患者の診断や治療に使用される医療機器で、X線を利用して画像を撮影するために技師の使いやすさ、患者への優しさを追求した装置です。可搬性にすぐれ、短時間で画像を取得できるため、病院内や診療所などで柔軟に使用することができます。
今回のプロジェクト用に春夏秋冬をテーマに描かれた4種類の京都友禅の柄、滑らかに移動する装置を比叡山の朝靄に見立てた島津オリジナルの唐紙紋様、京織物による柔らかな印象と補修可能な唐紙の素材など「お誂えもの」としての一点ものの魅力を引き出しました。
京都の春夏秋冬の4種類の図案を京都友禅の絵師が島津用に制作。日本の美意識に息づく四季の移ろいを友禅染で制作し、側板パネルに貼りこむ事で、お誂えものとしての魅力を生みだします。
京町屋の襖に使用される唐紙の技術。木版画を使った島津独自の模様を開発し、お誂えものとしての魅力を付加しました。本体が移動すると貝殻から作られた胡粉の塗料が光を反射し、模様が見え隠れします。襖と同じように傷んだ箇所だけを張り替える事で補修ができる持続可能性の高い意匠です。
生糸で作られた織物に霞をモチーフに箔をちりばめ伝統文様を描いた側面パネル。樹脂で挟み込むことで意匠性だけでなく、耐薬性、防汚性を高めました。
金属を手作業で叩く事で生まれる独特な凹凸模様でハンドルの滑り止めを追加。その表面に焼き漆をする事で、漆の抗菌性能を付加します。使うごとに漆の色が経年変化し、使い続けることで装置に対する愛着がわきます。