編集こぼれ話 Episode03

硫黄を使った呼吸の研究

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ぶーめらんVOL.53でご紹介した記事「パラダイム・シフトの息吹」の編集こぼれ話を紹介します。

今回取材させていただいたのは東北大学大学院医学系研究科教授の赤池孝章先生。

2024年4月1日に設置された「島津製作所×東北大学 超硫黄生命科学共創研究所」の運営支援責任者で、2017年に世界で初めて、生体が超硫黄分子を介してエネルギー代謝を行っていることを発見した超硫黄分子研究の第一人者です。

赤池孝章 教授

超硫黄分子とは、血液や臓器内に存在するアミノ酸などの有機化合物に硫黄が結合した物質の総称で、強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素の働きをコントロールすると考えられています。超硫黄分子を介したエネルギー代謝というとなかなか難しそうですが、要は人間を含む哺乳類で、一般的に知られている酸素を使った細胞呼吸以外に「硫黄」を使った呼吸がある、ということを赤池先生のグループが突き止めました。

東北大学

赤池先生と島津製作所は、化学的に不安定である硫黄化合物の検出方法を開発するところからのお付き合い。超硫黄を網羅的に解析する技術の発展により、これまで未知だった超硫黄分子の存在や役割が次々と明らかになりつつあり、また現在、呼気の超硫黄解析による新型コロナウイルス感染症をはじめとする様々な疾病の診断や予防法の開発が進行中です。

臨床医として患者に向き合っていた立場から基礎研究の場に身を置き、研究で人を救うためには社会実装しないといけないという強い思いを持っておられる赤池先生。超硫黄分子研究によって得られた成果が、技術の応用や実装を介して、健康長寿社会の実現に向けて大きく貢献することが期待されます。

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株式会社 島津製作所 コミュニケーション誌