NEWS & TOPICS2021年2月~2021年8月

PCR検査で変異株の検出を迅速化し、疫学調査の効率化に貢献
変異株のスクリーニング検査も支援

変異検出コアキット、変異検プライマー/プローブセット(オプション)

新型コロナウイルスの特定の変異部位(N501Y)を唾液や鼻咽頭拭い液などの検体から直接検出できる新型コロナウイルス変異検出コアキットおよび(N501Y、L452R、E484K)プライマー/プローブセット(いずれも研究用試薬)を国内で発売しました。ウイルスを検出するプライマー/プローブセットを本コアキットと別に提供することで、N501Y、L452R、E484K変異以外の変異にも柔軟に対応が可能です。
また、当社および伊藤忠商事株式会社が出資する株式会社iLACは、4月1日より「新型コロナウイルスの全ゲノム解析受託サービス」を開始。変異株は従来株よりも感染性が増し、免疫やワクチン効果を低下させる可能性が指摘されており、感染経路など疫学的調査のためには変異株のゲノムの網羅的な解析が必要です。免疫やワクチンの効果を低下させる可能性のある変異株が検出された場合、当社は今後も、それぞれに対応したPCR検査用試薬プライマー/プローブセットを開発し、変異株の感染状況や拡大動向の把握に貢献していきます。 (2021.3.17/4.1/5.6/7.15)

下水とヒトの2階建て
新型コロナウイルスPCR検査システム「京都モデル」の構築
PCR検査体制の整備拡大への貢献

社内診療所の検体採取ブース
社内診療所の検体採取ブース

受託分析子会社である島津テクノリサーチは、2月25日に下水処理場の下水に含まれる新型コロナウイルスのPCR検査の受託事業を開始しました。新型コロナウイルス感染者の糞便には発症前からウイルスが存在しており、下水のPCR検査結果から感染流行の兆しのある地域を特定できる可能性があります。また、3月26日より下水のPCR検査によって対象集団における新型コロナウイルスの感染状況を監視し、陽性反応がある場合、対人検査で感染者を特定する京都モデルの実証実験も開始しました。
また、6月に塩野義製薬株式会社と新型コロナウイルスを含む感染症領域の下水モニタリング早期社会実装を目指した業務提携に関する基本合意書の締結を行い、下水モニタリングの社会システム構築を目指してまいります。さらに、企業や高齢者施設、教育機関などの新型コロナウイルスのPCR検査施設の開設支援にも取り組んでおり、7月には支援施設が10件を超えました。
(2021.2.25/3.26/4.8/5.13/6.2/7.12)

MBL社の新型コロナウイルス不活化液の開発に協力
PCR検査の検体輸送と前処理の安全性向上に貢献

MBL社の新型コロナウイルス不活化液の開発に協力

株式会社医学生物学研究所(MBL)が7月1日に発売したウイルス不活化液の開発に協力しました。本試薬を検体に融合することで、ウイルスの不活化ができ、安全かつ迅速な検体輸送とPCR検査前処理が可能になります。また、本試薬はフェノールやクロロホルムなどの有害な有機溶媒を含まないため、安心して使用できます。 (2021.6.23)

医療機関の受付システムを非接触に
感染対策用のパネルを販売

感染対策用のパネルを販売

医療機関向けの受付システムMERSYS™-IVシリーズのオプション品として、同システムのタッチパネル部分に取り付ける非接触パネルを発売しました。赤外線センサにより、受付システムの画面から約5センチメートル手前での指操作が可能なため、利用者は画面に触れずに安心して操作ができます。 (2021.7.8)

PCやドアノブ、水道の蛇口などに付着する新型コロナウイルスを簡便・迅速に検出、衛生管理・安全確認に役立つ「新型コロナウイルス拭取り検査試薬キット」を発売 (2021.2.8)

熊本大学・アイスティサイエンスと「尿・血液での新型コロナウイルス重症化予測技術」で共同研究へ−液体クロマトグラフ質量分析計による迅速・高精度の分析法を確立 (2021.3.29)

新型コロナウイルス重症化への関連性を示唆するバイオマーカーを6分で測定−「修飾ヌクレオシド分析システム」用メソッドパッケージを発売 (2021.6.21)

遺伝子解析装置AutoAmp™が第51回機械工業デザイン賞 最優秀賞・経済産業大臣賞 受賞 (2021.7.15)

デジタル問診サービス「Hospital Essentials™」試用版の提供開始
患者さんの待ち時間短縮と、院内業務効率の両立を実現

病院向けデジタル問診サービスHospital Essentialsを開発。8月から社会実装に向け、本サービスの試用版提供を開始しました。患者さんのスマートフォンにインストールしたアプリ「Hospital Essentials」を使って、受診に必要なさまざまな情報を病院側の受付システムと連携させ、患者さんの待ち時間短縮と院内業務の効率化を図るサービスです。患者さんや受付スタッフの負担軽減だけでなく、問診の医療用語が最適なものに自動変換され転送されるため、コピー&ペースト機能で電子カルテに簡単に記載でき、医師の診療効率向上にもつながります。 (2021.7.27)

