絹織物 絹ガラス 金彩友禅

今回、医療機械の側面パネルとして、絹ガラスシリーズの「絹障子」を採用頂いております。
本パネルに封入された絹織物は、緯糸に、純国産繭「松岡姫」から手で繰り出した(座繰り技法)節糸を織り込んだものです。絹織物の上に施された金彩友禅とは、絹の上に糊を置き金属箔を貼って意匠を描く着物の装飾技法です。平安時代後期より続く金箔装飾の伝統的な技術が今も使われており、繊細で煌びやかな表現が特徴です。
ここでは、すっきりとクリーンな雲取り暈し中に、有職紋様のひとつでもある「七宝」をこまやかに描きます。「七宝」紋様は、古来シルクロードから伝わったとされる柄ですが、日本の「七宝」紋には繋がる輪を円相(縁)に見立て、ご縁の重なりが七つの宝にも価するという意味を含みます。
伝統的なモチーフをベースとしながら、洗練された線の表現と暈し効果は、当社デザイナーのオリジナル提案です。繊細な手工芸の美と、量産性(ROHS対応含む)の双方を考慮した、プロダクト的なアプローチでデザインしています。

株式会社伊と幸 絹ガラス事業部デザイナー 関根 隆寿  (協力 芦田金彩工芸)

株式会社伊と幸

伊と幸は1931年創業以来、絹一筋に白生地メーカーとして、着物の原点である絹織物から和装業界に貢献して参りました。1996年、農林水産省のモデル事業として、蚕品種名「松岡姫」に由来するブランドをスタート、繭・生糸・白生地まで統一商標を付し、国内の契約養蚕農家との繭生産に取り組み今日に至ります。2012年、内装資材「絹ガラス」を開発。社内図案家・デザイナー及び社内職方と共に、京の名工・瑞宝単光章受章など日本が誇る伝統工芸士の手仕事を、新たな産業技術と融合することで、現代空間に生かす絹の可能性を広げています。