2014.2.13 「液体マトリックスCHCABによる高再現性・高持続性」論文が発刊されました

 質量分析分野で最新技術の速報を掲載することで著名な学術誌”Rapid Communications in Mass Spectrometry”にて、従来から販売されていた液体マトリックスCHCABに適切な前処理を開発した事により、高感度化と再現性の向上を達成した事を紹介する論文が掲載されました。

 これまで広く用いられていた固体マトリックス(例:CHCA)は、乾固の際に結晶化が発生し、表面が不均一になり易く、それが再現性低下の一因となっていました。
 CHCABは、液状マトリックスの1種です。これと試料を混合し、乾燥後にメタノールを再滴下する方法を編み出した事により、CHCAよりもイオン生成量・再現性 共に高く測定できるようになりました。
 特にMS/MS測定では、十分なS/Nを得るために、イオン生成部分で多数回レーザー光を照射し スペクトルを積算する必要があり、イオン生成持続性の高さが必要条件です。本手法では、CHCAと比較して10倍以上の持続性を得られる事も紹介しています。

Yuko Fukuyama1,2, Natsumi Funakoshi2, Shinichi Iwamoto1,2, Koichi Tanaka1,2
“Adding methanol to α-cyano-4-hydroxycinnamic acid butylamine salt as a liquid matrix to form a homogeneous spot on a focusing plate for highly sensitive and reproducible analyses in matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry”, Rapid Commun. Mass Spectrom. 2014, 28, pp662-664
1 Koichi Tanaka Mass Spectrometry Research Laboratory, Shimadzu Corporation
2 Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology, Shimadzu Corporation

発表資料(Rapid Communications in Mass Spectrometry掲載論文概略紹介へのリンク)