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2023年7月18日 | プレスリリース 日本初の「感染症マネジメント支援システム」を開発※1
主治医と感染症専門医をつなぎ、診療業務の負担低減

島津製作所は、国立大学法人東海国立大学機構※2、名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部、同大学予防早期医療創成センター、岐阜大学大学院医学系研究科感染症寄附講座教員で構成される研究グループ(研究代表:名古屋大学大学院医学系研究科臨床感染統御学、八木哲也教授)と共同研究を実施し、主治医側医療機関※3(以下、「主治医」)と感染症専門医をつなぐ「感染症マネジメント支援システム」のプロトタイプ(以下、本システム)を開発しました。感染症診療における、主治医から専門医への相談の円滑化、および契約・支払業務の効率化につながるシステムの開発は日本初となります。本システムは、感染症の診断や治療方針を相談したい主治医と専門医に対し、個別の患者について相談できる環境を提供することで、より質の高い感染症診療の実現を支援します。本システムによって専門医のノウハウを迅速に主治医と共有することで、医療従事者の負担を軽減し、長時間労働を抑制するとともに、抗菌薬の適正使用による医療費の削減などが期待できます。島津製作所は「感染症マネジメント支援システム」のプロトタイプを「第38回日本環境感染学会総会・学術集会」(7/20-22パシフィコ横浜)に出展いたします。当社は「感染症マネジメント支援システム」の実証実験を計画しています。ご関心をお持ちいただける医療機関および医療従事者の方は、末尾のフォームよりお問い合わせください。

通常、感染症の専門家でない主治医が感染症の診断や治療方針に難渋した際、感染症の専門家である感染症専門医に助言を求めます。一方で、以前より感染症専門医の認定者数は適正数の半分程度といわれています。多忙の中、通常の院内業務に加えて院外からの主治医の問い合わせにも対応しており、主治医が円滑かつ効率的に感染症の相談・助言を求められる環境が望まれていました。また、従来の電話やメールなどの相談形式では、専門医の成果や貢献度を正確に集計・把握することが困難でした。

本システムには、「主治医が必要な時に専門医に相談できる」「主治医はシステムからの質問に答えるだけで依頼ができる」「専門医は回答実績に応じた報酬を受け取れる」といった特長を備えています。クラウド上のウェブサービスである本システムでは、主治医は、登録している専門医から相談相手を自由に選択できます。主治医がカルテ情報や画像検査情報、検査レポートなどを入力すると、本システムの「医療言語処理エンジン」および「辞書リストアップエンジン」が患者情報を認識し、感染症診療ガイドラインなどの関連情報をPC画面上に表示します。さらに、専門医が回答する上で必要な患者情報を先回りして補うために、本システムが自動で主治医に追加の質問を要求します。これにより、従来、主治医と専門医の間で繰り返されていた相談の回数を削減します。本システムを介した相談内容は自動的に記録されるため、利用実績の確認・ノウハウ蓄積にも役立ちます。また、専門医は相談対応が可能な日時を登録できるため、自身で業務量をコントロールできます。主治医と専門医が直接やり取りしていた煩雑な契約や報酬支払い業務を省力化するための機能を備えており、「主治医が必要な時に必要な専門医とつながる環境」を提供します。本システムの開発は、中期経営計画で掲げているメドテック事業の「診断ワークフローの構築」の一環となります。

島津製作所は、2018年から名古屋大学大学院医学系研究科、および同医学部附属病院と連携し、専門医の知見の取り込み、医療現場で使用される言語表現や利用シーンへの対応を進め、実用性の高いシステムを構築してきました。本取り組みは、臨床現場でのニーズ探索を起点とする名古屋大学との「ニーズ探索型共同研究」から始まり、当該ニーズの探索後に本格的な共同研究を立ち上げ、要素研究開発、仮説検証、システム開発検討へと進めてきたものです。

今後、当社は「感染症マネジメント支援システム」の社会実装に向けた実証実験を計画しています。本システムおよび実証実験にご関心をお持ちいただける医療機関および医療従事者の方は、以下のフォームよりお問い合わせください。

問い合わせURL:https://solutions.shimadzu.co.jp/form/press/infection/contact.html

 

  • ※1 2023年7月現在、日本国内企業発売済みの医療情報システムにおいて(当社調べ)
  • ※2 東海国立大学機構は、2020年4月、岐阜大学と名古屋大学という二つの国立大学法人による県をまたいだ法人統合により、日本初の一法人複数大学制度により設立された国立大学法人。以来、両大学の個性ある発展を支えるとともに、両大学の強みから生まれるシナジーを大きく育てることで、社会課題、人類課題への貢献を目指し、教育・研究、地域創生に取り組んでいる。
  • ※3 主治医(医療施設の臨床医師)以外の利用者として、抗菌薬適正使用支援チームおよびインフェクションコントロールチーム(感染症から患者やその家族、病院職員らの安全を守るための組織。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、歯科衛生士、臨床工学士などからなる)を想定。

 

関連情報
名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科プレスリリース

 

動画でわかるプレスリリース「感染症マネジメント支援システム編」

「感染症マネジメント支援システム」の画面操作説明