CFOメッセージ

過去最高業績に甘んじることなく、強靭な企業体質の構築を進めます。

2020年度の決算は、新型コロナウイルス感染拡大による事業環境変化の影響を大きく受けました。幸いにも、全社を挙げて取り組んだ各種施策が奏功し、売上高・営業利益をはじめ利益率でも過去最高を更新することができました。短期間で開発上市した新型コロナウイルス検出試薬キットや全自動PCR検査装置と、肺炎診断用の回診用X線撮影装置が、喫緊の社会課題となった感染症対策に役立つことで業績に貢献しました。また、当社事業の核である計測機器の重点機種がヘルスケア関連市場を中心に成長し、産業機器のターボ分子ポンプが半導体需要増を背景に拡大しました。

加えて、経費削減を推進したことも、過去最高業績更新につながりました。不要不急の経費を削減するだけではなく、緊急事態を脱した時に素早く利益成長軌道に回帰できる事業体質を獲得するため、グループ全体で取り組んだ結果、損益分岐点を引き下げることができました。

ただ、業績は過去最高となりましたが、事業別にみると、コロナ禍で業績を伸ばせた部門と、厳しい結果となった部門が混在しています。過去のやり方に捉われず、新しい考え方で事業を推進し、強靭な企業体質を構築する必要性を改めて感じており、2025年に向け議論を進めています。

成長投資と、継続的な増配の両立を目指します。

資本政策は、将来の企業価値拡大を見据えた成長投資と、安定的な株主還元の両立を基本としています。

成長投資に関しては、研究開発、設備投資に加え、M&Aや資本参加を検討し、より効果的に価値を生み出す投資を模索します。

研究開発は、中期経営計画3年間で530億円を計画し、初年度は157億円、2年目の2021年度は185億円を投資する計画です。感染症対策、アドバンスト・ヘルスケア、カーボンニュートラル対応などの重要テーマや、液体クロマトグラフ、質量分析システムに重点的に投資します。

設備投資は、3年間で540億円、初年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により145億円と、想定よりも進捗が遅れましたが、2年目は160億円を計画します。前中期経営計画では、国内の施設を含めた研究開発環境の充実を図りました。現中期経営計画では、海外での基盤強化に向け、海外のイノベーションセンターや、アプリケーション開発・サービス網の充実を図ります。また、生産能力の増強、DX推進にも投資を行います。M&Aは、事業拡大のために積極的に活用したいと考え、加えて資本参加による提携も視野にいれます。

株主還元は、過去7年にわたり増配を継続しており、2021年度も8期連続増配を予定しています。利益成長に応じて追加の株主還元も検討しながら、継続的な増配と配当性向の維持向上を目指します。

財務の健全性・効率性の向上を図ります。

自己資本比率は70%近くあり、財務の健全性は高まっています。また、フリーキャッシュ・フローは年間300億円以上創出できる見込みで、設備投資などは自己資金で賄う予定です。

効率性は、現中期経営計画ではROE10%以上という目標を掲げており、2020年度は11.3%となりました。既に目標を達成していますが、さらに上を目指して、営業利益率等の改善に努めます。また、投資判断の指標としてROICの導入を検討しています。事業部ごとにROICを算出し、滞留資源の削減などの効率を高めるとともに、投資判断への活用や、事業ポートフォリオの見直しにも活用していきたいと考えています。

サステナビリティ経営を通じて事業成長を実現します。

CFOとして、「カーボンニュートラル」や感染症対策などのESG面の取り組みを発展させ、独自のサステナビリティ経営を推進する島津の姿をわかりやすく株主・投資家の皆様に伝えていきたいと考えています。あわせて、非財務情報の開示にも積極的に取り組むことでESG格付けの評価向上を目指し、その結果、取り組みが一段と強化される、という成長のスパイラルを実現したいと考えています。私自身も、株主・投資家の皆様とESGに関して積極的に対話を行っていきます。

会計人財を育成するともに、会計リテラシーの向上を図ります。

島津の財務戦略を支えているのは人財の力です。その人財を育成・強化するための仕組みとして、グループの財務・会計を支える理財部が中心となって、会計知識を系統的に習得した会計人財の育成を行っています。その上で、会計人財を事業部門や世界各地の主要グループ会社に配置することを進めています。会計人財を適切に配置することで、ガバナンスが有効に機能する体制を持続的に維持したいという考えからです。

また、グループ全社員に会計や税務に係る基礎教育を継続して施し、リテラシーを向上させる取り組みも進めています。

積極的に株主・投資家の皆様と対話します。

株主・投資家の皆様とは、私自身IR担当として年間100件近く対話させていただいています。返事に窮するようなご意見をいただくこともありますが、ご意見は全て真摯に受け止め、執行役員会を通じて事業部トップに説明・報告を行っています。CFOとなった今年も、時間の許す限り積極的に対話を行い、皆様と相互の信頼関係を構築することを目指します。

株主・投資家の皆様をはじめ、お客様、社会からの信頼をより高めるとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることで、「世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業」を目指してまいります。

取締役専務執行役員 CFO 山本 靖則 略歴

1983年4月   当社入社
2003年10月   分析計測事業部 試験機ビジネスユニット統括マネージャー
2013年6月   シマヅ オイローパゲーエムベーハー(ドイツ) 社長
2014年6月   執行役員
2017年6月   常務執行役員就任
2017年6月   製造・情報システム・CS担当
2017年6月   技術研究副担当
2020年4月   経営戦略・コーポレート・コミュニケーション担当(現在に至る)
2020年6月   取締役就任(現在に至る)
2021年4月  

専務執行役員就任(現在に至る)

2021年4月   CFO(現在に至る)