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2021年3月17日 | プレスリリース PCR検査で変異株の検出を迅速化し、疫学調査の効率化に貢献
新型コロナウイルス変異株検出試薬キットの提供を開始

島津製作所は、新型コロナウイルス変異株をPCR検査で検出する「SARS-CoV-2変異株検出コア試薬キット」および「N501Yプライマー/プローブセット」(いずれも研究用試薬)の開発を完了しました。両製品は、昨年4月に発売した「2019新型コロナウイルス検出試薬キット」(研究用試薬)をベースにしており、新型コロナウイルスの特定の変異部位をRNA精製なしに検体から直接検出することが可能です。変異ウイルス感染者数の増加傾向を鑑み、正式な発売に先立って、公的な検査機関や臨床検査会社に限った提供を始めます。

厚生労働省によると、空港検疫での判明分を含めると日本国内では3月9日までに345人の新型コロナウイルス変異株感染が確認されています。変異株の変異部位のうち、従来株よりも感染力が増している可能性がある変異株の部位の1つがN501Yです。英国で確認されたVOC-202012/01変異株、南アフリカで確認された501Y.V2変異株、ブラジルで確認された501Y.V3変異株が、このN501Y変異部位を有しています。

「SARS-CoV-2変異株検出コア試薬キット」(研究用試薬)は、検体処理液、反応液、酵素液での3試薬で構成されています。ウイルスを検出するプライマー/プローブセットは本キットと別に提供することで、N501Y変異以外の変異の検出に柔軟に対応できます。まずは従来株とN501Yを有する変異株の識別に使用する「N501Yプライマー/プローブセット」(研究用試薬)を提供しますが、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されているE484K変異やその他変異に対応するプライマー/プローブセットを開発していく予定です。また検査機関が自ら設計したプライマー/プローブセットの使用にも対応します。

島津製作所は本製品により、現在確認されている変異株だけでなく、今後出現する変異株の検出にも即座に対応して、変異株の感染状況や拡大動向の把握に貢献していきます。新型コロナウイルス関連の技術・製品の開発を通じて、世界的な感染の収束に向けて一層の事業努力を続けてまいります。

※ 変異株:「変異ウイルス」とも呼ばれる。従来株が持つ遺伝情報が変化することで、感染力が増したり、病原性が高くなるため重症化しやすくなったり、ワクチンが効きにくくなる可能性が指摘されています。

 

注意:「SARS-CoV-2変異株検出コア試薬キット」および「N501Yプライマー/プローブセット」は研究用試薬です。医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品あるいは医療機器として承認・認証等を受けておりません。治療診断目的およびその手続き上での使用はできません。本製品の使用には、リアルタイムPCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機を始めとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売はいたしません。なお、「遺伝子解析装置 AutoAmp」には対応しておりません。

コア試薬キット(検体処理液、基本反応液、酵素液)とプライマー/プローブ液のイメージ
コア試薬キット(検体処理液、基本反応液、酵素液)とプライマー/プローブ液のイメージ
※上の製品写真は「2019新型コロナウイルス検出試薬キット」です。