島津グループのDXの目指す姿
当社グループは、社是「科学技術で社会に貢献する」と経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、お客様と共に社会課題の解決に取り組んでいます。その活動の質をデータとデジタル技術を活用して高め、従業員と会社が共に成長していくことが、当社グループのDXの目指す姿です。この考え方は、2023年に定めたDX推進ビジョンに表れています。
当社グループのDXは、顧客を起点として最適なソリューションを考え提供するビジネスモデル変革(BX:Business Transformation)と、それを実現するための組織風土・マインド・文化の変革(CX:Corporate Transformation)の大きく2つから成り立っています。その中で、4つの変革テーマ(①BX:顧客起点浸透、②CX:標準化・プロセス効率化、③CX:コラボレーションの場づくり、④CX:DX人財の育成)を定めて取り組んでいます。
中期経営計画2年間の振り返り
4つの変革テーマのうち、現在最も注力しているのは、CX:標準化・プロセス効率化です。基幹業務、製品ライフサイクル管理などの業務フローの標準化・効率化と、それを支える情報基盤の整備を並行して進めています。仕事のやり方を世の中のスタンダードに合わせ、常に最先端のツールを使用できるようにし、情報基盤を整備することでデータドリブンな経営の実現を目指しています。これらの改善により、商品企画の質とスピードを向上させ、商品とサービスの品質を高め、顧客により良いソリューションをより迅速に提供できるようにすることが狙いです。この取り組みについては、ほぼ計画通りの進捗を見せています。
また、業務プロセスの効率化と意思決定の迅速化を目的として、生成AIの活用にも取り組んでいます。2023年にセキュアな環境で運用を開始した島津ChatGPTを順次バージョンアップして、現在は社内情報を参照した作業も可能となりました。加えて、Microsoft社のCopilotも2024年に本格導入し、活用しています。今後も生成AIを積極的に活用し、生産性の向上と業務プロセスの改善を図っていきます。
DX人財の育成に関しては、2025年までの育成目標としてDX人財初級者3,000名を掲げていますが、2025年度までに既に目標の倍となる6,000名以上が認定を取得しました。一方、中級者・上級者はあわせて2025年度末までに625名を目標としていますが、2024年度は目標を下回りました。ただし、これらのコースを受講中の人数は目標の倍近くいるため、2025年の目標は達成できると考えています。
一方、BXの取り組みでは、サブスクリプションビジネスの拡大を進めていますが、計画より遅れています。基本的な仕組みの構築は完了していますが、提供する商材ごとに業務フローを定める作業に時間がかかっています。商材がもう少し増え、業務フローの定型パターンが確立されれば、商材開発が加速すると考えています。今後、新たに創出したいサブスクリプション型ビジネスモデルの一つに、コンサルティングが挙げられます。分析や計測で困っているがノウハウがなく、どうしたらよいのか分からないというお客様の課題に対して、長年培ってきた私たちのソリューションを提供し、長期間にわたる関係性が構築できるような商材を増やしていきます。
中期経営計画最終年度の取り組み
中期経営計画では、2023年度からの3年間を「事業拡大と“お客様(領域)中心”志向への体制変革」と位置付けています。これまでは製品群ごとに個別にお客様にソリューションを提供してきましたが、これを、お客様(領域)中心のワンストップサービスに変えていく必要があります。そのためには、事業部ごとに異なる業務フローを統一することが重要です。
中期経営計画最終年度の2025年度は、引き続き基幹業務の標準化を強力に進めていきます。また、2025年は「AI エージェント元年」と言われており、AI のより高度な活用が急速に進むと予想されています。当社グループも、AIエージェントを基幹業務などに実装し、業務の効率化を加速させます。これらの改革を進めていくために、DX人財の育成、特に中級者以上の育成を加速させ、自律的にDXに取り組む風土を醸成していきます。
島津のDXにご期待ください
当社グループには、冒頭お話しした社是と経営理念に共感する人たちが集まっています。また、失敗を恐れずチャレンジする風土や、約40年にわたり続く小集団活動など、日々の業務を改善するマインドが根付いています。このように、DXを推進するための土台は既に整っています。私たちは、DX推進による改善・変革を通じて、新たな価値提供を続けていきたいと考えています。
専務執行役員
製造・CS担当 DX・IT戦略担当
メディカル規制担当 海藤 克明
略歴
1983年 4月 | 当社入社 | |
2000年10月 | 分析機器事業部 LC部主任技師(課長) | |
2003年 6月 | Shimadzu U.S.A. Manufacturing, Inc.社長 | |
2008年10月 | 分析計測事業部 分析計測工場長 | |
2011年 6月 | 分析計測事業部 副事業部長 兼 分析計測工場長 | |
2015年 6月 | Shimadzu Scientific Instruments, Inc.社長 | |
2016年 6月 | 執行役員 Shimadzu Scientific Instruments, Inc.社長 | |
2020年 4月 | 常務執行役員 製造・CS・情報システム担当 | |
2021年 4月 | 常務執行役員 製造・CS担当 DX推進(現DX・IT戦略)副担当 | |
2023年 4月 | 専務執行役員 製造・CS担当 DX・IT戦略担当 人事副担当 |
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2025年 4月 | 専務執行役員 製造・CS担当 DX・IT戦略担当 メディカル規制担当 |