2015.2.6 タンパク質の末端配列特異性と同定方法に関する論文が発刊されました

 本PJで開発したソフトウェアに関する論文が 既に幾つも発刊されていますが、今回 タンパク質の末端配列を用いたタンパク質同定法と そのためのデータベースに関する論文が発刊されました。

 タンパク質は、アミノ酸が鎖状に配列した構造をしています。この両末端部分は特異性が高く、「ほとんどのタンパク質は、両端の5~10個の配列が分かれば 唯一に決められる」といわれてきました。
 本研究では、ヒトなど9生物種のプロテオームデータを用い、末端部分の特異性について網羅的な調査を行った結果、(タンパク質中央部分のみが異なるisoform等を除けば) 99%以上のタンパク質が アミノ酸5, 6個程度の末端配列だけで区別できる事が確認されました。
 この結果に基づき、末端配列を入力すると 該当するタンパク質配列を検索し、1個に絞り込めない場合 末端アミノ酸をあと何個決定すれば唯一になるか 計算予測する機能を持った データベース”ProteinCarta”を作成し、昨年6月に公開しています。

 本論文では、この調査結果の報告とデータベース機能を解説し、更に 本PJで開発されてきた 質量分析法を用いてタンパク質末端配列を決定する実験手法と組み合わせ、タンパク質を同定した実例を紹介しています。

 

Akiyasu C. Yoshizawa, Yuko Fukuyama, Shigeki Kajihara, Hiroki Kuyama, Koichi Tanaka
“Computational Survey of Sequence Specificity for Protein Terminal Tags Covering Nine Organisms and Its Application to Protein Identification”, Journal of Proteome Research, 2015, Vol.14, pp756–767
Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology

 

発表資料(論文概略紹介へのリンク)

“ProteinCarta”アクセスサイト

 

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