「健康経営銘柄」に選定−「健康経営優良法人~ホワイト500~」
「なでしこ銘柄」に5年連続で認定

「健康経営銘柄」に選定−「健康経営優良法人~ホワイト500~」「なでしこ銘柄」に5年連続で認定

健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄 2021」に選定されました。また、健康経営を実践している企業として「健康経営優良法人~ホワイト500~」に、女性活躍推進に優れた企業として「なでしこ銘柄」にどちらも5年連続で認定されました。これからも、従業員一人ひとりが健康で安全に働け、誰もが働きやすいと感じられる職場づくりを進め、「見える健康経営」を推進していきます。 (2021.3.4./3.21)

花王、協同乳業、山口大学、山口県、山口市と協業
「高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート研究講座」による介入研究を開始

3月22日から、花王、協同乳業、山口大学、山口県、山口市と共同で、高齢者の健康づくり等をテーマとした実証研究を開始しました。これは2020年8月に6者が締結した「高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート研究連携に関する合意書」に基づくもので、実証研究では、山口市阿知須地域に居住の高齢者100名を対象に週1回集まり運動・栄養・認知機能訓練を実施するグループ、指定のヨーグルトを毎日摂取するグループ、これまでどおりの生活を継続するグループに分けて1年半追跡、認知機能や運動機能の低下予防効果の有無などを比較・検証します。 (2021.3.24)

楽天メディカルと島津製作所
イルミノックス®プラットフォームに関わる医療機器の共同開発・製品化契約を締結

楽天メディカル社と当社はイルミノックス®プラットフォームに関わる医療機器の共同開発・製品化契約を締結しました。本契約では、がん光免疫療法による治療を支援することを目的として、光計測技術を用いた医療機器の開発を進めていきます。
イルミノックス®プラットフォームを基に開発された医薬品および医療機器を用いた光免疫療法による治療では、「特定の細胞に選択的に集まる成分」と「光に反応する物質」からなる薬剤を投与、患部に到達したタイミングで光を照射し、薬剤が反応することでその細胞が壊死あるいは排除されます。
両社は本契約に基づき、それぞれの専門性を活かして、光照射に対する薬剤の反応をリアルタイムで可視化・測定・記録する技術の共同開発を行い、同技術によって、腫瘍の状態に合わせた光照射の最適化を目指します。さらに、両社はグローバルで、同技術を用いた医療機器の製品化に取り組んでいます。当社は今後もヘルスケア市場において、分析計測・画像診断の技術を融合させた革新的な製品・サービスの創出に取り組んでいきます。
(2021.6.18)
※イルミノックス®プラットフォームは、治療技術基盤の名称であり、米国国立がん研究所の小林久隆先生らが開発したがん光免疫療法がもととなっています。

農林水産省認定の「国際果実野菜年 2021」オフィシャルサポーターに登録
果実や野菜を摂取する重要性の発信に協力

農林水産省が認定する「国際果実野菜年2021」オフィシャルサポーターに登録されました。長年にわたり食の安心・安全や食品開発に関わる技術・製品の研究開発に携わり、2年前からは国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構と「食」の機能性成分解析を目的とした共同研究契約に取り組んできました。経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、事業活動を推進する当社は、「果実と野菜の摂取による栄養と健康上の利点等について世界的な認識を高める」という「国際果実野菜年2021」の目的に賛同しています。 (2021.8.6)

米子会社 SSI がワシントン大学今井眞一郎教授とNMNの定量化を共同研究
最先端のアンチエイジング研究に質量分析技術を活用

米国子会社Shimadzu Scientific Instruments, Inc.とワシントン大学医学部発生生物学部門・医学部門(以下WUSM)の今井眞一郎教授は、共同研究契約を締結して「質量分析(MS)技術によって生体試料中のニコチンアミド・モノヌクレオチド(以下NMN)および関連化合物を定量化する手法」の開発に合意しました。研究の主要な目的は、哺乳類における老化と寿命のメカニズムへの理解を深め、WUSMの主要なアンチエイジング研究者および臨床リソースと当社の質量分析技術を統合し、生体試料中のNMNおよびNMN関連化合物の信頼性の高い定量法を確立するものです。 (2021.4.30)

がん免疫療法の前進に質量分析技術が貢献
米プロビデンスがん研究センターとの第一相臨床試験結果を発表

米国プロビデンスがん研究センターのウィリアム・レドモンドおよびブレンダン・カルティ両博士が中心となって進める新しいがん免疫療法の第一相臨床試験の一部に参画しました。
当社は、質量分析および抗体医薬分析キット「nSMOL™ Antibody BA Kit」などの技術を用いて、免疫チェックポイント阻害剤の血中濃度分析を担当。頭頸部、肺、皮膚などのがんを標的とする新しいがん免疫療法における、質量分析技術の貢献につながる成果が得られました。 (2021.5.26)

