社を対象に進めていますが、約8,000人の母数に対して、この人数には正直驚いています。

島津の強みを生かしたBXの展開

一方、BXはサブスクリプションビジネスの拡大を進めていますが、計画より遅れています。基本的な仕組みの構築は完了していますが、提供する商材ごとに業務フローを定めていくところで時間がかかっています。商材がもう少し増え、業務フローの定型パターンが確立されれば、商材開発が加速されると考えています。
今後、新たに創出したいサブスクリプション型ビジネスモデルの一つに、コンサルティングが挙げられます。分析や計測のノウハウがなく、どうしたらよいのか分からないというお客様の課題に対して、長年培ってきた私たちのソリューションを提供し、長期間に渡る関係性が構築できるような商材を増やしていきます。

中計2年目の取り組み

中計では、2023年度からの3年間を「事業拡大と“お客様(領域)中心”志向への体制変革」と位置付けています。これまでは製品群ごとに個別にお客様にソリューションを提供してきましたが、これを、お客様(領域)中心のワンストップサービスに変えていくには、事業部ごとにバラバラな業務フローを統一していく必要があります。中計2年目となる2024年度は、業務標準化・効率化をより一層進展させます。また、それを支えるDX人財の育成、特に中級者以上の育成を加速させ、自律的にDXに取り組む風土を醸成していきます。

生成AIについて

生成AIは、リスクを十分に検討しながら、積極的に活用していきます。2023年度に運用を開始した島津ChatGPTは、2024年3月末時点で約3,000人の国内外グループ従業員が活用しています。今後、さらに社内情報も扱える環境を整えていくとともに、Microsoft社のCopilotも2024年3月からパイロット導入し、今後本格的に導入します。生成AIをますます活用し、生産性の向上と業務プロセスの改善を図っていきます。

島津のDXにご期待ください

当社グループには、社是と経営理念に共感する人間が集まってきています。そして失敗を恐れずチャレンジする風土や約40年続く小集団活動など、日々の業務を改善するマインドがあり、DXを推進する土台は既にあります。DX推進による改善・変革を通じて、新たな価値提供を続けていきたいと考えています。
今後も、DX推進活動を通じた従業員と会社の成長に、ぜひご期待ください。

専務執行役員
製造・CS担当 DX・IT戦略担当
人事副担当 海藤 克明

略歴

1983年 4月   当社入社
2000年10月   分析機器事業部 LC部主任技師(課長)
2003年 6月   Shimadzu U.S.A. Manufacturing, Inc.社長
2008年10月   分析計測事業部 分析計測工場長
2011年 6月   分析計測事業部 副事業部長 兼 分析計測工場長
2015年 6月   Shimadzu Scientific Instruments, Inc.社長
2016年 6月   執行役員 Shimadzu Scientific Instruments, Inc.社長
2020年 4月   常務執行役員 製造・CS・情報システム担当
2021年 4月   常務執行役員 製造・CS担当 DX推進(現DX・IT戦略)副担当
2023年 4月   専務執行役員 製造・CS担当 DX・IT戦略担当
人事副担当(現在に至る)