表紙ストーリー表紙に込められた物語をご紹介します。Cover Stories

Vol.26

Vol.26表紙

「ダイバーシティ」
メンデルやダーウィンが進化について説いたのは19世紀。人の進化が100年の単位で目に見えることは無いものの、この間の科学・産業の変化は、かつて経験したことの無い激変と言えるだろう。人々を取り巻く環境の変化やグローバル化の大波は、私たちに異なる文化や価値観への適応を要求している。―まるで、生物に適応・進化を促してきたように。
「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」
「鏡の国のアリス」(ルイス・キャロル作)の中の、『赤の女王』の言葉だ。生物が環境の変化に適応し、生き残るために進化してきた姿になぞらえ「赤の女王仮説」と呼ばれている。
生物は種分化による多様性を唯一の武器に、繰り返される自然選択にサバイブしてきた。異なる遺伝子を積極的に取り込むことで環境に適応する自分とは別の種を作り出し、進化の連鎖が途絶える危機をすり抜けながら。けれども種分化は決して「食うか食われるか」という生物同士の生存競争に勝ち残る目的で起こったのではない、地球規模の大きな環境変化に自らが生き残る術にすぎない。Diversity(多様性)―ただひたすら適応するためだけに。