2014.10.14 タンパク質(HER2) N-/C-末端解析を紹介する論文が発刊されました

 質量分析分野では 世界で最も著名な学術誌の1つである”International Journal of Mass Spectrometry”にて、タンパク質の末端解析手法を解説する論文が掲載されました。

 生体内で重要な働きをしているタンパク質は、巨大な物は 1000を超えるアミノ酸が鎖状につながった複雑な構造をしており、その構造を明らかにする事は極めて重要な課題です。その課題の1つが、左端(N-末端) 及び 右端(C-末端)のアミノ酸配列に関する研究です。これら両末端配列は、タンパク質の働きを決定するだけでなく、それらの高い特異性はタンパク質同定にも有効で、「ほとんどのタンパク質は、両端の5~10個の配列が分かれば 唯一に決められる」とも言われています。

 本論文では、乳がん関連タンパク質として特に有名な”HER2″のN-/C-両末端を質量分析MS/MSを用いて確認した結果、N-末端側に 公的なデータベースに記載されていない配列(variant)の存在を明らかにしました。

Hiroki Kuyama1, Chihiro Nakajima1, Kaoru Kaneshiro1, Chikako Hamana1, Kazuya Terasawa2, Koichi Tanaka1
“Characterization of N- and C-termini of HER2 protein by mass spectrometry-based sequencing: Observation of two types of N-terminal sequence”, International Journal of Mass Spectrometry, 2014, Vol. 373, pp81-87
1 Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology, Shimadzu Corporation
2 Center for Genomic Medicine, Kyoto University Graduate School of Medicine

 

発表資料(Int. J Mass Spectrom.掲載論文概略紹介へのリンク):
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1387380614003959

 

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