概要
KPR-30はプリズム部が解放されている構造上の特長があります。ガラス基板に試料を載せて測定する方法により、一般的なアッベ式の屈折計では測定できない、プリズムに固着する接着剤、封止剤や加熱炉などで処理が必要な熱硬化性樹脂なども測定することができます。
この方法では、プリズムから試料を破壊する事無く取り外せ、繰返し測定できる事から、試料の経時変化、熱履歴による変化、温湿度サイクル前後の変化などを測定する事ができます。ブロック状や板状に成形しにくい素材の光学特性や接着剤や封止材の硬化状態、経時変化の把握などにご利用下さい。
測定方法
1. 試料作成
ガラス基板上に試料を載せ、一定時間経過や加熱などにより測定したい状態とします。
2. 測定
試料をガラス基板ごとプリズムの上に載せ、測定を行います。
図1 ガラス基板上の試料
(ガラス基板サイズ20×20[mm])
図2 測定時の状態
この測定を行うためには「nS < nB < nL < nP」の関係を満たす必要があります。
nS:試料の屈折率、nB:ガラス基板の屈折率、nL:接触液の屈折率、nP:プリズムの屈折率
測定例
試料
熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂[透明])(同一プロセスで作成した3個)
条件
試料温度 | 23℃ |
---|---|
測定波長 | 1波長(d線) |
ガラス基板 | nd 1.64 |
接触液 | nd 1.65 |
結果
各試料で5回ずつ測定した結果、全体平均でnd 1.55880、バラツキ(2σ)±0.00074となりました。 測定結果の屈折率分布をみると、測定誤差以外に試料のバラツキがある事が見て取れます。今回の測定 では、試料による屈折率差が最大で0.00086となりました(試料毎の平均値による比較)。一般的にエポキシ樹脂の屈折率は1.55~1.61と言われており、今回の試料は比較的屈折率が低い部類に属する事がわかります。