
プラネタリーヘルスの追求に向けたCSOの役割
当社グループは「プラネタリーヘルス(人と地球の健康)の追求」を目指しており、新中期経営計画の中で、先端的分析計測手法の国際標準化を一つのテーマとして取り組みを進めています。
標準化はモノやサービスの互換性・品質・性能・安全性の確保、利便性を向上するものです。そのためには、分析方法や評価方法の統一が不可欠であり、環境汚染の監視・評価を通じて、安全・安心な社会生活を支えています。こうした標準化には分析計測機器が広く活用されます。計測機器を主力事業とする当社グループにとって、標準化はまさに使命であり、プラネタリーヘルスの追求につながる取り組みです。
一方、通常の標準化プロセスは3~5年の時間を要しますが、技術革新が加速する現在では、その変化に迅速に対応する標準化プロセスが必要です。さらに、近い将来に世の中で必要とされる標準化を先読みしながら進めていくことも重要です。これらの枠組みを当社グループ全体でつくることで、プラネタリーヘルスの追求に向けて標準化戦略を推進することがCSOの役割です。
前中期経営計画の振り返り
前中期経営計画の3年間を振り返り、実現したことは大きく3つあります。1つ目は、当社グループがこれまで主体的に参画してきた標準化プロジェクトから、ISOやASTM Internationalといった国際規格が発行されたことです。これにより、材料分析や水質分析に貢献しています。他にも、マイクロプラスチックやPFAS(発がん性など健康への影響が懸念される有機フッ素化合物)といった社会課題の解決に資する標準化プロジェクトも開始しています。
2つ目は、当社グループ内でグローバルな標準化推進体制を構築したことです。日本、北米、欧州、東南アジア、中国の5拠点から構成され、毎年テーマを決めて国際標準化を推進しています。
3つ目は、標準化戦略の浸透です。前中期経営計画で標準化戦略が掲げられたことで、当社グループ内で標準化への意識と重要度が高まりました。社内では標準化と知財とのコラボレーションが進み、社外では顧客やアカデミアと連携した標準化プロジェクトの推進など、積極的なプロジェクトが生まれるようになりました。
その一方、標準化には大量の分析データを取得する必要があるため、取り組みの増加に対して人財などのリソース不足が顕在化しました。これに対しては社内体制の強化や外部連携の拡大により改善しています。
具体例として、北米では政府機関や大手受託分析会社と協業して、新たな分析法の開発に取り組んでいます。このような取り組みを通じて、標準化された分析法の迅速な社会実装と、当社グループの企業価値の向上を実現していきます。
2035年のありたい姿に向けて
前中期経営計画では、規制対応力を高めて各種規制の制定動向の可視化、最適タイミングでの製品開発・上市への貢献を進めたほか、外部との協業によりプロジェクトを推進し、新たなビジネス機会を獲得する取り組みを進めてきました。
新中期経営計画における2035年のありたい姿「Shimadzu Vision」では、これらを高度化・融合させて、候補となる規制制定の初期段階からの動向把握を図ります。他方で標準化活動を事業機会につなげる戦略を描き、主体的に実行できる体制を構築します。
2035年のありたい姿の実現に向けて、仕組みづくり、組織の整備、そして人財育成は重要な課題です。社会課題を起点とした規制や標準化テーマの企画・創出には、独自AIツールの活用と機能向上を進めて、アプリケーション開発を効率的に進めることが不可欠です。また標準化を検討する段階から、アプリケーションを使われるお客様と連携することで、より実用的な標準化を進め、得られた知見を機器開発と連動させ、より使いやすいシステムを提供することが必要となります。
そして、これらすべてを下支えする人財育成が極めて重要です。国際標準化グループが主体となって勉強会を開催し、基礎から外部団体との連携の方法、国際会議出席の作法など様々なノウハウを共有し、規格作成、交渉力を備えた人財の育成を進めています。加えて、お客様と連携して標準化を進める能力を備えた人財も育成します。人財は価値創造の源泉だと考えています。
一里塚としての標準化戦略
新中期経営計画における経営基盤の高度化の一つに「規制対応と国際標準化」を掲げています。前中期経営計画開始の際に設立した国際標準化グループが中心となり、事業部横断的に標準化プロジェクトを支援し、海外拠点との連携も取りつつ、一元的に取り組みを可視化しながら標準化を進めます。
また、標準化はオープン・クローズ戦略と密接に関わっています。もちろん標準化はオープン戦略になるものですが、守るべきところは知財の権利化等できちんと守り、その上で開放することを戦略的に決定することが求められます。開発初期段階から知財戦略と標準化戦略をコラボレーションする取り組みを進めて、このような取り組みや議論を定着化させます。
これらにより、標準化された分析法および機器提供だけではなく、必要な分析試料の前処理システムや試薬などを含めたトータルソリューション提供を実現し、幅広いお客様により高い利便性と価値体験、感動を提供できる企業となることを目指します。今後も標準化を通じて“科学技術で社会に貢献する”という当社の社是を体現し、プラネタリーヘルスを追求していく当社グループにぜひご期待ください。
常務執行役員
経営戦略・コーポレートコミュニケーション担当、
標準化戦略(CSO)担当、メディカル規制担当
前田 愛明
略歴
| 1997年 4月 | 当社入社 | |
| 2011年 4月 | 分析計測事業部LCビジネスユニット 課長 | |
| 2017年 4月 | 島津企業管理(中国)有限公司中国開発センター 部長 | |
| 2019年 4月 | 分析計測事業部 技術部 部長 | |
| 2020年 4月 | 執行役員 Shimadzu Scientific Instruments, Inc.社長 | |
| 2025年 4月 | 常務執行役員 経営戦略・コーポレートコミュニケーション担当、 標準化戦略(CSO)担当 |
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| 2026年 4月 | 常務執行役員 経営戦略・コーポレートコミュニケーション担当、 標準化戦略(CSO)担当、メディカル規制担当(現在に至る) |


