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3-1. 溝形状の種類
回折格子(Gratings:グレーティング)は、溝の断面形状によりいくつかの種類に分類できます。ここでは当社で製作している回折格子のうち主な3種類の特長を紹介します。
A. ブレーズド ホログラフィック 回折格子(BHG)
鋸歯状溝
- 紫外から可視域の特定の波長に対して高い回折効率を示します。
- ブレーズ角でブレーズ波長(回折効率のピーク波長)が決まります。
- 可視・紫外の分光器に使用されます。
製品例 | : | 平面ブレーズドホログラフィック回折格子 |
ポリクロメータ用凹面回折格子 |
B. ホログラフィック 回折格子(HG)
正弦波状溝
- 広い波長範囲で回折効率がブロードです。
- 溝深さで回折効率のピーク波長が決まります。
- 一般に、回折効率はブレーズド ホログラフィック 回折格子(BHG)の半分程度ですが、溝深さ/溝周期が大きい場合にはBHG より高い回折効率が得られることがあります。
- 広い波長域を使用する場合や近赤外域で使用されます。
C. ラミナー回折格子
矩形状溝
- 偶数次光の回折効率がBHG、HG に比べて低くなります。
- 溝深さとデューティ比(溝周期に対する溝幅)で回折効率のピーク波長が決まります。
- 軟X線領域での反射率が大きく取れるため、軟X線領域で使用されます。
製品例 | : | 軟X線領域用ラミナーレプリカ回折格子 |
3-2. ブレーズド回折格子の特長
溝の断面形状が鋸歯状である回折格子(ブレーズド回折格子)は、特定の次数と波長に対して高い回折効率を示すという特長をもっています。
図5 に示すように、光が反射型の回折格子に角度αで入射した場合、波長λの光が角度β で回折します。ここで、角度α、β は回折格子の法線からの角度で、反時計回りを正とします。するとグレーティング方程式(2)式は次のようになります。
(8)
ここで溝の斜面に対して、入射光とm 次の回折光が鏡面反射の関係にあるとき、m 次の回折光にエネルギーの大部分が集中します。このときの溝の傾きをブレーズ角と呼び、θBで表わすと、
(9)
となります。またこのときの波長をブレーズ波長といい、λB と表わします。ここで、λB は(9)式を(8)式に代入すると、
(10)
となります。この式から、ブレーズ波長はブレーズ角θB と入射角αによって(使用方法によって)変化することがわかります。一般には回折格子のブレーズ特性を一義的に表わすのに、図6 のように入射光の方向に+ 1 次の回折光が戻るときの波長(λB(Litt))で表わします。このとき、α=β=θB となるので(8)式より
(11)
となります。このときの配置をリトロー配置と呼びます。当社のカタログでは、平面回折格子のブレーズ波長は、このリトロー配置でのブレーズ波長を記載しています。 したがって、リトロー配置以外で使用する場合でのブレーズ波長λB と、カタログ記載のブレーズ波長λB(Litt)との間には次の関係式が成り立ちます。
(12)
この式より、リトロー配置以外で使用する場合は、λB(Litt)より短くなることがわかります。 入射角αのとき、λB(Litt)とλBとの関係は、
(13)
となります。
たとえば、溝本数N = 600本/mm、入射角α= 60 °で300nm の+ 1 次光を効率よく取り出したい場合、(13)式にλB = 300nmを代入すると、ブレーズ波長λB(Litt)= 484nmとなります。したがって、カタログから λB(Litt)= 500nmの回折格子を選んでください。
一方、凹面回折格子の場合は、使用する分光系の配置(マウント)でのブレーズ波長を記載しています。
回折格子に表示された矢印の向きは、ブレーズ方向を表わし、溝断面形状とは図6の関係になります。
図5 反射型回折格子
図6 リトロー配置
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