2014.9.3 不純物多量存在下でも高感度測定を可能にする手法論文が発刊されました

 日本質量分析学会が発行し “J-STAGE*に含まれている英文journal “Mass Spectrometry (The Mass Spectrometry Society of Japan)”に、本PJで行った研究成果を紹介する論文が掲載されました。

 液体クロマトグラフHPLCでは、混合試料を分離・検出するため、様々な塩・バッファが用いられていますが、これら添加物・不純物がイオン化の効率を大幅に抑制する場合がある事も知られています。
 Methylenediphosphonic acid(MDPNA)は、リン酸化ペプチド検出に有効である事が既に報告されています(下記 参考論文)が、本論文では MDPNAを特にOffline-LC-MALDIに用い、様々な添加物・不純物が存在する状況でもタンパク質同定率を大幅に向上できた事と、S/Nを実質的に2桁前後も向上できた例を紹介しています。

*:
J-STAGEは、科学技術振興機構JSTが提供する総合電子ジャーナルプラットフォームであり、優れた研究開発成果をいち早く世界に向けて発信していくために、学協会発行の論文誌等の発行を電子化し インターネットで公開していくために運営されています。

Yuki Ohta, Shinichi Iwamoto, Shin-ichirou Kawabata, Ritsuko Tanimura, Koichi Tanaka
“Salt Tolerance Enhancement of Liquid Chromatography-Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization-Mass Spectrometry Using Matrix Additive Methylenediphosphonic Acid”, Mass Spectrometry, Vol.3, (2014) A0031
Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology, Shimadzu Corporation

 

発表資料(Mass Spectrometry掲載論文紹介 フリーダウンロードへのリンク)

参考論文:(MDPNAがリン酸化ペプチド検出に有用である事を解説)
H. Kuyama, K. Sonomura, O. Nishimura
“Sensitive detection of phosphopeptides by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry: Use of alkylphosphonic acids as matrix additives”, Rapid Commun. Mass Spectrom., Vol.22, pp1109-1116 (2008)

 

関連新着情報:
2014.3.24 【資料掲載】本PJの最終報告書が発刊されました
     (高感度化のため MDPNAを様々な場面で用いている事を紹介)
2013.9.4 【資料掲載】質量分析総合討論会の最先端研発表リストを作成しました
     (発表リストpdf 3P-48 参照)
2012.11.16 第23回クロマトグラフィー科学会議で成果発表しました