表紙ストーリー表紙に込められた物語をご紹介します。Cover Stories

Vol.24

Vol.24表紙

古代ギリシャの銀貨
(336 -323BC)
「身からでた錆」「錆びれた技術」など錆には価値の無いイメージが強い。しかし「錆」という目に見える酸化還元反応こそが、化学の礎となる大きな「価値」をもたらした。「価値」の尺度となる貨幣、現存する最古の硬貨は紀元前7世紀メソポタミアのエレクトロン貨といわれ、錆びて朽ちることのない銀を含む金の自然合金でできている。人々は古くから金属のイオン化特性を知り利用してきた。そして酸化を逆手に取ったステンレスやチタンなど耐食性の高い合金によって「錆」自身を攻略してきた。さらには技術の進歩に伴い、その反応自体に着目することで「電気めっき」の発明や、身近な「漂白剤」「使い捨てカイロ」「リチウムイオン電池」からロケットの燃料技術までテクノロジーの進歩の度に「価値の再発見」がなされた。「価値の再発見」は様々な分野で起こる。クラシックの世界でも1955年、当時すでに「たいくつで古いもの」だったバッハを、グレン・グールドの衝撃的なピアノ演奏が一夜にして輝けるものに変えた。翌年発売されたデビュー盤はJAZZの巨匠ルイ・アームストロングの新譜を抑え、クラシックとしては異例の全米ヒットチャート1位となり賛否を交えたセンセーショナルがわき起こった。『これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず』。「価値の再発見」に偶然は無く、突き詰め楽しむ領域にまで達した者でなければ出会うことができない。
テトラドラクマ銀貨:ティアラ インターナショナル