2014.3.4 混合物中からの微量成分分離検出「nano-HPLC-MALDI」論文が発刊されました

 質量分析を含む分析化学の分野では 世界で最も著名な学術誌の1つである”Analytical Chemistry”にて、3次元HPLC-MALDIを紹介する論文が掲載されました。

 ”ヒト”の体は、約半分が水、残りの過半数が10万種類以上もあるタンパク質でできている、と言われています。タンパク質全体の総量は膨大ですが、極めて微量しか存在しない種類も多く存在します。
 微量しかない化合物を検出するためには、その物のみ「釣り上げる」方法もありますが、膨大量存在する化合物も混在した試料を 方式の異なる複数段の手法で分け、たとえ微量でも分離したピークとして検出する方法もあります。

 本論文では、通常よりも微量を分離能高く分けることができる”nano-LC”を用い、性質の異なる3種類の分離カラムを用い、その溶出液出口を直接MALDI用試料搭載プレートに滴下可能にした事により、これまで確認できなかった化合物を分離能高く検出できた事を紹介しています。
 ここでは、MALDIの特長である糖ペプチド*検出可能性を最大限活かしたシステム構築例を紹介しています。

 *:翻訳後修飾の1例。糖鎖が付加したペプチド。ペプチド単独よりも親水性に傾く。

Yusaku Hioki, Ritsuko Tanimura, Shinichi Iwamoto, Koichi Tanaka
“Nano-LC/MALDI-MS Using a Column-Integrated Spotting Probe for Analysis of Complex Biomolecule Samples”, Analytical Chemistry, 2014, Vol. 86, No.5, pp 2549–2558
Koichi Tanaka Laboratory of Advanced Science and Technology, Shimadzu Corporation

発表資料(Analytical Chemistry掲載論文概略紹介へのリンク)

 

関連新着情報:
2013.9.18 【資料掲載】12th HUPO World Congress(9月14-18日)で成果発表しました(ポスター発表 [POS-03-006]参照)
2013.9.13 【資料掲載】第61回質量分析総合討論会(9月10-12日)で成果発表しました(ポスター発表 [1P-47, 2P-43]参照)
2012.9.21 【資料掲載】最先端プロでの進展を国際質量分析会議で発表しました(”ランチタイムセミナーでの発表資料”pdf最終ページに記載)