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2020年12月7日 | プレスリリース 「アミロイドMS CL」が医療機器承認を取得
少量の採血で被験者の負担が小さい検査を実現

島津製作所は、12月2日に「血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL」(以下、「アミロイドMS CL」)について管理医療機器(クラスⅡ)としての承認を取得しました。リバランス通知※1に基づく、「診断の参考情報となり得る生理学的パラメータを測定する診断機器」としての承認となります。

「アミロイドMS CL」は、血中のアミロイドペプチド(アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑の主要成分)を測定し、アミロイドβ(同疾患の原因と見られるタンパク質)に関連するバイオマーカー値を提示する製品(発売時期は未定)です。当社製のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計「AXIMA Performance CL」やデータ解析用ソフトウェアなどで構成されています。従来からある陽電子放出断層撮影(PET)イメージングや脳脊髄液(CSF)検査と異なり、被験者の負担が小さい検査を実現します。

注意:「アミロイドMS CL」が出力するバイオマーカー値の臨床的意義は評価されていません。本製品による検査を実施する際には、関連学会の策定した適正使用指針を遵守することが求められます。

 

参考情報:
「アミロイドMS CL」は、「アミロイドMS」の技術の一部を医療機器として製品化したものです。「アミロイドMS」は、当社のMS(質量分析)技術を用いて、血液数滴(約0.5mL)に含まれるアミロイドβを測定する技術です。当社と国立長寿医療研究センター(長寿研)は、共同研究を通じて、アミロイドβの測定値から算出されるバイオマーカーが脳内のアミロイド蓄積と相関することを報告しています※2。長寿研との共同研究には2002年にノーベル化学賞を受賞した当社エグゼクティブ・リサーチ フェロー田中耕一が加わっています。同賞の受賞理由となった「MALDI」(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)が、「アミロイドMS」実現に寄与しています。

島津製作所は2018年8月から受託分析子会社の島津テクノリサーチを通じて、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)に関する治療薬・早期予防法の研究開発を対象とした「アミロイドMS受託解析サービス」を展開してきました。今年6月には仏モンペリエ大学付属病院と「アミロイドMS」に関する共同研究契約を締結しました。11月からは米子会社SSI(Shimadzu Scientific Instruments, Inc.)を通じて、米国でも受託解析サービスの提供を開始しました。今後は社外の企業・研究機関のコホート研究※3に協力して、臨床的エビデンスを取得し、アルツハイマー病の早期診断が可能な医療機器の開発を目指します。

  • ※1 「医療機器の「臨床試験の試験成績に関する資料」の提出が必要な範囲等に係る取扱い(市販前・市販後を通じた取組みを踏まえた対応)について」の通知。(平成29年11月17日付け薬生機審発1117第1号、薬生安発1117 第1号)
  • ※2 Nature volume 554, pages 249‒54(2018)
  • ※3 疫学研究における調査手法。特定の病気にかかっていない人を長期間観察することで、特定の生活習慣の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調べられます。
販売名 血中アミロイドペプチド測定システム Amyloid MS CL
一般的名称 アミロイドβ質量分析用セット
質量分析装置
医療機器承認番号 30200BZX00384000
発売 未定

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