島津製作所と堀場製作所、計測機器「LC-Ramanシステム」を発売
「わける」と「みえる」技術の融合により、さまざまな分野での研究開発に新たな価値を提供

LC-Ramanシステム

当社と株式会社堀場製作所は当社の高速液体クロマトグラフおよび堀場製作所のラマン分光装置を融合させた計測機器 LC-Ramanを発売しました。本製品は世界初となる融合システムで、高速液体クロマトグラフの「わける」技術と、ラマン分光装置の「みえる」技術の結合により、計測の精度や効率を大幅に高めます。また、未知成分の検出も期待できるなど、新たな計測価値を提供します。 (2021.6.25)

少量の採血で被験者の負担が小さい検査を実現
アルツハイマー病の原因候補物質を測定する「Amyloid MS™ CL」を発売

アミロイド MS CL

管理医療機器(クラスII)である血中アミロイドペプチド測定システムAmyloid MS CLを発売しました。本製品は、血中に含まれるアルツハイマー型認知症の特徴であるアミロイド斑の主要成分であるアミロイドペプチドを測定し、アミロイドβ(同疾患の原因と見られるタンパク質)に関連するバイオマーカー値を提示する製品です。当社製のマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計AXIMA Performance™CLやデータ解析用ソフトウェアなどで構成されており、従来からある陽電子放出断層撮影(PET)イメージングや脳脊髄液(CSF)検査と異なり、被験者への低侵襲を実現します。今後、本製品を用いて社外の企業・研究機関のコホート研究に協力して、臨床的エビデンスを取得し、アルツハイマー病の早期診断が可能な医療機器の開発を目指します。 (2021.6.22)

頭部と乳房の検査に特化した、世界初のTOF-PET装置を発売
アルツハイマー病など認知症の研究にも貢献

世界初のTOF-PET装置を発売

頭部検査と乳房検査のいずれにも対応できる、世界初のPET装置TOF-PET装置BresTome™を国内で発売しました。普及している全身用PET装置に比べ解像度が2倍に向上し、操作ボタンで本装置の検出器ホールを頭部用または乳房用に切り替えて使用できます。また、保険適用されている脳腫瘍やてんかんの臨床診療に加え、アルツハイマー型認知症(日本の臨床では保険未適用)をはじめとする各種神経変性疾患の診療応用を支援します。 (2021.3.1)

採尿しない排尿量測定で医療現場の感染リスクを低減
排尿量測定システム「Urina」を発売

排尿量測定システム「Urina」

泌尿器科や消化器科、循環器科、内科、婦人科などの入院病棟では、一部の入院患者の尿を容器で採取して、尿量を測定しています。その際、尿の飛び散りや容器洗浄に起因する感染症への感染リスクが懸念されています。本システムでは排尿前後の体重差から排尿量を精密に測定するため、通常の尿量測定で行われている採尿が不要で、感染リスクの低減につながり、排尿時刻や量を自動的に記録・集計する機能があるため、患者はもちろん医師・看護師ら医療従事者の方々の負担の軽減にもなります。 (2021.7.1)

大阪大学と若手研究者・技術者の選抜教育を開始
博士課程に社員を派遣、グローバル人材への成長を支援

大阪大学と共同で、博士課程での若手技術者・研究者の育成を目的とした「REACHラボプロジェクト」を開始しました。本プロジェクトは長年にわたる両者の信頼関係により実現したものです。
2025年度までの5か年にわたり、社内公募した社員を複数の研究科に派遣し、対象社員および当社にとっての「新たな専門性の獲得」「国内外の人脈構築」につなげます。教育派遣扱いとなるため、入学金・授業料などの学費は当社が負担し、対象社員は大学院入試を経て、大阪大学に開設する「REACHラボ」に2~3年在籍して博士号取得を目指します。近年、急速な技術革新や市場の変化により、生涯にわたって就労と教育の循環を繰り返す「リカレント教育」や、職務で新たに必要なスキルを獲得する「リスキリング」が注目されています。
当社では新卒入社時点で修士号を持つ技術者・研究者が多いものの、海外の研究者・研究機関との共同研究・協業の主導には、博士レベルの研究遂行能力が求められるため、新たな人材育成の枠組みが不可欠になっていました。
本プロジェクトは人文系も含んだ多様な研究テーマでの人材育成を検討しており、一人の人が多様な知見と経験を持つ「個人内多様性」(イントラ・パーソナルダイバーシティー)獲得を支援し、イノベーション人材の育成を図ります。ここで学んだ当社社員が、新技術・製品の事業化・社会実装をリードして、「科学技術で社会に貢献する」ことを期待しています。 (2021.7.7)

中国でのフォークリフト需要拡大に対応
油圧機器新工場が竣工

中国子会社の天津島津液圧有限公司

中国子会社の天津島津液圧有限公司は、天津市の西青経済技術開発区に、フォークリフト向け油圧ギヤポンプおよびコントロールバルブ製造の新工場を建設しました。10月には全面稼働し、ギヤポンプにおいて、2022年度には2019年度比2倍となる年間生産30万台を見込んでいます。当社は、低消費電力かつ低騒音という製品特長を活かし、新たな付加価値を有するギヤポンプやコントロールバルブの提供を進めていきます。 (2021.6.30)

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株式会社 島津製作所 コミュニケーション誌