高齢化により増加する骨粗しょう症は、老年期において介護が必要になる原因のひとつとされています。
骨の状態は検査によって知ることができ、早期に発見し、適切に介入すれば、治療や骨折リスクを下げることが可能です。
島津製作所は「歩く」を支える、シニアヘルスケアの支援の一つとして骨の健康への維持・促進に取り組みます。
「骨粗鬆症」とは
骨粗鬆症とは骨量(骨密度)が減る、または骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気を言います。いま現在、骨折や、腰・背中の痛みがなくても、骨が弱っていると骨粗鬆症と診断されます。
骨粗鬆症による骨折を起こすと寝たきりや認知症につながることがありますが、様々なケースで予防や治療もできる病気です。「骨粗鬆症」の原因
骨は成長期にカルシウムを蓄積し、女性は15~18歳頃、男性は20歳前後に人生最大の骨量に達します。成長期以降は「骨リモデリング」と呼ばれる骨の新陳代謝を繰り返しながら、40歳半ば頃まで最大骨量が保たれます。
骨は硬い組織ですが、骨リモデリングによって常に古い骨を壊す作業と新しい骨を作る作業の両方が繰り返されています。加齢や女性ホルモンの減少、カルシウム不足などでこの代謝がアンバランスになり、失われた骨量を十分に回復することができなくなると骨量減少が始まります。
「骨粗鬆症」で起こる骨折
骨粗鬆症によって骨強度が低下すると荷物を持ち上げる、手をつくなど日常の何気ない動作で骨折が起きやすくなります。また、自分の体重に背骨が耐え切れなくなり、気づかないうちに背骨がつぶれて骨折していることがあります。このような場合、特別な痛みを感じないため、軽いうちは自分でも骨折していることに気がつかないことがほとんどです。
骨の状態は検査によって知ることができ、早期に発見し、適切に介入すれば、治療や骨折リスクを下げることが可能です。特に骨粗しょう症は初期において自覚症状がないことが多く、患者自身が病気に気づくことが難しいとされています。定期的な骨粗しょう症検診が早期発見につながります。日ごろから自身の骨の状態を知り、食事・運動などの生活改善を行うことが重要です。
当社のもつ質量分析技術とX線撮影技術は、様々な場面で骨の検査を支えています。
血液などから得られる生体情報やX線などを使ったイメージングによって骨を「知る」ことは、大切な骨を「守る」ことへの第一歩です。
質量分析装置を用い、カルシウムの吸収を促進し、骨を丈夫に保つ役割をするビタミンDを血液から測定します。
※本製品は医療機器としての承認・認証は受けておりません。
治療診断目的及びその手続き上での使用はできません。
X線TV装置を用い、骨密度測定において最も精度が高いとされているDXA法による腰椎・大腿骨の骨密度測定を実現します。
計測位置を自動で設定することにより、QM法と呼ばれる椎体骨折の検査を簡便に実現します。
骨と人工関節の固着状態を確認するための断層撮影や広範囲を1枚の画像で確認できる長尺撮影など、用途に応じたアプリケーションで様々な骨の撮影検査を支援しています。
歩くことは、健康寿命を維持するための重要な要素と言われています。
歩くことは、骨や筋肉の強化、生活習慣病の予防や改善など身体的な効果だけでなく、脳の活性化を促し、心の健康増進にも役立ちます。
島津製作所はシニアヘルスケアとして、「歩く」を支えることで高齢者のQOL向上に貢献し、また「寝たきり」を防ぐことで、介護者の負担を軽減したいと考えています。
今後も骨の健康への取り組みと併せて、認知症などの脳の健康、虚血性心疾患・下肢動脈疾患といった心血管と脚の健康への取り組みを強化し、人々の「歩く」を支えることに貢献します。
島津製作所は、ヘルスケア分野における開発や社会実装を推進するため、学校法人慈恵大学と包括連携協定を締結しています。
その中で人工知能(AI)を用いて骨粗しょう症の診断を容易かつ効率的に行うための椎体計測ソフトウェアを開発しました。また、共同研究により質量分析法を用いたビタミンD測定の調査や、日常の健康データと臨床データを使い、健診を起点に骨粗しょう症の予防と早期発見につなげる仕組み作りの検証に取り組んでいます。
島津製作所は、今後、健康増進プラットフォーム「SUPOFULL(サポフル)」製品化を含む新事業を開始いたします。
「SUPOFULL」は日常の健康データ計測ツール、健康データの統合管理ソフトウェア、医療機関における検査、健康アドバイスなどで構成され、利用者は、自身の健康増進に活用することができます。
がん・生活習慣病などの疾患を克服し、健康なライフサイクルを実現するために、超早期検査・診断・治療・予後の各段階の研究開発に当社技術を活用いただいております。
※当社のWebサイトを離れます。「骨検」は旭化成ファーマ株式会社によるプロジェクトです。