2014.3.26 「糖ペプチド構造解析」論文がOnline掲載されました

 米国質量分析学会月刊誌 Journal of The American Society for Mass Spectrometry にて、本PJで開発した”負イオンを用い 糖ペプチドから より多くの構造情報を入手する方法”を紹介する論文が Online掲載されました。

 翻訳後修飾”PTM”結果の一種である糖タンパク質は、様々な疾患に関連している と言われています。その解析には、[1. タンパク質への付加部位], [2. 糖鎖構造] 両方の情報入手が求められ、そのためには 糖鎖が付加したままの状態(糖タンパク質・糖ペプチド)で解析する事が理想的といえます。
 ペプチドの多くは アミノ酸が一列に連なる鎖状構造をしていますが、一般に糖タンパク質を構成する糖鎖は、枝分かれ構造をしています。糖ペプチドは、糖鎖がペプチドに接続する事により 糖ペプチド全体として更に複雑に分岐した構造となり、分子を励起した場合 様々な部位での開裂が発生するため、構造情報入手に有用なMS/MS(MSn)測定を用いても 構造解析が困難でした。

 本論文では、従来ほとんどの場合に用いられていた正(+)に荷電したイオン(正イオン)ではなく 負(-)イオンに注目し、多くのN-型糖鎖付加ペプチドの開裂イオンを詳細に解析し、法則を見つけ出した事により、従来では入手困難・不可能であった分岐構造を含む構造情報を より多く入手できる事を紹介しています。

Takashi Nishikaze, Shin-ichirou Kawabata, Koichi Tanaka
“Fragmentation Characteristics of Deprotonated N-linked Glycopeptides: Influences of Amino Acid Composition and Sequence”, Journal of The American Society for Mass Spectrometry, 2014, Vol. 25
Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology, Shimadzu Corporation

発表資料(JASMS掲載論文概略紹介へのリンク)

 

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