研究内容

基礎研究

質量分析計を用いた解析プラットフォームの研究・開発

メタボロミクスは、生命活動により生じるさまざまな代謝物を網羅的に検出・解析し、生体内の生命現象を包括的に調べる手法です。代謝物は、遺伝子情報発現過程の最下流に相当し、遺伝子やタンパク質に比べ、より生体の表現型に近いため、刻々と変動する生命現象が直接的に反映されます。そのため、臨床・医薬・食品・環境・化学等多岐の分野への応用が研究されています。一方、メタボロミクスは、生命科学、有機化学、分析化学、情報科学の複合領域かつ、新領域であるため、技術開発、運用法において発展途上にあります。本共同研究講座では、メタボロミクスを行う上で不可欠な前処理法、分析法、データ解析法や新たに開発した解析プラットフォームを用いたアプリケーション研究及び開発を行っています。

代謝物測定と質量分析計

定量メタボロミクスでは、サンプルをホモジナイズして”代謝物の総量”を測定し、群間における差異とその要因となる代謝物候補(マーカー候補)を検出いたします。イメージングメタボロミクスでは、薄切りサンプルを用いて試料上のマーカー候補の分布情報を測定いたします。

応用分野

医学分野

  • 生理・病理機構の解明
  • 疾患のバイオマーカー探索
  • 創薬支援と毒性評価

植物・食品分野

  • 植物等におけるストレス応答の解明
  • 作物の品種改良
  • 食品機能解析

工業分野

  • 発酵生産性の改善と最適化
  • バイオ燃料の生産性向上

応用研究

メタボリックプロファイリングの食品研究への応用

食品産業へのメタボロミクス応用は、食味や香りの向上、機能性食品の開発、発酵食品の高品質化や原材料・加工・保存・流通技術の高度化等多岐にわたります。これらの研究を行う上で、サンプルの前処理方法、分析機器による測定法、データ解析法等の測定技術や品質と成分の関係を解析する手法の更なる向上が課題となっております。共同研究講座では、食品産業に広くメタボロミクスの手法が普及することを目指し、質量分析計を用いた解析プラットフォームの開発やそのプラットフォームを用いた食品の品質向上・管理への応用研究を行っています。

メタボロミクス技術の食品研究への応用

質量分析計を用いた培養細胞の品質管理への応用研究

培養細胞は基礎研究をはじめ、抗体医薬品やワクチンなど医薬品原薬製造に用いられるとともに、再生医療用の原材料としても大きな注目を集めています。これらの研究を進める上で、培養細胞の品質管理に対する重要性が高まっており、培養工程の管理あるいは細胞の品質管理手法の確立が必要とされています。本研究講座では、質量分析計を用いた培地成分や細胞分泌物の代謝物変動をモニタリングする手法を用いた培養細胞の品質管理・評価法の確立を目指した研究を行っております。

培養生産システムにおける品質評価法の確立

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