1.平成22年度における研究の実施状況

 本プロジェクトは、世界最高性能次世代質量分析(MS)システムを産学官連携で開発し、がんやアルツハイマー病等の革新的診断手法や分子標的薬等の創薬に繋げることを目指しています。
 各サブテーマのH22年度研究実施状況は以下のとおりです。

(サブテーマ1)次世代質量分析システムの開発[島津製作所]

 前処理では、新規抗体の試験管内合成方法を確立し、モデルペプチドによるMS分析・評価を実施すると共に、ELISA法による評価系セットアップを完了しました。イオン化では、マトリックス・ラベル化・ノイズ低減手法等を開発し、定量性改善と最大1千倍の高感度化を達成しました。ハードウェアでは、高感度化・分析速度向上・質量範囲拡大機能を有する試作機2台を製作中で、1号機は信号取得可能、2号機は機械系組立て完了に達しました。ソフトウェアでは、次世代MSシステムの特徴を活かす構造解析・自動分析可能ソフトの開発に向け、既存ソフト評価・新規ソフト試作を行うと共に、他の主要MS装置データ処理をも可能とする仕様を決定しました。

(サブテーマ2)乳がん等の新規バイオマーカー同定と創薬ターゲット探索[京都大学]

 京大病院倫理委員会の承認を得、京大病院乳腺外科と臨床研究を行う為の検体収集・バンキング環境を構築しました。血清と尿の前処理方法を検討し、血清では標的モデルタンパク質をMS分析する基本条件を確立し、尿ではペプチド吸着・MS分析に成功しました。糖ペプチド解析を島津と共同で始め、特定タンパク質では基本的な糖鎖プロファイル分析可能になりました。

(サブテーマ3)アルツハイマー病の早期診断方法の開発[京都大学]

 臨床研究を行う為に京大病院倫理委員会へ手続きを行いました。血中の標的候補タンパク質について、市販血漿からMS分析検出する手法を検討しました。老化促進モデルマウス血清をサンプルに、糖タンパク質をターゲットとしたバイオマーカー候補探索を行いました。

 

 

 

 

 

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