ニュース

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2023年6月8日 | プレスリリース 調査対象の98%が「ビタミンD不足」に該当
ビタミンDの血中濃度調査に全自動質量分析技術が貢献

島津製作所は、東京慈恵会医科大学の臨床検査医学講座 越智小枝教授・整形外科学講座 斎藤 充教授らとの共同研究により「新たに開発された完全自動化された液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを使用して、2019年4月から2020年3月までの期間に東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に調査を実施し、98%がビタミンD不足に該当していた」ことを明らかにしました。ビタミンDは骨粗しょう症を始めとして感染症や心血管疾患や神経筋疾患、自己免疫疾患発症にも関連すると言われており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化因子としても注目される重要な栄養素です。世界的にもビタミンD不足・充足状態に対する関心が高まる一方で、この栄養素は基準範囲が完全に確立されていないことが課題となっていました。本研究には当社製の液体クロマトグラフ質量分析装置「LCMS-8050」および全自動LCMS前処理装置「CLAM-2030」から成るシステムが用いられています。研究成果は4月23日にThe Journal of Nutrition誌Volume 153, Issue 4, p1253に掲載されました。

本研究では、日本で初めて完全自動化された液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを使用して血清中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)の基準濃度を計算しました。この結果、調査対象である5,518人のうち98%が日本代謝内分泌学会・日本整形外科学会が提唱するビタミンD不足(<30 ng/mL)に該当することが判明しました。測定されたビタミンDのほとんどが動物あるいは日光由来で、植物由来のビタミンDはほぼ検出されず、また、年齢が低いほどビタミンD不足の割合が高くなりました。今回の研究結果から、日本人の食生活の変化によって、現代社会では特に植物由来のビタミンDが摂取されなくなったことが推察されます。今後の超高齢化社会へ向け、骨粗しょう症・骨折の予防につながるビタミンDの摂取はますます重要となっています。ビタミンDが不足している現状への早急な介入と共に、ビタミンD不足を引き起こすその他の原因についても解析が必要です。当社は、共同研究を通じて開発したビタミンD分析技術の早期製品化を目指してまいります。

島津製作所は2021年12月に、学校法人慈恵大学と臨床分野における最先端技術の研究開発を推進する、5カ年の包括連携協定を締結しました。本共同研究は包括連携協定に基づき、「骨」の領域での最先端技術の社会実装を目指す取り組みです。今後は、「がん」「生活習慣病」「認知症・神経疾患」「感染症」などに連携領域を拡大・深化させ、研究成果の社会実装を加速させてまいります。

 

共同研究に用いた当社製「CLAM-2030」および「LCMS-8050」システム

共同研究に用いた当社製「CLAM-2030」および「LCMS-8050」システム

 

関連情報
2022/1/27 プレスリリース
慈恵大学と臨床分野での包括連携協定を締結 産学連携により最先端の研究成果の臨床実装へ

慈恵大学の関連ページ