バランサ豆知識

  1. 動釣合試験機(Dynamic Balancing Machine)ってなに?
  2. 不つりあい(Dynamic Unbalance)(アンバランス)ってなに?
  3. バランシング(Balancing)って何をするの?
  4. 動バランス(2面アンバランス)と静バランス(1面アンバランス)ってどう違うの?
  5. なぜ遠心力の総和がゼロにならないの?
  6. どのくらいまで測定できるの?

1.動釣合試験機(Dynamic Balancing Machine)ってなに?

​振動の大きさと角度を測定する装置です。

この世の中で回るものといえば山ほどあります。車でいうと、タイヤ、シャフト、フライホイール、ギア、クランクシャフト・・・。家の中にも、扇風機、掃除機、換気扇、冷蔵庫のコンプレッサ、ビデオヘッド、DVD・CD、パソコンのハードディスク・・・。数え切れな いほどの種類と数の 回るものが存在します。回るものを構成している部品・材料は回されることにより遠心力を受けます。すべての遠心力の総和が ゼロになれば良いのですが、そうでなければその回るものは、回ることにより振動、騒音、ノイズを発生させてしまいます。 
動釣合試験機は、この振動の大きさと角度を測定する装置です。

2.不つりあい(Dynamic Unbalance)(アンバランス)ってなに?

不つりあいは、回転体の重心が回転中心からずれることにより生じます。

不つりあいとは回転体の重心が回転中心からズレていることに起因します。これを修正するためには、反対側に質量mのウェイトを 取り付ける必要があります。ロータの質量をM、修正半径をRとすると、以下の関係が成立します。

 

不つりあいの単位について 

偏重心距離eで表現する場合 µm、mm、cm
質量mで表現する場合 µg、mg、g、kg・・・
質量×半径(mR)で表現する場合 mg・mm、mg・cm、g・mm、g・cm、kg・cm・・・

3.バランシング(Balancing)って何をするの?

アンバランスを少なくさせる行為です。

アンバランスとはロータの重心と、回転中心のズレ(偏芯)がある状態を言います。アンバランスがあると回転した時に、遠心 力で振動・騒音を発生します。世の中には回るものが溢れていて、その中で私たちは生活しています。殆どの家庭で部屋の中を見渡して見るとエアコ ン、ファンヒーター、扇風機があり、時には除湿機、加湿器、テレビの下にはビデオデッキ、DVD/CDプレーヤー等があり、台所には換気扇、冷蔵庫 、電子レンジ、ミキサーがあり、洗面所には電機洗濯機、ドライヤー、電気かみそりがあり、別の部屋に行けばパソコン、プリンターがあり、ビデオカメラがあります。これらの家電品には回るもの(モーター)が内蔵されています。家から外に出ると回るものの集合体である自動車があり、電車があり、船があり、飛行機があります。工場に行けば生産ラインではいろんな機械が回っています。発電所に行けばタービンが回り、発電機が回っています。これらのものがバランス修正されていなかったら、私たちの生活は非常に賑やかなものになるでしょう。また、振動・騒音が発生するということは、この為に無駄なエネルギーを使っている事になりますので、省エネの観点からも時代に逆流することにもなります。無駄なエネルギーを使うばかりではなく、軸受部の磨耗、劣化を促進し、製品寿命が短くなったりします。 
その回転体のアンバランスを少なくさせる行為をバランシングといいます。

4.動バランス(2面アンバランス)と静バランス(1面アンバランス)ってどう違うの?

動くと現れる不釣合い。

動不釣合(Dynamic Unbalance)
一般的に不釣合は左右で好き勝手な方向に好き勝手な大きさで現れます。これは静不釣合いと偶不釣合の複合された不釣合です。この不釣合を動不釣合と呼びます。偶不釣合成分は回転することで初めて現れる不釣合である為、この動不釣合を測定する為には、回転する以外に方法がありません。この不釣合は左右の2箇所で修正する必要があります(2面修正、2面不釣合)簡単に要約すると、静かな状態(回さずに)現れる不釣合が静不釣合いで、回した(動かす)状態で現れる不釣合が動不釣合ということになります。

静かな状態で現れる不釣合い。

静不釣合(Static Unbalance)
ロータを滑らかなレールの上に載せると重い部分が下向きます。静かな(回らない)状態で現れる不釣合、これが静不釣合です。不釣合の修正は1箇所で行なうことが出来ます。(1面修正、1面不釣合)

5.なぜ遠心力の総和がゼロにならないの?

誤差の積み重ねが主因です。

動不釣合いの原因となる要素はたくさんあります。

成型・加工品の場合、
・素材比重の不均一
・中心に対して非対称な形
・加工誤差

などがあり、 組み立て品の場合、
・組み立て誤差
・個々の部品の質量誤差
・配置誤差 などです。

6.どのくらいまで測定できるの?

偏芯距離基準ではマイクロメーター1000分の1の世界まで。

たとえば、質量300g,直径50mmの円柱ロータを考えます。当社の動釣合試験機DBM-SGF-03形を用いるとこのロータの外形に0.6mgの錘がついていることまで測定できます。 ちなみに、お米1粒が約20mgあります。その33分の1の重さの不釣合いが、300g(コーヒー缶1本)のワーク表 面に存在していることが感知できます。

※外観および仕様は、改良のため予告なく変更することがあります。