2014.10.22 “Mass++”用波形処理法を解説する論文が発刊されました

 本PJでは、データ処理の一種:波形処理に関しても これまで様々な検討を行い、Mass++*用Plug-Inソフトウェアを幾つも開発してきましたが、その1つ”Bottom Line Tracing (BLT)”法を解説した論文が発刊されました。

 質量分析に限らず スペクトルの波形処理を行う際に重要な点を3つあげるとすれば、スムージング(ノイズ成分除去)・バックグラウンド(ベースライン以下を)除去・ピーク検出と強度計算、になります。
 特に飛行時間型MSスペクトルでは、途中で分解したり イオン収束が行えなかったイオンを 連続・断続的に検出する事で、結果として”ベースライン”が「複雑に持ち上がった波形」になる場合が多く、有意な信号成分との切り離し が重要になります。
(”MALDI-MS Technical Reports” No.01 , 02 , 03 , 04 参照)

 今回発表したBLT法は、特にベースラインが劇的に変化する事が想定される 他のスペクトル計測分野にも応用する事が期待できます。

*:
Mass++は、種々の質量分析装置から得られたデータを表示・解析することが可能なフリーウェアです。

Shin-Ichi Utsunomiya1, Yuichiro Fujita1, Satoshi Tanaka1, Shigeki kajihara1, Ken Aoshima2, Yoshiya Oda2, Koichi Tanaka1
“Signal Processing Algorithm Developments for Mass++ (Ver.2) : Platform Software for Mass Spectrometry”, IPSJ Transactions on Bioinformatics, 2014, Vol.7, pp24-29
1 Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology, Shimadzu Corp.
2 Biomarkers and Personalized Medicine CFU, Eisai Product Creation Systems, Eisai Co. Ltd.

 

発表資料(本論文紹介サイトへのリンク)

J-STAGEにおける IPSJ Transactions on Bioinformatics サイト

(J-STAGEは、科学技術振興機構JSTが提供する総合電子ジャーナルプラットフォームであり、優れた研究開発成果をいち早く世界に向けて発信していくために、学協会発行の論文誌等の発行を電子化し インターネットで公開していくために運営されています。)

情報処理学会サイト

 

“Bottom Line Tracing (BLT)”法ソフトウェア ダウンロード
  (現在 本機能は Mass++に付属した標準機能として含まれています)

本PJで公開しているソフトウェア(“Mass++”を含む)紹介サイト

 

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