~音響通信の1000倍以上の通信速度を実現する水中光無線通信~
ほとんどの電磁波は水中で大きく減衰するため水中通信に不向きですが、青・緑近辺の可視光波長帯域では他の周波数帯の電磁波に比べて水中で減衰しにくい特性を持ち、水中での通信に有効です。

※本図は海中での電磁波(電波・光波)の吸収減衰(海洋音響学会編(2014),海洋音響の基礎と応用, 成山堂書店, P.27の図4.3)を元に手を加え作成
通信に用いる光の光源は2タイプある
水中での通信に用いることができる光には、発光ダイオード(LED)によるものとレーザー光を用いるものがあります。
発光ダイオード(LED)を用いた通信方式
発光ダイオード(LED)を用いる通信方式は比較的安価であり、長寿命といった特徴があります。しかし、LED光には指向性が無く、応答性も最大50MHz程度と限界があります。また、波長帯域が広いため、太陽光などの外乱光の影響を排除することが困難です。
レーザー光を用いた通信方式
レーザー光を用いる方式は1GHzを超える高い周波数まで使える応答性や、指向性に優れます。高い応答性は高速通信を実現し、高い指向性は配光特性を調整しやすくするため、通信距離や通信エリアを柔軟に設計できることや、秘匿性の高い通信に向いている特徴があります。
レーザー光は単一波長であり、通信光の成分を選択的に透過させる光学フィルタを用いることで、その成分を損なうことなく、ノイズとなる太陽光などの外乱光をうまく取り除くことが可能です。また、レーザー光の広がり角をレンズによって、正確に制御することができます。それによって、離れた場所での2点間通信を行う場合、通信相手との距離に応じてレーザー光の広がり角を変えることで、効率よく光をターゲットに当てることができます。
■レーザー光による無線通信イメージ

■レーザー光
メリット |
・高速通信可能(応答性1GHz以上可能) ・指向性があるため、任意の広い通信エリアを構築可能。 ・指向性をコントロールできるため、秘匿性が高い通信に向いている。 ・LED光に比べ、太陽光等の外乱光の影響を排除しやすい。 |
---|
■LED光
メリット | ・比較的安価 ・長寿命 |
---|
レーザー光を用いた水中通信を実現するためには
このように水中での無線通信の強力なツールとなるレーザー光ですが、その実現には様々な高い技術が求められます。島津製作所ではこれまで蓄積してきた技術を組み合わせ、この新たなソリューションを開発しました。
レーザー光の光源となる単一のレーザーダイオードでは水中を透過するには十分なパワーが足りません。そこで、複数のレーザー光を束ねて強くする必要があります。島津製作所は、レーザーを束ねるコンバイン技術に関して独自の高い技術を保有しており、これを実現しました。
また、海中という過酷な環境においても耐久性良く、狙い通りの性能を発揮する必要があります。島津製作所は、海中で用いられる装置の開発を長年続けており、その技術的知見を蓄積してきました。
水中光無線通信技術は、これまで培ってきたレーザー技術と海中用装置の知見の融合によって実現しています。
では、レーザー光を用いた水中での無線通信技術はどのような分野に貢献できるのかを紹介します。
島津製作所の水中光無線装置「MC500」製品紹介動画
お問い合わせ先
: | jiki@group.shimadzu.co.jp | |
TEL | : | 東京支社 03-3219-5852 |