2014.3.28 日本化学会第94春季年会で発表しました

 日本化学会第94春季年会で、MS/MS機能を向上させるために有用な理論計算結果が発表されました。

 分子は様々な構造をしており、その元素(例:炭素,水素,窒素,酸素)間の結合には 比較的弱い(切れ易い)部分があります。
 本PJ中心研究者の田中が開発したソフトレーザー脱離法(Soft Laser Desorption)は、分子を分解させずに(文字通り)ソフトにイオン化し、分子全体の大きさを示す情報(分子量)を入手する手法の1つですが、生成させた分子イオンを開裂させ、その分解したイオンを解析する事により構造情報を入手する(MS/MS(MSn))手法もあります。
 開裂の1手法としては、不活性ガス(例:ヘリウム,アルゴン)を分子イオンと衝突させ、結合の弱い部分を”切断”するCID法(Collision Induced Dessociation)がありますが、この衝突エネルギーが低いと、開裂容易な部分ばかりが切断され、一部の構造情報しか得られない場合があります。

 本PJでは、従来より このCID法を高機能化するために役立つ理論計算に注目し、特にリン酸化ペプチドでリン酸が優先的に脱離しない すなわち シーケンス情報入手に有用なパラメーターが得られたため、今回 学会で発表する事になりました。

[1PA-067] ○山下明日香1・梶原茂樹2・村瀬雅樹2・田中耕一2・竹内孝江1
「リン酸化ペプチドプロトン付加分子のOn-Resonance励起衝突誘起解離機構の量子化学的研究Ⅴ. [TRDIYETDpYYRK]H+からのH3PO4脱離機構」
1 奈良女子大学理学部, 2 島津製作所田中最先端研究所

日本化学会第94春季年会(2014)