表紙ストーリー表紙に込められた物語をご紹介します。Cover Stories

Vol.36

Vol.36表紙

古戦場跡や事故現場の写真に人の顔が浮かんで見える。火星探査機から送られてきた画像の中に人工的に作られたようなモニュメントを見つける。スポーツ選手がゲンを担いで毎日同じ行動をする。社会学者のマイケル・シャーマーは、これらの「迷信」を信じる現象は人の脳が持つ2つの自己保存本能に起因していると言います。ひとつは危機的な状況に陥るかもしれないというシグナルを受け取った時などに現れる、本能・直感〈とにかく逃げろ!〉が本質を探ろうとする理性的・合理的思考よりも優先される性質。もうひとつはプライミング(入れ知恵)と呼ばれる性質。模様や岩・雲の中に人の顔や動物の姿を見つけ出す。ソーダアイスのアタリ棒を、今朝テレビで見た占いの良い結果と結びつける。という物や事柄の中にパターンを見つけ出そうとする行為。この2つの思い込みによって「迷信」を自ら生み出しているというのです。これらの思い込みは、時に思いがけない大ヒットのアイデアに結びつくこともあります。反対に、無作為なはずのサンプルにバイアスをかけたり、偏った情報を選択して判断を鈍らせることもあるのです。表紙の写真をもう一度見てください。空腹のあまり、ただの石ころが食べ物に見えてしまうなんてことはありませんよね。