表紙ストーリー表紙に込められた物語をご紹介します。Cover Stories

Vol.35

Vol.35表紙

日本語では美術や音楽などの、狭義的に芸術との意味で使われる“art”。では、その対義語をご存知でしょうか。答えは“nature”自然です。キリスト教社会において、ネイチャーとは“things God made”神がつくったものを指し、反対にアートは“things humans made”人間がつくったものと考えます。ですからアートには美術、音楽のほかに文学、歴史、哲学、建築なども含まれ、サイエンスと並ぶ2 大学問体系のひとつであるヒューマニティーズに分類されています。かのレオナルド・ダ・ヴィンチに代表されるように、元来アートとサイエンスに乖離はありませんでした。ともに自然への畏怖と豊かな生活への切望という、源流を同じくしたもの同士が互いに影響を及ぼしあってきたのです。一枚の紙が様々な形に変貌し、強さや柔軟性など特質を自在に変化させる現代の“折り紙”はアートとサイエンスの優れた融合の産物として有望視されています。表紙写真は三谷純教授(筑波大学)による立体折り紙。一枚の紙を折ることによって生み出される造形と、その可能性について、次号でくわしくご紹介します。