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2021年6月22日 | プレスリリース 少量の採血で被験者の負担が小さい検査を実現
アルツハイマー病の原因候補物質を測定する「アミロイドMS CL」を発売

マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「AXIMA Performance CL」
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「AXIMA Performance CL」

島津製作所は6月22日に管理医療機器(クラスⅡ)である「血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL」(以下「アミロイドMS CL」)を発売しました。本製品は、昨年12月にリバランス通知※1に基づき「診断の参考情報となり得る生理学的パラメータを測定する診断機器」として製造販売承認を受けています。

「アミロイドMS CL」は、血中のアミロイドペプチド(アルツハイマー型認知症の特徴であるアミロイド斑の主要成分)を測定し、アミロイドβ(同疾患の原因と見られるタンパク質)に関連するバイオマーカー値を提示する製品です。当社製のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「AXIMA Performance CL」やデータ解析用ソフトウェアなどで構成されています。従来からある陽電子放出断層撮影(PET)イメージングや脳脊髄液(CSF)検査と異なり、被験者の負担が小さい検査を実現します。

今後、島津製作所は「アミロイドMS CL」を用いて、社外の企業・研究機関のコホート研究に協力して、臨床的エビデンスを取得し、アルツハイマー病の早期診断が可能な医療機器の開発を目指します。受託分析子会社の島津テクノリサーチも同社が手掛ける「アミロイドMS受託解析サービス」にて本製品を使用する予定です。

注意:「アミロイドMS CL」が出力するバイオマーカー値の臨床的意義は評価されていません。本製品による検査を実施する際には、日本認知症学会、日本老年精神学会、日本神経学会が監修した「認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用指針」を順守することが求められます。

参考情報:
「アミロイドMS CL」は、「アミロイドMS」の技術の一部を医療機器として製品化したものです。「アミロイドMS」は、当社のMS(質量分析)技術を用いて、血液数滴(約0.5mL)に含まれるアミロイドβを測定する技術です。当社と国立長寿医療研究センター(長寿研)は、共同研究を通じて、アミロイドβの測定値から算出されるバイオマーカーが脳内のアミロイド蓄積と相関することを報告しています※2。長寿研との共同研究には2002年にノーベル化学賞を受賞した当社エグゼクティブ・リサーチ フェロー田中耕一が加わっています。同賞の受賞理由となった「MALDI」(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)が、「アミロイドMS」実現に寄与しています。
島津製作所は2018年8月から受託分析子会社の島津テクノリサーチを通じて、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)に関する治療薬・早期予防法の研究開発を対象とした「アミロイドMS受託解析サービス」を展開してきました。昨年6月には仏モンペリエ大学付属病院と「アミロイドMS」に関する共同研究契約を締結しました。11月からは米子会社SSI(Shimadzu Scientific Instruments, Inc.)を通じて、米国でも受託解析サービスの提供を開始しました。

  • ※1 「医療機器の「臨床試験の試験成績に関する資料」の提出が必要な範囲等に係る取扱い(市販前・市販後を通じた取組みを踏まえた対応)について」の通知。(平成29年11月17日付け薬生機審発1117第1号、薬生安発1117 第1号)
  • ※2 Nature volume 554, pages 249‒54(2018)
販売名 血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL
一般的名称 アミロイドβ質量分析用セット
質量分析装置
医療機器承認番号 30200BZX00384000
希望販売価格 1億円(税別)

詳しい製品説明についてはこちら

 

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島津製作所の認知症への取り組み
アミロイドMSのご説明