重点成長分野:ヘルスケア

社会課題

高齢化が進む社会には、医療費の増大や介護問題、認知症患者の増加などさまざまな社会課題が山積しています。このような中、健康意識が高まり、病気の早期発見に加え、予防・健康増進にも関心が広がっています。

島津製作所の取り組み

当社グループは、X線画像診断のパイオニアであり、質量分析のリーディングカンパニーです。未来の医療を大きく変える先進研究・開発の最前線で、研究者と共に、予防・診断・治療・予後管理の幅広い分野で新領域に日々挑戦を続けています。

島津製作所のSDGs

ヘルスケア 島津製作所の取り組み

ヘルスケア 島津製作所の取り組み 

取り組み01:健康増進

当社グループは、機能性成分の解析を通じて「食」による健康増進を支援しています。2019年8月に、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(本部つくば市、以下「農研機構」)と食品機能性成分解析を目的とした共同研究契約を締結し、ヘルスケアR&Dセンター内に「食品機能性解析共同研究ラボ」を設置しました。

本ラボは、農研機構が各地域で開発したお茶や野菜、果物など約20品目の食品・農産物を対象に機能性成分(例えば、食物繊維・ポリフェノール・カロテノイドなど)の簡便で迅速かつ正確な新しい分析手法の開発を目的としています。また、成分のデータベースを構築することにより新たな機能性成分の探索に取り組みます。

当社グループは、本ラボで得られた成果の企画化・標準化を国内外に展開し、付加価値の高い農作物の開発、また健康長寿社会の実現に貢献していきたいと考えています。

食品機能性解析共同研究ラボ

取り組み02:認知症

当社グループは、アルツハイマー病血液バイオマーカーの研究を推進しています。2014年に血液中のアミロイド関連ぺプチド22種類を質量分析法で検出、また2018年には国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(以下「長寿研」)と共同で血液数滴(血漿量として約0.6ml)から、アルツハイマー病をスクリーニングするための新しい血液分析法※を確立しました。

現在は、グループ会社の島津テクノリサーチと共同で、質量分析計を用いて血液中のアミロイドβ比に基づいたバイオマーカー値を創薬研究の開発機関や研究者へ提供する、「アミロイドMS受託解析サービス」を国内で展開しています。2020年度からは、欧米でもこの受託解析サービスを開始する予定です。

また、2020年6月には、長寿研を中心とした研究グループに参加し、認知症の診断や認知症未発症の方の発症リスク予測等を血液検査で可能にするシステムの実用化に向け、産学連携の多施設共同研究「血液バイオマーカーによる認知症の統合的層別化システムの開発」(略称BATONプロジェクト)に着手しました。本プロジェクトは、日本医療研究開発機構の支援を受け、東京都健康長寿医療センター、国立量子科学技術研究開発機構、近畿大学、名古屋大学、東レ株式会社との共同研究体制で行われ、治療薬開発、認知症診断、予防医療への貢献が期待されています。

当社グループは今後も、治療薬・予防法の完成が待ち望まれる当分野で、新しい技術による貢献に努めます。

※ 研究用です。医薬品医療機器法に基づく医療機器、あるいは体外診断用医薬品として承認・認証等を受けていません。治療診断目的およびその手続き上での使用はできません。 

ヘルスケア 島津製作所の取り組み 認知症

取り組み03:がん

米国国立衛生研究所の一部門である米国国立がん研究所に所属する小林久隆主任研究員が開発した光免疫療法は、がん細胞に結合する薬を患者に注射し、薬が集積したがん細胞に光(近赤外線)を照射することで、がん細胞のみを破壊する新しい治療法として注目されています。

当社グループは、医用技術である近赤外光カメラ技術や質量分析技術を応用することで、治療部位の可視化や記録を実現し、より正確で効果的な治療への貢献を目指しています。

2020年度からは、国立研究開発法人国立がん研究センターと新たに臨床応用に向けた共同研究を実施し、臨床現場のニーズをもとに光免疫療法の早期実現と普及に向けた取り組みを行っています。