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  • 竹林 浩章
    竹林 浩章
    2000年入社
    担当:機械設計
  • 有馬 雄二
    有馬 雄二
    2019年入社
    担当:機械設計
プロジェクト元 島津製作所 分析計測事業部

新型コロナウィルスの世界的流行

2019年冬、中国湖北省の武漢市で発生が確認され、瞬く間にパンデミックを引き起こした新型コロナウィルス(SARS-nCoV-2)。島津新型コロナウイルス検査試薬キットを開発、研究用試薬として2020年4月に発売し、同年9月に体外診断用医薬品の承認を得ました。この試薬はRNA抽出作業を不要とする特長があり、省力化と人手によるばらつきを低減できることから、検査機関、医療機関などにおいて高い評価を得ました。
一方クリニック等の小規模医療施設では、簡便で迅速にPCR検査が実施できるシステムが求められていました。

検査に必要な前処理から測定まで、
全自動化したPCR検査装置の開発

本プロジェクトでは、検査にかかる作業工程をひとつの装置で全自動化し、簡便に操作が出来る装置の開発を行いました。プロジェクトは、感染拡大に伴い検査の需要が一気に増大することが予測された為、短納期での迅速な開発が要求されました。

遺伝子解析装置 AutoAmp

遺伝子解析装置

挫折しかけたことは、ありますか?

設計図上の“干渉”が毎日見つかり、
その度に絶望した

装置を組み立てた時に、部品と部品がぶつかってしまう現象を「干渉」と呼びます。干渉は、設計図の段階で取り除かなければいけません。PCR検査装置は駆動部(装置が動く箇所)が多く、干渉を起こしやすい場所がたくさんありました。本プロジェクトは複数の設計者が分担して設計図を書いていましたが、毎日毎日設計図上の干渉箇所が発見され絶望しました。しかし、チーム全員がより団結、協力し、絶望的な状態を乗り切ったことは、良い経験となりました。

検体の解析

プロジェクト中で、助けられたことは? 

人からのアドバイスで、
3Dプリンタを活用した。
“見て、触れて、試せた”ことで、
完成度が高い設計ができた

3Dのモデルを使用し検討を重ねていましたが、画面上のイメージだけでは検討が困難な箇所がありました。そんな時、設計責任者から「3Dプリンタでいくつか試作を作り、比較してみてはどうか」と提案をいただきました。助言をもとに3Dプリンタを活用した結果、高い完成度と設計時間の短縮に繋げることができました。

3Dプリンタの試作品

プロジェクトを経験して、成長したことはありますか?

今後の業務により
幅が持てると感じた

今回は設計から生産までの様々な内容に携わることができ、開発の達成感だけでなく、知識、知見の向上など自身の成長を多く感じられました。また多くの方々と関わりを持てたことが今後の業務により幅を持たせてくれると感じています。

プロジェクトを通して成長したこと
上司からのメッセージ

上司からの
メッセージ

新製品開発としては異例の「半年後の発売」が計画されました。急遽スタートし集まったメンバーが、毎朝必ず打ち合わせするうちに、急速に一体になっていったように感じました。
・社会的要請である新型コロナウィルス感染拡大の阻止に貢献するという責任感
・PCR 検査を自動で行う装置を短期間で開発しリリースするという明確なゴール
この2点が、開発チームを一体にし、作業量が多い中、完成度を高く維持するモチベーションを生んだと考えてます。また、メンバーの得意とする領域が異なっていましたが、次々に出てくる課題を解決し、黙々と励んでいたメンバーの姿が忘れられません。