Types of refractive index measurement method
ここでは屈折率測定方法として、1.最小偏角法、2.臨界角法(アッベ式、プルフリッヒ式)、3.Vブロック法を取り上げます。 その他にもプリズムカプラ法や分光エリプソメトリー法や液浸法(ベッケ線法)による測定方法もあります。
以下の表に各測定方法の精度、試料などの概要を示します。
最小偏角法 | 臨界角法 (アッベ式、プルフリッヒ式) |
Vブロック法 | ||||||
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全般 | 屈折率の測定精度 | ~1×10-5 | ◎ | ~1×10-4 | × | ~2×10-5 | ○ | |
測定 | 習熟を要する | × | 簡便 | ◎ | 簡便 | ◎ | ||
試料の 形態 |
固体 | 可能 | ○ | 可能 | ○ | 可能 | ○ | |
液体 | 可能 ※1 | ○ | 可能 | ○ | 可能 | ○ | ||
フィルム | 不可 | × | 可能 ※2 | ○ | 不可 | × | ||
固体 試料 |
試料作成 | 高精度研磨面(2面) | × | 低精度研磨面(1面) | △ | 低精度スリ面(2面) | ◎ | |
微小サンプル | 測定困難 | △ | 測定困難 | △ | 測定可能 ※3 | ◎ | ||
接触液 | 不要 | ◎ | 必要 | △ | 必要 | △ |
光学ガラスの屈折率測定方法は、JIS B 7071-1:2022「光学ガラスの屈折率測定方法 - 第1部:最小偏角法」および、JIS B 7071-2:2024「光学ガラスの屈折率測定方法 - 第2部:Vブロック法」に規定されています。第1部:最小偏角法では、測定器は分光計となっており、試料の加工精度(主に平面度)も規定されています。第2部:Vブロック法では、サンプルホルダとなるVブロックプリズムを核とした装置構成が示されています。いずれの規格も、屈折率の小数点以下5桁までの表示を求めています。 アッベ式(臨界角法)の測定精度については、JIS K 7142:2008「プラスチック - 屈折率の求め方」に国際共同試験データと共に、解説※4で見解が示されています。
屈折率の利用方法について、概要を以下の表に示します。
光学特性の把握 | 光学用途のガラスや樹脂で光学設計時のパラメータとして屈折率および分散の値が必要である。 |
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物質の同定 | 外観では特定できない硝種を判別する。ガラスの製造工程での品質管理をする。油や試薬などを品質管理する。(JISやJASなどの規格で特性の一つとして規定がある)また、宝石の鑑定を行う。 |
濃度(糖度)・混合比の測定 | 水にどれだけの溶質が溶け込んでいるか(濃度)を測定する。濃度は「Brix(ブリックス)値」で表現するのが一般的な分野もある。溶液中にA成分とB成分がどれくらいの比率で溶け込んでいるか(混合比)を測定する。 |
- ※1:液体の測定には、液体専用のセルが必要です。
- ※2:フィルムの膜厚は10μm以上必要です。
- ※3:サンプルをガラス基板に貼付けた後、加工する必要があります。装置により測定できない場合があります。
- ※4:JISの解説は、冊子にのみ掲載されており、日本工業標準調査会のWebでは閲覧することができません。