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2022年3月31日 | プレスリリース 診断補助用途の「血中アミロイドペプチドMS測定サービス」を開始
全国の認知症疾患医療センターなどへの展開を目指す

島津グループで受託分析を手掛ける島津テクノリサーチは、4月1日より、島津製作所の検査技術・装置を用い、認知症の病型の診断補助用途として「血中アミロイドペプチドMS測定サービス」を開始します。同社は2018年より、脳内に蓄積するアルツハイマー型認知症(以下アルツハイマー病)の原因物質とみられるアミロイドβの蓄積具合を調べる検査として、研究開発用途で「アミロイドMS受託解析サービス」を提供してきました。このたび島津テクノリサーチは衛生検査所として登録を受け、新たに診断補助用途の検査サービスを開始します

脳内のアミロイド蓄積度合いの推定には、陽電子放出断層撮影(PET)や脳脊髄液(CSF)を用いる方法がありますが、いずれも体への負担が大きく、実施できる施設も限られています。本サービスでは、わずか0.6 mLの血漿により測定が可能です。本サービスには島津製作所が昨年発売した「血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL」を用います。本品による測定結果は「認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用指針」に沿った取り扱いが必要であり、本サービスは認知症専門医がいる医療機関や認知症疾患医療センターに指定されている医療機関での使用を想定しています。

注:診断補助用途の検体測定は、衛生検査所として登録された施設のみが実施可能です。

 

「血中アミロイドペプチドMS測定サービス」に使用する島津テクノリサーチのラボ

「血中アミロイドペプチドMS測定サービス」に使用する島津テクノリサーチのラボ

 

参考情報:

「アミロイドMS」は、当社のMS(質量分析)技術を用いて、血液数滴に含まれるアミロイドβを測定する技術です。当社と国立長寿医療研究センターは、共同研究を通じて、アミロイドβの測定値から算出されるバイオマーカーが脳内のアミロイド蓄積と相関することを報告しています。共同研究には2002年にノーベル化学賞を受賞した当社エグゼクティブ・リサーチ フェロー田中耕一が加わっています。同賞の受賞理由となった「MALDI」(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)が「アミロイドMS」実現に寄与しています。
島津製作所は2018年から島津テクノリサーチを通じて、アルツハイマー病に関する治療薬・早期予防法の研究開発を対象とした「アミロイドMS受託解析サービス」を展開してきました。2020年6月には仏モンペリエ大学付属病院と「アミロイドMS」に関する共同研究契約を締結しました。同年11月からは米子会社Shimadzu Scientific Instruments, Inc.を通じて、米国でも受託解析サービスの提供を開始しました。

※Nature volume 554, pages 249‒54(2018)