反射防止膜(ARコーティング:Anti Reflection Coating)

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図4のグラフより、誘電体膜の屈折率を調整することで反射率が小さくなることを利用して、反射防止効果を得られます。最も一般的なARコーティングは、ガラス等の基板の上にガラスよりも屈折率が小さい誘電体をコーティングしたものです。ただし、使用できる誘電体膜材料は限られているので(屈折率は限定される)、基板の屈折率とのマッチングにより反射防止効果に違いがでます。例えば図5のように、石英ガラス(屈折率=1.46)の上に屈折率n=1.38であるMgF2を光学膜厚λ/4(λ=550nm)となるようコーティングすると、波長550nmにおける反射率は1.79%まで低減できます。

図5 石英ガラスへのMgF2単層ARコーティング

図5 石英ガラスへのMgF2単層ARコーティング

図6のように、サファイア(屈折率n=1.79)の上にMgF2をコーティングすれば、ほぼ0%まで反射率を低減できます。
コーティングを数層にすることで、石英ガラス等でも単一波長であれば、反射率をほぼ0%にすることができます。

図6 サファイアへのMgF2単層ARコーティング

図6 サファイアへのMgF2単層ARコーティング

同様に他の材質においても、反射率をほぼ0%にする設計が可能です。コーティングの層数をさらに増やすことで、複数波長または広帯域波長でも反射率をほぼ0%にする設計が可能です(図7)。多層ARコーティングは、特にレーザ用途で多用されています。

図7 石英ガラスへのMgF2単層ARコーティング

図7 石英ガラスへのMgF2単層ARコーティング